シリコンバレーの学び方を知れば日本の弱点を改善できる

　シリコンバレーに対する一般のイメージには少し偏りがあるが、それでもシリコンバレーで暮らしたり、働くことには魅力が大きく、学べることも多い。

　最先端のテクノロジーを利用したいと感じる人の多さが顧客の多さにつながり、それを活かしてテックで成功する人も多い。

　成功によって得る金銭も桁違いだが、金銭以上に社会に貢献しているかどうかで尊敬されるかが決まるなど決してお金儲けのために集まったばかりではない。

　筆者はサンリオでのアメリカ勤務を経て、シリコンバレーに移住し、様々な仕事をおこなっている。シリコンバレーで働くようになってシリコンバレー流の「学び方」も体験することとなった。　

　シリコンバレーの学び方は発展的に学び続ける方法で、実践することで日本の弱点である企業歴が長くなった際の学びの少なさを変えることができる可能性がある。

机での勉強だけでなく経験やラーニングが重要

　シリコンバレーにいる人たちはなにかを勉強するという感覚が薄い。やりたいことや探求しているものがあり、そのやりたいことや探求するために必要な経験やスキルセットを身に着けてるために勉強している。近年よくいわれるミッションドリブン、ビジョンドリブンなどの生き方をしているといえる。

　日本での勉強は机や本を読むなどのスタディがイメージされるが、シリコンバレーでの勉強や学びはエクスペリエンス（経験）やラーニング（学習）を使う場面が多い。

　シリコンバレーでは好奇心を発端にし、体験や経験を通じて、失敗しながら学んでいくことを行っている人が多い。

　学習の内容がどう役に立つかイメージする

　スタディに相当するような勉強を地道に行うことも大切なことで、仕事に関連する本に目を通したり、仕事に関わる資料はすべて読み、頭に入れておくべき。情報収集を習慣化しておくと積み重ねでベースとなる知識に大きな差をつけることができる。

　スタディが有効となるのは、自分がやってきたことや、やりたい仕事に対しどのように役立つかイメージができていたり、興味があること好きなことである場合。

　なんとなく我慢して勉強するのでなく、具体的に役立つかを想像することで勉強の価値が大きくあがる。

転職は最も効果的な学習法

　特に30代以降の人にはスタディだけでなく、エクスペリエンスとラーニングを意識してほしい。これらを最も効果的に行う方法は転職。

　転職は新しい環境に入ることで、新しい人に出会い、様々な刺激を受けることでそれだけで経験値が引き上げられていくため、多くの人が転職に抵抗を感じているのはもったいないこと。

　勉強してから転職するのではなく、転職して強制的にエクスペリエンスとラーニングを行うほうが学びは速く、深くなる。失敗しても経験は残るので次の環境に身を投じればよい。

　転職をすることで社内でしか役に立たないノウハウが使えず、自分の市場価値がどこにあるかを知るきっかけにもなる。

　シリコンバレーに限らず、アメリカでは一つの会社に長く務めるケースは少なく、階級を上げて仕事をしたい場合は転職を行うことが一般的。転職を繰り返すことで自分の興味や関心、得手不得手を知り、知見を積み重ねることでキャリアを築く人は多い。

　様々な経験を積んでスキルセットを厚くすることは捨てられにくい人材になるためにも必要。転職は新しい環境で成長することの体験としても重要なため、難しれば社内転職として異動で仕事を変えることからはじめると良い。

転職は早い方が有利

　アメリカでは教育システムもラーニングとエクスペリエンスを重視している。受験勉強が存在せず、高校の成績を長期的に評価するシステムで、学校の成績もグループワーク、プレゼン、レポートが中心で決まるため、日本のような知識を詰め込むスタディ重視システムとは大きく異なっている。

　シリコンバレーでの成功が大きな報酬につながるのは、ストックオプション（報酬として株を一定額取得できる）によるもの。会社が成長し株価が上昇すれば差分を利益として受け取ることができる。

　日本企業に進出する企業への転職もおすすめ。日本のビジネスの知見や人脈を必要とする場合も多い。ただし、進出する業界に日本に関する知見が広まれば価値は減少するため、転職は速いほうが有利。

　DX、ガバナンス強化、オンライン化の進行などトレンドに乗った転職であれば、これまで転職しにくかった人でも転職できる可能性も有る。大きく成長しそうな業界であれば自身の経験値も大きくなる。

自分について知ることで人に対しての理解も深まる

　自分のことは自分が一番分かっていると思いがちだが、自分の価値観や考えを分析することは非常に重要。自分を知ることができるだけでなく、多様性について考えることにもつながっていく。

　シリコンバレーではスタートアップの成功要因は人だと考えられており、スタディの領域でも理論やケーススタディを学ぶだけでなく人を学ぶことを重視している。人がどのような特性を持ち、どのような行動をするか理解することがビジネスを成功に導くと考えられている。

　自分について学ぶことは、得意なことを知りブランディングすることにもつながる。日本では会社名がブランディングと思われがちだが、自分に何ができるかを知り、ブランディングすることも非常に重要。

自分が何をしたいのかを明確化する

　良い転職の機会を得るためにの基本動作は3つ。

1.いろいろな人に会社を辞めるつもりと話す

　自分について開示することで周囲から話を持ちかけられることが増える。

2.履歴書を用意する

　年に一度履歴書を作ることで、自分の実績やスキルセットの振り返りができ、自分が履歴書に書きたい項目を考えれば学ぶきっかけにもなる。

3.ヘッドハントや転職サービスに登録し興味を持った会社の人と会って話す

　自分へのオファーがあるかを具体的に知ることで自分の市場価値を知ることが可能

　日本では終身雇用が崩壊したといわれながら、新卒で入った会社で定年まで勤めることに違和感を覚える人は少ない。社会や環境に目を向け「自分は何をしたいのか」を考え、明確にすることで自分のミッションと会社のミッションを合わせると最大のパフォーマンスを発揮することができる。

　変化は中にいると感じにくいため、中の世界だけで生きている人は取り残されてしまう。外に目を向けて変化に目を向け直視して対応することが必要となる。

やりたいことに合わせて学び方を考えると良い人生になる

　シリコンバレー流に生きるために指針は5つある

1．トレンドのシフトに乗る

　新たなトレンドが現れたときに乗ることが、成功には重要。まずは新しいもので目についたものをまず試してみる姿勢が重要

2．一つの仕事にこだわるな

　小さい領域だけで活動するのはもっといないかもと考えてみる。

3．信念を貫く

4.あきらめない

5.自分の周りの人を成功させる

　日本にいてもシリコンバレー流に働くことは出来る。今の自分にとって何が必要かを考え、学びかたもそれに合わせて変えて、活用できる部分を組み合わせればより良い人生を送ることもできる。