バブル再び 長嶋修 小学館 3分要約

3分要約

バブルとは何か

 従来の常識を超え資産価格が膨張し、その含み益がさらなる投資や消費を招くことで発生する。

これから起きるバブルは買いが買いを呼ぶ資産のインフレのスパイラルが起きる。

バブルになると何が起こるのか

 日経平均が4万円を超え、不動産価格が上昇する。ただし、資産価格だけが上昇するため多くの生活者には景気回復の実感はない可能性が高い。不動産も一部が上昇し、残りは下降するため格差が広がる。

なぜバブルが起きるのか

 不況を回避するための財政出動や金融緩和、特に金利減少がきっかけとなる。日本の不動産は割安なため、世界的に金利が下がり国債や社債が運用益を生まなくなれば、別の投資先として日本が選ばれる可能性は高い。バブルは多くの場合、金余りが要因となる。

バブルが崩壊したとき何が起こるのか

 企業は事業で失敗しても土地などの利益で解消できる為、本業がおろそかになる。インフレを抑えるような政策がとられれば、土地の利益で補えなくなり、バブルが崩壊する。

 バブル崩壊が金融システムのリセットのタイミングになる。現在の金融システムは金利によって経済成長を続けることが前提になっている。ゼロ金利などが続いているのは経済成長の行き詰まり、資本主義の限界を表しており、システムの崩壊を起こす可能性は高い。そのきっかけがバブル崩壊になるかもしれない。

バブルとその崩壊にどう向き合えばよいのか

 新しいシステムへ移行する際にソフトランディングできるのか、ハードランディングで大きな改革を伴うのかはまだよくわからないが、新しいシステムへの変換は基本的な価値感、仕事、生活のあり方まで大きな転換を求められる。

 過渡期を迎えることが大変だが、ピンチはチャンスであり、変化の中にヒントがある。

巨大なバブルがやってきたのち、破裂し新しいシステムに移行する

 これから1990年を超える巨大なバブルがやってきて、日経平均株価は4万円を超え、不動産価格がさらに向上していくと思われる。

 マネーの総量がかつてないほど膨らみ、想像できないような新しい取引き市場が生まれる可能性もあある。多くの生活者には景気回復の実感はないが、株や不動産をはじめとした資産価格だげが上昇していく。

 これからやってくるのは買いが解を呼ぶ資産のインフレ。不動産価格が上がる➡値上がりを期待し、多くの人が購入➡ますます価格が上がるというスパイラル。

 史上最大のバブルが続いたのち、金利上昇などをきっかけにバブルがはじけて終焉する。その際に新しい金融システムの移行など歴史的な社会、経済システムの移行が起きる

 基本的な価値観、仕事、投資、生活のあり方まで大きな転換を迫られる。バブルをきっかけに社会がどう変化するのか、どう向き合えばよいのかを考察していく。

不況を回避するための政策がバブルを生む

 コロナ禍によって一時的な株価低迷はあったがそのご、かつてない株高を記録している。これは金融システムの崩壊がなく、マネーがあふれかえっているため。

 歴史は繰り返さないが韻は踏むという格言の通り、現在の状況は1980年代後半のバブル期に似た状態。当時はプラザ合意による円高で不況が心配されており、回避するために大規模な財政出動や金融緩和が行われ、バブルのきっかけとなった。

 1990年と状況の違う部分は多数あるが、バブル崩壊によって社会の空気感は別世界のように変わったため、時代の潮目を把握しておく必要がある。

不動産価格は3極化する

 不動産価格では3極化し、東京都心を中心にした局地的なバブルが発生する。15%ほどの一部の都心は価格維持か上昇、70%はなだらかに下降し、残りの15%は無価値になっていく。コロナ後もこの傾向は続き、格差は広がっていく。

 都心のベットタウンは共働き世帯からは人気がなく、駅近、会社の近く、利便性の高い都心の地域の人気が高まっていくが供給量を上回るため、価格の上昇がみられている。

あふれたマネーが日本に流れ込みバブルになる

 今後の資本バブルの中心が日本になる可能性は高い。日本の不動産は割安感、安定感があり海外のファンドが日本への投資を決めているため。

 世界の多くで財政出動と金融政策が行われ、金利が減少しているため、国債や社債では運用益を生まなくなっており、あふれるマネーをどこに振り向けるかを考えると不動産は有望だが、リスクはとりたくない。その中でコロナの状況のマシな日本に資金が向かっている

 いつの時代でもバブル化する理由は金余りが要因になる。今回のバブルは資産でのみ起こるため、日本中が浮かれるようなことにはならず、格差は広がっていく。

バブルで何が起きるかは前回のバブルが参考になる

 今回のバブルで社会でどのようなことが起こるかは1990年のバブルで起こったことを知ることが、手掛かりとなる。経済学、理論的には説明不可能な異常な市場はどうやって形成されたのかを知ることが大事になる。

