なぜ日本からGAFAは生まれないのか 山根節 牟田陽子 3分要約

3分要約

なぜ日本からGAFAのような企業が生まれないのか

 時代が変化し、製品に求められるものが品質から感性や共感へと変化した。感性品質に劣る日本は情報革命に対応できず、GAFAのような企業が生まれなかった。

GAFAのような企業を生むために必要なものは何か

 GAFAが大きく成功した要因から、以下のようなものがGAFAを生み出すために必要。

・強烈で愚直に突っ走るリーダー

・協調を求め過ぎず、既存概念を覆すものを許容する

・失敗しても社会的なダメージが小さい社会

・革新的な発想をもつ若者にチャンスを与えサポートを行う

・自社ができることでなく、顧客に何ができるかを考え事業に取り組む

・既得利権を浴び焼かすようなものを規制せず成長させる

日本のチャンスはどこにあるのか

強烈な個性とビジョンをもつ個人を応援する仕組みが必要で、大企業がベンチャーを支援するような仕組みが日本には必要。

 集団主義の文化が濃く、変化を好まないが場の空気が変わると180°転換することもできる。このような特性を活かせばチャンスになる可能性も十分に秘めている。

時代が変化し製品に求められるものが変わったが、日本は対応できていない

時代が変化し、製品に求められるものが製品の品質だけでなく、感性に訴えるか、共感を得ることができるかなどに変化している。

 日本企業の製品品質を称賛し、お手本としてきた海外企業も少なくなかったが、感性品質の面で大きく劣る日本は情報革命に対応できずGAFAのような企業が生まれなかった。

なぜ日本からGAFAが生まれないのか、GAFAのどこが凄いのかを深く見ていく。

ジョブズの強力なリーダーがAppleを生んだ

 Appleの稼ぎ頭はiphoneだが、アプリストア経由の収入などのサービスの収入が大きく伸びている。他者がアプリで得た収入の30%をAppleが手にするため批判も浴びているが、大きな収益を生んでいる。

 Appleはスティーブ・ジョブズ抜きでは語ることのできない会社で、現在の売上がどれほど大きくなっていても、クック現CEOではなくジョブズの創った世界の中にApple製品が存在している。

ジョブズは不可能に見えることを自分や周囲の人間に実現可能であると信じさせる、現実歪曲化の能力が高かったことも今までにない製品を生み出せた要因。

i Podは21世紀のウォークマンとも呼ばれる製品で、ジョブズ自身もソニーを強くリスペクトしていた。

 ユーザーの感動体験を重視するためのリベラルアーツとそれを実現するためのテクノロジーを持っており、周囲との軋轢も気にせず実現したジョブズのパーソナリティがAppleの強さ。

新しい解を見つける際には、ジョブズのような強烈で愚直に突っ走るリーダーが必要。日本が革新するにはこんな人物を叩き潰す文化を続ければこのような人材が出てくることはない。

既存概念を壊すことでGoogleを生んだ

Googleの基礎はスタンフォード大学の2人の学生が生み出した検索エンジン。ホームページ上のリンクの数に注目することで価値のあるサイト化を見極め、検索結果を表示する手法で満足度の高い検索エンジンを可能にしている。

また、巨額のサーバー投資も行なっており、他者が重要性に気づいたときに、参入できないほど有利になっていることも目指していた。

巨額のサーバー投資を行うに多額の資金が必要となるが、アメリカのベンチャーキャピタルは投資数、投資額とも日本と比べ圧倒的に大きく、このような事業が可能になった。

また、事業に失敗しても社会的なダメージは小さく、やり直せる仕組みがあったため創業者の2人はダメだったら大学にも取るつもりで起業することができた。

日本は協調を求める姿勢が強く、報連相の文化も根強く既存の概念を覆すものを思いついても実現するハードルが高い。

若者にチャンスをおたえる姿勢がFacebookを産んだ

Facebookはメタへと社名を変更したSNSの運用会社。メタの収益のほとんどは広告収入でFacebookなどで集めたユーザー情報を広告に利用することで的確な広告を出すことが可能になっている。

製品やサーバーなど物理的な施設をほとんど必要としないため、利益率が非常に高い。近年はフェイクニュースや政治広告が大統領選の結果に影響したことなどから逆風も吹いている。

創業者のザッカーバーグは幼い頃からプログラミングに情熱を持ち多くのソフトを開発してきた。経営については素人で問題になることも多いが、世の中を変えたい、人々を幸せにしたいという理念に共感し多くに資金を集め、成功してきた。

プライバシー、フェイクニュース、Facebookの離れなどから、VRへ注力するために社名を変更している。

理想主義の無邪気な若者が規制を破って行動し、革新を起こしていく好例だが、日本では若者をリスペクトせず地道な仕事をやらせる傾向すらある。若者にチャンスを与え、サポートできるかに日本の未来がかかっている。

自社のできることではなく、顧客のために何ができるか考えることを重視する姿勢がAmazonを生んだ

  AmazonはECサイトとして人気を博しており、顧客第一、長期思考、発明を重視し様々な分野への進出も続いている。

利益を上げることよりも成長を優先するスタイルは今ではよく見られるが、Amazonのように成功することは少ない。今でも売り上げは大きく伸びているが、利益は出てない。

利益が少ない理由は

・利益が出そうになると商品価格を下げる

・研究開発などの先行投資に多額の予算を当てている

など。これらによって他業種へ進出し業界の慣例を崩し、事業を拡大している。

日本企業は新規事業を行う際にも自社の強みが活かせるかを重視する傾向にあるができることから考えると事業プランはどんどん小さくなってしまう。Amazonは自社のできることではなく、顧客ニーズが明らかでその意義がつづけば、自社にできない分野にも積極的に進出していく。

 また、民泊のエアービーアンドビーやライドシェアのウーバーなど既得利権をおびやかすようなものを規制してしまう傾向も強く、意義のあるベンチャーを産まない構造になってしまっている。

日本の特性を活かせばチャンスもある

 1990年代、日本は産業界の勝者で、産業革命のもたらした大量生産に適していた。大量生産を支える工場で働く人に求められた3つの資質を最も持っていたのが日本だった。

・時間厳守

・服従

・反復作業に慣れる

しかし、アメリカを中心に第3時産業革命(情報革命)の波が起こったこと、大量生産の場が中国などに移ったことで徐々にその繁栄はピークアウトして行った。

革新的な提案ができるのは「バカ者、若者、よそもの」の既成概念を持たない人々。産業革命後に求められるようになった能力とは真逆の人々。

強烈な個性とビジョンを持つ個人を応援する仕組みを作る為にも、大企業がベンチャーを支援するような仕組みが日本には求められている。

トヨタやソニーは危機感を持ち起業家の育成やベンチャーへの投資、社内ベンチャー制度の作成を行なっている。

起業家を吸い寄せ、ベンチャーを支援する際に必要となるのは、トップの理念と構想力。トップが目先の話ばかりをするのではなく、未来を見据えることが非常に重要。

明治維新や第二次対戦後の復興など日本は180°転換するようなこともある。集団主義の文化が濃いことは変わることを拒む要因にもなるが、場の空気が変わると雪崩を打ったように変わることもできる。日本の特性を活かせば、大きなチャンスに変えることができる可能性も十分にある。

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