ミツバチと文明 クレア・プレストン 草思社 要約

人類史が始まって以来の付き合いであるミツバチ そのためミツバチは人ルに様々な文化で見ることができる。

  ミツバチはその社会性の高さから、古代から最近までミツバチを道徳的なものと捉えてきた。
 ミツバチは外部からか取り込んだ原料でもの(蜂蜜)を作り出すことのできる唯一の生物。
 人類史が始まって以来の付き合いであり他の動物よりも多く観察され、物語や神話が作られてきた。

ミツバチは我々に無私と恐れを感じさせる

 ミツバチはその社会性の高さから次にようなイメージを我々に抱かせる。

 無私:社会性が高く、常に公益のために与えられた仕事に邁進する。

 恐れ:無私ゆえに個性への欲求を持つ人間からすると恐れを感じる部分もある。

 いわゆる社会の歯車として働くのが良いのかという悩みを思い起こさせる。工業化による分業で、より恐れの感情を強く感じるようになる。

ミツバチの生態もその社会性に影響している

 ハチの中でも社会性を持つものは少なく、ミツバチは例外的な存在。


 蜂蜜を花から運ぶのではなく、自身の蜜胃で生成した後巣に貯蔵する。ミツバチには聴覚はないが、触覚と嗅覚に優れており、花弁の表面を識別しにおいを検知できる。地磁気を感知することもでき、道しるべや巣作りに役立てている。

 ミツバチは蜂蜜の生成、貯蔵、防衛に関わる任務で労働を専門化させてきた。働き蜂はすべて雌であり、雄の蜂は女王蜂との交尾だけをおこない、目的を果たすと追い出されてしまう。

 多種多様な仕事は酵素の分泌とフェロモンの化学的な作用によって可能になっている。

 

 ミツバチのコミュニケーションは円形ダンスと尻振りダンスを使い分けている。
円形ダンスは近くに食料があることを伝えている。尻振りダンスはより複雑でダンスのパターンで
方角を、速さで距離を表していると言われている。

 蜂蜜をつくるためには花蜜を蜜胃の消化酵素で分解し、巣の中で乾燥させる。乾燥させる際には羽ばたくことで熱をだし、蒸発させ糖の飽和溶液ことで蜂蜜ができる。

養蜂で人類とミツバチは長い間関係を持ってきた

 養蜂は4500年以上昔から行われてきた。
ミツバチは高度の系統化せれた習性と社会組織を持つため、人間がほんの少しした介入が絶大な効果をもつ。そのため古代から多少効率は悪くとも蜂蜜を採取することができた。

 農作物の受粉にもミツバチは大きな役割を果たしている。

ミツバチは勤勉性、利他性のイメージを持ち、政治的なモチーフにも利用される

 古代からミツバチには政治と道徳性の象徴としてのイメージがある。
用の無いオスを追い出す、常に花粉を運ぶ姿は、怠惰を許さず勤勉なイメージを
専門化された仕事に邁進し、個よりも集団を優先する姿からは無私のイメージを

思い起こさせる。
 そのため政治的なモチーフに巣の六角形や巣箱が利用されることも多い。

宗教では道徳性と堕落の2つのイメージをもたれてもりいる

 人類とハチの関係性は非常に古いため、宗教でもミツバチがよく扱われる。キリスト教などでは、独自の自己犠牲から道徳性と結びつけられる。
 一方で、ミツバチは腐敗物から生まれるハナアブと似ていたため、堕落した生物と見られることも
あった。欠陥のある生物という2面性が逆に人間に近いとするような考えもあった。

蜂蜜と受粉によってミツバチの経済への影響は大きい

 蜂蜜は粘り気から傷や火傷に塗る薬や内用薬として使用されてきた。蜜蝋が蝋燭が作られたり、発酵させた蜂蜜は蜂蜜酒(ミード)として飲用されてきた。

 人類の総食料の3分の1は昆虫が受粉した植物に由来している点でも、人類の経済に与えるミツバチの影響は多い。現在ミツバチの野生個体群の衰退が世界中で広まっており、地球の肥沃さの喪失の可能性を暗示している。

ミツバチの無私は工場での勤務や共産主義と結びつけられることもあった

 古代からミツバチは欠陥のある部分もあるが、勤勉性や利他的なイメージを持たれてきたが、
近代では脅威や嫌悪、恐怖のイメージが強くなっている。
 産業化後、工場で働く人々の増加によって無私への恐怖が広がった。そのため無私のイメージの
あるミツバチへの嫌悪が高まった。

 戦後の共産主義の台頭も無私をイメージさせるものであったため、アメリカではミツバチを悪役とした映画を作成するようなこともあった。

 共産主義の脅威が去った現在では、徐々にそのイメージを回復しつつある。

コメント

タイトルとURLをコピーしました