本の概要
進化学者という聞きなれない分野の研究者がわかりやすく、進化とは何かいう疑問に巻貝という地味な存在から迫っていく
「進化学ファン」を世に増やすことが目的とあるように、ただ進化についての知識を知るだけでなく、その苦労や研究の裏側を面白く知ることができる
遺伝子操作=優生学の復活ではという考えも広がってる
進化は突然変異の内たまたま、現在の環境で優位だったものが次世代に伝わっているに過ぎない環境が変われば有利不利は変化するため、本質的な優劣が存在しない
このような進化学的な考え方は、人を人たらしめているものが、何かなどの答えを導くのに重要となる
進化とは?
自己増殖を行う際には、自身の複製を作り出すが、複製時に少しだけエラーが起き不正確なコぴをができる場合がある
重要な機能にエラー起きると生物は正常に育たないが、重要でない領域やエラーの影響が小さい場合は変化したDNAを持つ個体ができることで遺伝的な変異が起こる この遺伝的変異が進化とよばれる
遺伝的変異のうち、生き残ることや子供を作るのに有利な変異は集団に徐々に広まり、個体の性質が有利なものへ変化する この積み重ねで環境への適応が進む
進化が進んでも生物の多様性が減少しないのは、環境の変化で有利不利が変わるため
遺伝子の技術が進むにつれ、ゲノムで序列化され効率化される新しい優生学の脅威がせまりつつある しかし生きる上での有利不利は条件次第で変わり、本質的な優劣は存在しないともいえる
進化の実例
ガラパゴス諸島のダーウィンフィンチは住みか、餌、嘴の違う15の種からなる鳥
ダーウィンフィンチのグラント夫妻の調査によって、個体間の生存率の違いが自然選択によって引き起こされことが証明された
気象の変化によってエサの大きさが変わると、進化によって嘴の形や大きさが変化していくことを示した例
グッピーはオスだけが体に派手な色の模様を持っている メスはオレンジや青などの色のオスを好む傾向がある
エサの藻類を見つけやすいオスはオレンジのもとになるカロチンを多く摂取できる ➡生存力の強い証となる
一方で捕食者の多い環境ではオレンジは目立ち、敵に狙われやすく不利になる ➡地味なオスと地味な色を好むメスが多くなる
ハワイ諸島は島が西に少しづつ移動するため、西ノ島ほど形成年代が古い 東の島ほど進化の早い段階を見ることができる
島に住むクモは16種類いるが、4つのタイプに分けられる それぞれのタイプは種は異なるものの非常に似ており、同じ環境下では同じ性質を持つように進化する例になっている
進化と種
ある集団に属する個体が進化を繰り返すことど、生殖的に隔離された場合、その隔離された集団は別種とよばれる 集団の個体が別の環境に適応することで種に分かれていく
種が分化していく速度は環境条件で大きく変化する
動物と左右
体の左右がどのようにきまるかについては長年にわたって多くの仮説が立てられていた
胚にできたノードという小さな窪みができる 窪みには多くの絨毛があり、時計回りに回転運動し羊水の流れを作る この流れで運ばれたシグナル分子が感知されると胚の右左で別の遺伝子群のスイッチが入り、体の左右がきまる
一般の動物はこの羊水の流れが逆になると内臓逆位を起こすが、巻貝は貝の巻き方向という外見に表れる唯一の動物 正常な羊水の流れの時は右巻き、異常の時は左巻きになる
巻貝と進化
新しい種が先祖から徐々に変化するのか、中間的な状態無しでいきなり現れるのかは、長年議論されていた 20世紀半ばには徐々に変化する説が一般的だった
しかし、左巻きのカタツムリと右巻きのカタツムリが交尾が観測されない事実から、単一の遺伝子変化が種を分ける可能性がでてきた
実際には左右の違うカタツムリでも交尾できることが明らかになり、この疑問に答えは出ていない
ガラパゴス諸島のトウガタマイマイは天敵(鳥)の捕食圧が強い部分では、殻の色はカムフラージュの役割を果たしている
一方、捕食圧の低い島では太陽光の吸収、反射の機能を果たしていた
捕食圧は古い島ほど高く、島の歴史とともに自然選択の要因が変化したと言える ➡進化そのものが生態系を変化させた例
島で独自性を進化させた異なる生物が互いの関わりあいを高めることで、新しい方向への進化が起きた ガラパゴス=天敵や競争相手がすくない状態に適応したと考えられている
進化学者にとってガラパゴスは排他性と脆弱性のメタファーではなく、あらゆる生物が進化的な価値を持ち独自でローカルであるとともにグローバルな価値を持つもの
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