3分要約
プロセスエコノミーとはなにか
従来のビジネスは製品などアウトプットを売ることが多かったが、近年、アウトプットを作る段階も売ることが増えている。作る段階を売ることがプロセスエコノミー。
なぜプロセスエコノミーが注目されているのか
データをインタネットで簡単にいきわたるようになり、製品も一瞬コピーされてしまうためアウトプットの質(性能や機能)で勝負することが難しくなった。
アウトプットの質で差がつかなくなれば、価格競争に巻き込まれてしまうがプロセスはコピーできないため、差別化をしやすいこともあり、注目を集めている。
価値観の変化(機能性からストーリーや意味を求める)や物質の価値の低下が進んだこともプロセスエコノミーが注目される要因。
プロセスに価値を持たせるにはどうすれば良いか
人間は本能的に社会的な動物で、共有、共感を持ってもらうことが重要。論理的な説明以上にわくわくを共有し、連帯感を出すことが重要。
アウトプットの質を上げることには正解があるが、プロセスには決まった正解がない。意味を持たせ、共感を得るためにはプロセスやなぜやるのかを開示し、修正していく姿勢が必要。正解主義から修正主義への転換が重要。
プロセスエコノミーの問題点はあるのか
プロセスだけで注目し、アウトプットの質を上げる努力を怠ったり、プロセスに注目が集まってしまうと自分のやりたいことから離れてしまうなどの問題もある。
理想と現実のギャップを客観的に捉え、地道に取り組みギャップを埋め、アウトプットの質を上げる姿勢が重要。
プロセスエコノミーはビジネス以外でも利用できるか
壮大な目標を掲げるような場合は、自分が夢中になりその熱が伝わって広がっていく必要があり、プロセスドリブンが巧くいく場合も多い。
SDGsのような地球規模な課題にも役に立つはず。
プロセス自体を売るプロセスエコノミーが注目されている
良いものを作るだけでは売れない時代がきている。情報はインターネットで行き渡るようになり、製品は一瞬でコピーできるようになっているため、どれも似たようなものになって新製品にワクワクしなくなっている。
これは企業の製品だけでなく、個人のクリエイターにも当てはまるようになっている。このような状況でプロセス自体を売るプロセスエコノミーはコピーできないことからも注目されている。
完成品を売ることになれていると、プロセスをビジネスにすることを邪道に感じる人も多いが、アウトプットの質だけでは勝負することは難しくなり、プロセスを通じてファンを作らなければ、同業との価格競争に巻き込まれてしまう可能性は高い。
ゴールから逆算してステップアップするのではなく、日々歩いていることに喜びを感じ、ひらめきに従うことが変化の早い時代に適している。
消費者が求めるものが機能性からストーリーへ変化している
商品のクオリティの違いが出にくい以外にもアウトプットで差異を出すことが難しくなった要因が価値観の変化。特に若い世代は、生まれたときから「ないものがない」という乾けない世代とされ、物質的な成功ではなく、精神的な物を求める傾向が強い。
このような変化は役に立つものよりも意味があるものを求めることにつながっている。機能性を求めれば一番以外に意味がなく、勝者総取りか過当な価格競争になる。しかし、意味を持つ=ストーリーがあるものはその人にとって意味があればよいため、多様性があり、差別化が可能になる。
物質の価値が下がることでプロセスの重要性は増す
家族や近所、会社などのリアルな世界でコミュニティが消滅し、所属欲求を満たす先がなくなると、人々は消費活動で所属欲求を求めるようになっている。
商品の質だけではなく、その思想やメッセージに共感し商品を買ったり、応援することは信者ビジネスと揶揄されるが、現代において、人々の所属欲求を満たすことの価値は品質以上の価値をもつようになっている。
テクノロジーの発展による物質の価値の低下は今後もどんどん進行し、プロセスの重要性は増していくはず。
論理的な説明ではなく、ワクワク感、価値観の共有が大事
オバマ大統領が高い人気を得たのは、マイノリティーとしての苦しみやアメリカが与えてくれた自由などのエピソードで、自身の生き様=プロセスを開示し、共有することで共感を呼ぶことが大きな理由。
