2つの粒子で世界がわかる 森弘之 まとめ

本の概要

2つの粒子(ボーズ粒子、フェルミ粒子)の定義

 世の中あらゆる物質や力を伝える媒介 これらを細かくしていくと素粒子とよばれる、これ以上分解できない粒子となる 

 量子力学の理論では世の中のあらゆる粒子は二つの種類に分けることができる 

 二つの粒子を分類し、それぞれ粒子の性質を解明した研究者には多数のノーベル賞が与えられていることからもわかるように、二つの粒子は物理学の発展に非常に重要な役割をしている

 電子やクォークのように現状ではこれ以上分解できない粒子を素粒子と呼び、素粒子には物質を構成する粒子でなく、力を伝えるものや粒子に質量を与えるヒッグス粒子など存在する

 あらゆる粒子は波としての性質も持つことが明らかになっている 粒子の持つ波を関数で表わしたのが有名なシュレディンガーの波動方程式 

 量子の世界では粒子の位置を特定することは出来ず、存在確率で示すことしかできない 波動方程式の2乗は粒子の存在確率を表している

 粒子が複数存在するとき、粒子を交換してもその存在確率は変化しない

 x1、x2の二つの粒子がある時 x1とx2を入れ替えても存在確率は変化しない つまり波動関数の2乗は入れ替え前後で同じになる

 [f(x1,x2)]^2 = [f(x2,x1)]^2 となり f(x1,x2) = ±f(x2,x1) となる

 粒子を入れ替えた際に

 波動関数の符号が変わらない➡ボーズ粒子 符号が変わる➡フェルミ粒子と呼ぶ

ボーズ粒子とフェルミ粒子の特徴

複数の粒子

 フェルミ粒子:偶数個集まるとボーズ粒子となり、奇数の場合はフェルミ粒子  

 ボーズ粒子:いくつ集まってもボーズ粒子

粒子の状態とその特性

 フェルミ粒子:複数のフェルミ粒子は同じ状態になれない(パウリの排他則)

 ボーズ粒子:複数の粒子が同じ状態(ボーズアインシュタイン凝縮)になる

 電子はフェルミ粒子のため、同じ状態になれない 同じ軌道上に電子が二つあると上向きと下向きのスピンをもち、違う状態になっている

 ボーズ粒子が同じ状態になるには絶対零度に近い温度まで温度を下げる必要があるため、観測が困難であった すべての粒子が同じ状態になると粘性が失われ、超流動と呼ばれる状態になる

 フェルミ粒子が偶数集まるとボーズ粒子となる 低温まで下げたボーズ粒子が超流動を起こすと物体中を抵抗なく移動できるようになる これが超伝導が起こる理由 超伝導はフェルミ粒子である電子で主に確認されるが、それ以外のフェルミ粒子でも発生する

 中性子星の内部ではフェルミ粒子である陽子や中性子が対を形成し、ボーズ粒子となり超伝導を起こしていることも知られている

 二つの粒子による現象はミクロな世界から宇宙の星に至るまで様々なスケール、幅広さで見られる普遍的なもの

 

 

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