- 技術が人間を助けるのか、取って代わるべきなのかをはっきりさせる必要がある
- デジタル革命ではサービスの改良ではなく、置き換えが起きている
- 国家や企業が様々なデータを入手し、利用し始めている
- デジタル化に反対するのではなく、どのように生きたいかを考えるべき
- ベーシックインカムの導入は財源よりも心理面で困難
- 効率性の追求は幸福度とは無関係で、そのことを教育することが大事
- 「支援」から「とってかわる」への変化は人間性を失わせる
- 技術的な完璧さ、無制限の道徳律は残酷さにつながる
- 第4次産業革命ではデータの価値が上がり、人間の人間性ではなく、データに重きが置かれている
- デジタル革命と経済制度の変更で持続可能な経済発展と個人の自主性を活かした社会が可能となる
技術が人間を助けるのか、取って代わるべきなのかをはっきりさせる必要がある
2018年現在の時代の転換期にたっている。オートメーション化が、人類史上初めて賃金労働無しで満足な生活を可能にするかもしれない。
しかし、このような新しい社会を設計をGAFAをはじめとした一部の利益追従者が行っていけば人々の求めるユートピアではなく、ディストピアとなってしまうかもしれない。
筆者はいくら拒んでもディストピアになるという運命論ではなく、未来を形作るという意思を持とうとする楽観主義に寄与したいと考えている。
技術が人間を助けるべきなのか、人間にとって代わるべきなのかをはっきりさせることが重要となる。取って代わる場合は人間をデータとしての価値しか見ないようになっていってしまう。
デジタル革命ではサービスの改良ではなく、置き換えが起きている
現在、第四次産業革命による大きな変動が起きている。デジタル革命によってこれまでのサービスが改良ではなく、新しいものに置き換えられる変化が起きている。
これまでの産業革命は従来の効率を上げることが目的だったが、第四次産業革命ではそれだけでなく、人間そのものの改善や置き換えが行われている。
これまでの産業革命でも職が奪われることはあったが、新たな仕事が多く誕生した。第四次産業革命でも仕事は生まれるが、その数はなくなる仕事よりも少ない可能性が高い。
実際に多くのIT企業はその売り上げに対し。従業員の数は従来より非常に少ない。
膨大なデータ処理が可能にあったことでデジタル企業はサービス提供だけでなく、人々のデータを集める諜報機関にもなっている。数値化可能なデータにみを重視する効率性優先主義が唯一の文化尺度になると非人道的な社会になってしまう。
国家や企業が様々なデータを入手し、利用し始めている
デジタル企業や国家のデジタル利用は人々のデータを入手し、様々なことに利用いている。
中国では社会信用システムで国民の行動を把握し、点数付けし始めている。
AIなどのデジタル機器に頼り過ぎると人々が判断するのは好き嫌いだけになるかもしれない。
判断力を奪われた人たちからお金を巻き上げることは非常に簡単になる。
デジタル化に反対するのではなく、どのように生きたいかを考えるべき
人間は過去、現在、未来の3つの時間軸で生きている。社会に存在しているものを認識するためには、それが何から出来上がったかを知る必要があり、そのために歴史が必要となる。
過去を振り返りデジタル化に反対する人もいるが、持続的な未来がなく、現実的な対案をもたにないことが多い。どのように生きたいかのような問いに答えることが重要になる。
デジタル化によって機械が人間に代わって労働を行う、賃金労働の無い世界が良く想像されるが一部の人だけを無制限に豊かにするだけの可能性も有る。
また、仮に多くの労働を機会が行っても、働くことが人間の存在を尊いものにするという考えもあり、変えるのは難しいかもしれない。
ベーシックインカムの導入は財源よりも心理面で困難
機械による労働で多くの人が職を失った場合、国家が最低限の生活を保障するためにベーシックインカムを実施することが検討されている。
財源も色々地議論されているが。筆者は金融取引への課税が有効と考えている。
スイスの例ではわずか0.05%の課税で28万9000円のベーシックインカムを賄うことができるほど。
しかし財源はさほど難しい問題ではなく、心理的な側面のほうが難しい。労働をしていない状態だと自分をだめで役立たずと思う風潮があったったり、働いてお金を稼いで一人前という考えもあり、仕事が社会的な承認を得るものになっている。
ベーシックインカムの導入には人間の価値を仕事から切り離すことが重要になる。
効率性の追求は幸福度とは無関係で、そのことを教育することが大事
技術が人類の役に立ったことを否定する人は少数だが、技術の進歩と幸福度が一致するとは限らない。
人間が幸福を感じるのは人間性に属するものであり、過度な効率性の追求は幸福度の向上には影響していない。
教育もこの点を考慮し行うことが重要。技術の使い方を教えるのではなく、技術が重要となる社会で自分の立場をきちんと理解することを教える必要がある。
教育はなにかを効率的に行うためでなく、子供たちの好奇心と内面的なモチベーションを中心に据えることが特に重要となる。
「支援」から「とってかわる」への変化は人間性を失わせる
新自由主義による有用性と経済的な成功はデジタル化と相性が良い。効率化による問題と解決が当てはまらない事例もあり、一部で暗い影を落としている。
料理をしなくなり、キッチンがなくてもよいのは確かに効率的だが、料理をみんなでする喜びは失われていく。
デジタル化による「支援」が人間に「とって代わる」ようになると社会から人間性が失われることになる。
技術的な完璧さ、無制限の道徳律は残酷さにつながる
完全な透明性を持つ社会や無制限に膠着した道徳律は残酷さにつながる。シリコンバレーのメンタリティは技術的な完璧さを求めており、そのような解決主義から逃れるメンタリィティを持つ必要もある。
第4次産業革命ではデータの価値が上がり、人間の人間性ではなく、データに重きが置かれている
第一次産業革命では人間としての価値を考慮せず、労働力としての価値のみを認めたため、大きな混乱やストレスを招いた。
第四次産業革命では個人の価値を人間性ではなくデータとしての価値のみを認めており、同じような混乱を招いている。
データビジネスが加速し、一部の大量のデータを持つ企業のみが大きな利益を持つようになっている。不透明なデジタル企業にデータのすべてを渡しすことを避け、同意なしでの個人データの商売は禁止されるべきでもある。
デジタル革命と経済制度の変更で持続可能な経済発展と個人の自主性を活かした社会が可能となる
機械の利用で人間の労働時間は確かに減っているが、自主性を尊重される社会が失われ、人間の行動が操作される懸念がある。
この流れが進むと人間はデータとしての価値しか持たないようになってしまう。
社会システムの抜本的な改革やベースシックインカムの導入、自分の持つデータをどのように利用するかを決定する権利、AIビジネスの制約などを適切に行うことで、デジタル革命自体はより自主的に自分の人生を展開する可能性を人々に提供し、持続可能な経済にする可能性も有る。
しかしそのためにも現在の経済体制を改革する必要がある。難易度の高いことではあるが、悲観主義ではなく楽観主義で解決を使用とすることが大事になる。
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