自分の話をして距離を縮める→共通点を探し連帯感を作る→やりたいことを説明するという骨格をもつと人々の共感を得やすくなる。出された結果だけを論理的に判断するのではなく、多くの判断は直感的に行っているため、わくわくを共感することは連帯感を作り出すためには欠かすことができない。
人間は本能的に社会的な動物で他人とプロセスを共有したり、利他的であることに幸福を感じることができるため、プロセスエコノミーは本質的に人間にあっているものといえる。
正解主義から修正主義への脱却が価値観の共有へつながる
プロセスエコノミーの価値がわかっても、意識を変えないと実装することは出来ない。理屈を理解するのではなく、感覚としてとらえていくことが重要。
アウトプットの質だけに捉われないようにするには、正解主義から修正主義への転換が重要。修正することを前提に、β版でとりあえず、表に出し、フィードバックを基に修正を行えばよい。
変化が激しい時代では初めからゴールを決めてしまうと選択肢が狭まり、成功から遠ざかってしまう。小さな失敗をしながら徐々に質を上げることを意識する必要がある。
組織や企業では従来のアウトプット重視の姿勢から抜け出すことは難しい。プロセスを開示することで真似をされることを懸念してしまうが、消費者が質ではなく、人生を豊かにするか等の意味を重視していることは意識すべき。製品は真似できても価値観をコピーすることは出来ない。
whyを示すと共有と愛着を得ることができる
プロセスエコノミーを実践するうえで重要なのはWhy(なぜやるのか哲学、こだわり)をさらけ出すこと。
機能的に優れた製品が市場に出ても、中国などにすぐにコピーされて低価格で販売されてしまうようにWhat(アウトプットの内容)での差別化は難しい。
一方で、Appleやナイキのように強いコンセプトをもっているブランドであれば、機能的に他社がまねをできても脅威にならず顧客が離れることはない。
Whyを持っている時に必要なことは以下の3つ
1.自分ならではのこだわり
2.責任感
3.弱さの自己開示
これらのことを知ると消費者の共感を得やすく、商品だけでなく作った人への愛着につながっていく。
プロセスエコノミーはビジネスメリットも大きい
プロセスや背景を公開することで利用者や消費者を増やしている例は多く見られる。
多くの企業は製品を知ってもらうための広告費やAmazoneなどでのECサイトで販売するときに多くの手数料を支払っている。しかし、プロセスエコノミーを進める中でファンと直接つながることができれば、これらの費用を大きく減らすことができる。
費用が浮けば、より良い製品やサービスを作るためにお金を使うことができ、消費者とWin-Winの関係を築き、さらにつながりを強化することができるようになる。
プロセスエコノミーにもデメリットはある
プロセスエコノミーにもデメリットはある。プロセスだけにフォーカスしうまくいってしまうとアウトプットの質が上がらないような場合もある。
プロセスやビジョンに共感を得ることは欠かせないことではあるが、地道にアウトプットの質を上げる努力を続けることを忘れてはいけない。
他にもプロセスの公開がうまく行くと
・本当に自分がしたいことから離れて期待に応えようとしてしまう。
・同じような考えを持つ人の意見ばかり見るようになってしまう
などもデメリットになる。理想と現実のギャップを客観的にとらえ、プロセスに溺れることなく、地道にギャップを埋めていく姿勢が重要。
壮大な目標にもプロセスエコノミーが有効
人間が何かに夢中になるには、
・得意である
・得意なことをやっているだけで楽しい
・誰かの役に立つ
の3つの条件を満たすとき。
正解主義から修正主義への変化する時代では、はじめからゴールを目指して進んでいくやり方は通用しない。
自分でも、ゴールがわからない中で楽しいから夢中になる。夢中になっているとその熱が周囲に伝わり多くの人が巻き込まれていくことで、自分の想像しないところたどり着き、誰かの喜びになっていく。
SDGsのような地球的な課題への対応や変化の大きい社会ではプロセスドリブンのほうがうまいくはず。壮大な目標のためにもプロセスエコノミーの発想が多いに役に立つはず。
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