お金の減らし方 森博嗣 SB新書 要約

お金は自分にとって価値あるものに使うべき

 小説家として知られている筆者がお金の増やし方について書いて欲しいと依頼されたことがきっかけとなった本。お金を増やそうと思ったことがない筆者のお金との付き合い方を知ることのできる本。

バイトで始めた小説家でお金持ちになった

 国立大学の助教や助教授として勤務してきた筆者は、若いときは給料も安かった。年を取りにつれ少しづつ給料も増えたが、広い庭で機関車を走らせるという夢のために小説を書き、ヒットしたことでお金もちになった。

大金を得ても生活に変化はなかった 

 小説の印税で大きな収入をえるようになっても、生活に変化はなく、大学での勤務を続けていた。別荘地に土地を購入し。線路を引く夢をかなえた以外は生活を変えていない。現在では大学を退官したが、貯金はふえる一方になっている。

他人に見せるためでなく、自分のためにお金を使う

 筆者は一般の人と異なる金銭感覚を持っていると認識している。他人に見せるための使い方ができず、自分の好きなことにしかお金をつかっていない。多くの人は、誰か人に見せるためにお金を使っていることが多い。

 ものの価値はそのものの値段ではない。お金に価値があると思いこめるからお金は成り立っており、物の価値を測る物差しになっている。ただし、物の値段は売りたい側が勝手につけた数字であり、そのものの価値を示すわけではない。

 多くの人はその価値を自分自身の満足度ではなく、その品物を持ったときに他人がどう思うかを想像して判断している。写真を撮って人に見せることができなくても、その物を買うかを考えれば自身に価値があるかを知ることができる。
 お金を用いて手に入れる価値は自分の欲求を満たすことといえるため、自分の欲求を知ることが基本となる。
 他者からの反応を自分の欲求とすることも考えられるが、行き過ぎると自分を見失っていく。

本当にやりたいことがある人はどうにかしてやってしまう

 お金や時間がないから、自分のやりたいことができないという人は多いが、本当にやりたいことがある人は時間やお金をどうにか工面してやってしまう。多くの場合はやりたい気持ちが強くないため、やっていない。

 お金はやりたいことをするための手段であり、それ自体に価値はない。色々な体験をすることで自分の好きなこと、やりたいことが明らかになっていくと自分にとって何に価値があるかわかるようになり、お金の価値も理解できるようになる。
 お金は満足と交換するもので価値があるのはお金ではなく、満足のほう。

 本当にやりたいことにお金が必要であれば、付き合いを断り、食事も我慢してしまう。この我慢ができなければ、その程度のことであり、やりたいことはあきらめたほうが簡単。

必要なものではなく、好きなもののためにお金を使う

 給料が安くときでも奥様と収入の1割づつを好きなことに使うように決め、残りの8割で生活をするようにしていた。結婚当初の給与の少ないときも欲しいものは買い、必要なものは我慢するという生活をしていた。

 作家となり収入があがっても、生活はそれほど変わらなかった。自分の好きなものを理解していたため、高いものを買うようなこともなかった。

 多くの人が必要で仕方ないものと認識しているようなものの多くは贅沢で、必要を誤認している。
 お金を稼ぐことは自分のやりたいことをするためで、自分のエネルギーと時間を差し出して賃金を得ている。そのためまずは自分のしたいことにお金を使うべきで、収入に応じた生活のデザインをまず初めにしてしまうことが重要となる。

どれくらい必要かではなく、どれくらいほしいかで判断する

 何かを買うときにはどれくらい必要かではなく、どれくらいほしいかを優先する。今生活ができているのだから、必要なものの多くは絶対に必要でない。一方ほしいものは自分にとって価値がある間違いなく、お金を価値あるものと交換すべき。

 お金で何を買うかは自由だが、自由を実現できているかを自問することが大事。欲しいと思ったものが誰かに見せるためでないかを考えてから決めると良い。

お金を増やすには仕事はが最もリスクが低くく、確実

 お金を増やす方法は様々だが、最も確実なのは仕事で稼ぐこと、勉強で仕事の質をあげることが収入を上げる近道。
 仕事を通じて感謝されることをやりがいとする人も多いが、仕事とは例外なく社会に貢献しており、そのプライドを持って自分で自分をほめるべき。自分を褒められなくなったら、その仕事をやめたほうが良い。

 また、仕事は好きなものを作ることでも良いものをつくることでもなく、買い手が欲しいもの、社会が求めているものを先んじて作るしかない。

他人に依存しないものを目標とする

 自分の願望が他人の関与や評価を必要とする場合、挫折することも多いため、他人に依存しない目標を自身の目標とすることとよい。自分の楽しみは結局は自己満足で、自分が満足できる場所へ導くことが人生の目的であり、成功である。
 価値はほしい物自体や行為自体にあるのではなく、それを手に取った時、それをやっているときに
自分に生じるものと考えたほうが適切。

自分の好きなものを知るためには憧れを思い出す

 周りがやっていることを追っているだけでは、好きなものを知ることは出来ない。
 子供のころのように素直に憧れることが自分の好きなものを知るきっかけになる。そのためにも
好奇心を持ち、自分が目を輝かせた経験を思い出し、試すことで楽しい時間を過ごすことができる。
この楽しさがあなたの本当の価値である。

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