宇宙に命はあるのか 小野雅弘 SB新書 まとめ

本の概要

 遠くの世界、火星の大地に立つ場面、宇宙船から土星を眺める場面、これらを想像すると心の奥で何かが戦慄き、ささやく感じがする この言葉になるまえの「何か」についてが本書のテーマ

 「何か」にとりつかれた技術者、科学者、小説家、大衆を主人公とし、人類の過去の旅路を振り返り、未来の旅を予見しながら「何か」とはなにか、人類をどこへ導くのかを考えていく

宇宙時代初期のブレークスルー

 人類が宇宙飛行目指し始めた当初、ロケットは時代遅れの技術で、ロケット花火に毛が生えたようなものでしかなく、当時の先端技術は大砲だった

 しかし、大砲では宇宙にたどり着くことは出来ない ロケットであれば可能であると気づいたことが、宇宙工学史上最大のブレークスルー

ロケットの進化と宇宙開発

 ドイツ生まれのファン・ブラウンはロケット開発を行う技術者であった 第二次世界大戦ではヒトラーがロケットを兵器に使用するためにファンブラウンを雇い開発を進めていた 開発されたロケットはV2と呼ばれた

 ファンブラウンは敗戦前に技術資料を鉱山に隠し、アメリカへの身代金としてアメリカに移り研究を続けた

 しかし、打ち上げ許可がなかなか下りず、その間にソ連が世界で初めて人工衛星スプトーニクの打ち上げに成功してしまう

 アメリカはそれを受け脅威に思い、ファンブラウンのチームに許可を出し打ち上げに成功する

 一般的にはファンブラウンがナチスに利用されたイメージだが、ナチス崩壊後もファンブラウンは研究をつづけ、ロケットを打ち上げることができており、ファンブラウンがナチスを利用したと言える

 これを機に米ソが宇宙開発に膨大な国費をつぎ込むようになる 宇宙開発が冷戦のプロバカンダであったことは確かだが、人々の宇宙飛行を達成した国=科学の最先端と思わせる何かがあったことも事実

アポロ計画

 アポロが月に行った時代、携帯もなくパソコンの性能も低かった そんな中、なぜ月に行くことができたのか 宇宙飛行士の活躍、政治的な要因もあるが、技術者の創造性にも大きな要因がある

 月に行く方法は、月の軌道に司令船を残し、月着陸船だけを着陸させる、月軌道ランデブーモードを当時無名だったハウボルトが提案した 

 月軌道ランデブーモードはリスクが高く、反対をうけるも、その他の方法では月への着陸と地球への帰還を両立できず、月軌道ランデブーモードが採用された

 マーガレットはアポロのソフトウェアにコンピュータがフリーズしそうになったら、宇宙飛行士の生死にかかわるプログラムだけを再起動させるようにアラートを出す機能を忍びこませた

 当時はコンピュータにソフトウェアによって新しい機能を追加するという概念そのものが存在しない中での決断だった

 当初NASAは宇宙飛行士が誤るはずないと却下されていたが、このアラームが発動したおかげで月面着陸を行うことができた

 これらのようにアポロが宇宙に行けた理由には多くの常識に打ち勝った人たちの力があった

地球外生命体

 異世界に生命がいるのかいないのかは意見が分かれているが、我々は異世界についてまだ何も知らない状態

 古代から1960年代までは比較的楽観的で宇宙人の存在は比較的信じられていた

 惑星の探査が始まった60年代、火星や金星が死の星であることがわかり、宇宙人の存在の期待は大きくしぼんでしまった

 しかし、現在さらなる観測によってもっと希望的になっている

 過去の火星には水があったことや火山活動が今でも微弱ながら行われていることや木星の衛星で活火山が見つかったり、海が存在することがわかってことで生命の可能性が少し高まってきた

 また、銀河系には1000億の惑星があるが、人類が探査したのは太陽系の8個にすぎない 宇宙に向けた電波送受信も行われているが、まだ1500ほどの惑星に届く時間しかたっておらず、ただ時間が足りないだけかもしれない

 地球外に文明が存在するとしてもその文明は地球よりもはるかに進んでいる可能性が高い ある文明の誕生が地球より100万分の1早くても1万年以上文明が進んでいる

 一方、100万分の1遅い場合にはまだ、文明が生まれる前の可能性が高い  もし文明があるのであれば、技術は地球に比べはるかに進んでいると思われる

 ただし、同時期に複数の文明が存在するには文明が長く存在する必要がある 地球で見られるエネルギーの消費の増大、温暖化、核戦争などで文明がなくなることが、他の文明でも見られるのであれば同時期に文明が存在する可能性は極めて低くなってしまう

 それでも複数の文明が同時に存在し、人類が絶滅の危機を乗り越えれ、他の文明とコンタクトを取ることができれば、ホモサピエンスはホモアストロルム(宇宙の人)になることができる

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