 第2次大戦後、経済復興を遂げ高度成長を実現してきた。そのなかで所得倍増計画を掲げたことなど国民所得も大きく伸びてきた。地方から大都市に移る人も増え、持ち家信仰によって住宅が飛ぶように売れるようになった。

 1985年のプラザ合意は為替レートの安定化に関する合意で、アメリカの貿易、経済赤字解消のため、ドル高を是正しようというもの。日本にとっては円高による輸出減少による不況が予想されたため金利引き下げなどの財政出動と金融緩和を行った。

 円高は輸出には厳しい一方、海外の商品や不動産を安く変えることになり、多くの不動産を日本が購入することになった。

 金利が下がることで地価が大きく上昇するインフレ下では、マネーの価値が下落するためさらに土地を買う人が増え、土地は値上がりして当たり前という前提で形成されていった。

 株や不動産で同じ動きがみられると多くの企業で軋みが出始める。事業で失敗しても土地などの利益で解消できる為、ハイリスクない事業への進出や放漫な経営を行うようになって本業に支障が出るようになる。投機的な土地売買が総量規制などで抑制されると、資金の流入減りバブルは崩壊していった。

 バブルは従来の常識を超え資産価格が膨張し、その含み益がさらなる投資や消費を招くことで発生する。現在世界で余ったマネーが日本に流れれば、バブルになる可能性はある。

バブル崩壊で金融システムの崩壊とリセットになる

 筆者はバブル崩壊が金融リセットのタイミングになるとにらんでいる。日米欧のどこかか、同時多発的に起こる止まらない金利上昇など金融システムの崩壊が金融リセットのきっかけとなる。

 現在の資本主義経済は金融機関にょる信用創造を原則になりたっている。さらに金利が存在することで永遠に経済成長することを前提にしたシステムになっている。

 世界的な経済成長に行きつまりが見え、金利がゼロやマイナスになると永遠に成長するという前提が崩壊してしまう。

 持続可能でない以上、いつかは金利をコントロールできなくなるなどで、システムは崩壊してしまう。その際に各国が膨れませた負債をどう処理するかがポイントになる。

 新しいシステムへ移行する際にソフトランディングできるのか、ハードランディングで大きな改革を伴うのかはまだよくわからない。

国際情勢も大きく変化する

 時代の変換期の中で日本をめぐる国際情勢も大きく様変わりする。アメリカは国民の分断がひろがり、国内のことで手いっぱいとなり、米軍の縮小、基軸通貨の終焉で世界への影響力は小さくなる。

 アメリカの言うことを聞く国というイメージある日本もアメリカとの同盟、協力関係を続けてきた中枢部の解体、分解を余儀なくされている。

 イギリスはEU離脱もあり、アジアへ目を向けており、日本との連携も重視している。金融の中心であるロンドンシティがEUを出て向かう先がアジアであることが予想されており、日本でも金融拠点を東京だけでなく複数設けようとする話が出ている。

 税制や外国人の生活環境など改善すべき点もあるが実現すれば、多くのマネーが日本に流れ込むことになる。

インフレが進めばマネーの価値が下がる

 こうした社会の激変期にあって筆者は何に投資したらよいかと聞かれることが多い。仮想通貨は価値の裏付けが需要のみでいつゼロになってもおかしくない。株式は世の中がどうなっても企業が消滅しなけれなば権利は残る。ただし、勢力図が変わり新しいビックベンチャーが生まれる可能性も高い。通貨はどれも同じ運命でドルやユーロが大きく下がれば、円も影響を受ける。それでも金融システムにゆらぎが生じたときに買われるのは円とスイスフランであるので、通貨であれば円で問題ない。

 不動産は下位15%の物件は即座に早く処分し、中位70%の物件も早めに売却するすべきだが、上位15%の物件は盤石となる。

 インフレが進めばマネーの価値が下がり、不動産の価値が上がる。今不動産をローンで買うなら金利を固定にしておけば、インフレで金利が上がったさいのリスクヘッジとなる。

資本主義の限界から経済システムが大きな変革を起こす

 資本主義はこれまで最もうまくいった経済システムだが、限界がみられる。世界的な金融の自由か、新自由主義はトリクルダウンを起こすことなく、格差を拡大し、分断を生んでいる。

 デジタル通貨の導入なども検討されており、経済システムが大きな変革を起こす可能性は充分に高い。

 AIやロボット技術の進歩が多くの仕事を失わせていく。多くの仕事がなくなればベーシックインカムのや生活必需品の配給で生きていくようになる可能性も有る。

 社会の激変期を迎えることは大変だが、ピンチはチャンスであり変化の中にヒントはあり、冬の後には必ず春がやってくる。

 

 

 

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