5000日後の世界 ケビィン・ケリー PHP研究所 3分要約

3分要約

5000日後はどんな世界になっているか

 すべてのものがAIと接続され、リアルとデジタルが溶けあう世界で生まれたミラーワールドが巨大なプラットフォームになっている。

ミラーワールドとはなにか

 現実世界に重なった、その場所に関する情報のレイヤーを通して世界を見る方法。VR(仮想現実)は外界が見えないゴーグルの中でのバーチャルな世界だが、ミラーワールドはスマートグラスなどを通し現実に重なる形で映像や文字が出現するAR(拡張現実)。物理的な世界全てをデジタル化し、機械が読み取れるようになる

ミラーワールドではどんな会社が勝者になるのか

 これまでのテクノロジーがもたらした富の源泉が変わるたびに勝者は変化してき。現在のSNSからARへシフトした場合も同じことが起こると予測されるため、GAFAではない会社ではと予想している

新しいテクノロジーの不安とどのように向き合うべきか

 ミラ―ワールドが監視社会を進めるのでは、人間はより幸福になれるのかなどの不安があるが、新しいテクノロジーは我々の選択肢を増やすことで幸せにする。

 テクノロジーに関心をもち、計測し評価することが重要、テクノロジーの問題を解決するにはテクノロジーを減らすのではなく、より多く、良いものを作ることが必要。ほんの少しの変化が5000日後は大きな変化になっていく。思考を止めずに生きることが変化に対応するコツになる。

SNSの後にミラーワールドが巨大なプラットフォームになる

 筆者はGAFA等の巨大テック企業の勝者総取りや無料化が進むことなどテクノロジーによって引き起こされる数多くの変化を予測し、的中させてきた。

 筆者が次の未来に予測しているのは、全てのものがAIと接続され、デジタルと溶け合う世界で生まれるAR(仮想現実)の世界であるミラーワールド。ミラーワールドはSNSに続く新たな巨大プラットフォームの誕生になると予想される。

テクノロジーに耳を傾けることで未来予測ができる

 テクノロジーに耳を傾け、テクノロジーが何を望んでいるかを問いかけることで予測をおこなっている。

 AIは今後50年にわたって産業革命に匹敵する大きなトレンドになっていく。

 リアルタイムな翻訳機やAR機能付きのスマートグラスの普及は百万単位の人々が1つのプロジェクトを行うことを可能にする。

ミラーワールドとは拡張現実を利用し現実世界に重なった世界

 ミラーワールドとは現実世界に重なった、その場所に関する情報のレイヤーを通して世界を見る方法。VR(仮想現実)は外界が見えないゴーグルの中でのバーチャルな世界だが、ミラーワールドはスマートグラスなどを通し現実に重なる形で映像や文字が出現するAR(拡張現実)。

 古い建物を見たときに、以前の姿が実際の建物に重なって表示されるようなイメージになる。

ミラーワールドは物理的な世界をすべてデジタル化できる

 インターネットは世の中の情報を、SNSは人間関係をデジタル化したが、ミラーワールドは物理的な世界全てをデジタル化できる。デジタル化されることで機械が読み取ることができるようになる。

 ビジネスとしては広告ビジネスではなく、定額制のサブスクリプションになることも考えられる。ただし。AR世界の勝者はGAFAのどの会社でもないと筆者は考えている。

 これまでのテクノロジーがもたらした富の源泉が変わるたびに勝者は変化してきたため、現在のSNSからARへシフトした場合も同じことが起こると予測できる。

テクノロジーは我々の選択肢を増やす

 ミラーワールドは監視社会化を進め人間を機械化するのでは?、人間はより幸福になれるのか?などの疑問も残る。

 筆者にも予想が難しいが、人々は健康で自分の時間を自由に使うことに幸せを感じるため、テクノロジーが我々に選択肢の多様化を与えてくれば幸せを感じるはず。

 どんな新しいテクノロジーでも解決と同時に問題ももたらす。需要なのは問題を減らすことでそのためには、データを常に追跡し、テクノロジーを計測し評価すること。新しい技術を恐れるのではなく、監視し、関心をもつことが必要。

物理的に近くにいなくても共同作業できるようになる

 一般的にテクノロジーはどんどん蓄積されるため、古いものが消えてしまうことはほとんどない。フリーランスの数は増加するが、株主が支えるグローバル企業がなくなることもないと考えられる。

 それでもこれまで似ない種類の組織ができる可能性はある。緩いつながりで共同作業をおこなう傾向はみられており、会社とは別の形態の選択肢になっていく。これまでは物理的にその場にいることが共同作業に必要な条件であり、そのため人数の上限も決まっていたが、その制限もテクノロジーで解決できる。

 具体的には、スマートグラスがあれば遠くでもその場にいるような感覚を持ちやすく、ブロックチェーンであれば緩いつながりが増えたときのお金のやり取りはスムーズになる。

AIは今後も進化し続ける

 現在はAIの時代の最初の段階で、今後50年はAIの時代が続き、AIは進化し続ける。現在のAIはアルファ碁のような成果を出しているが、脳の認知能力の一部を人工的に作ったに過ぎない。

 長期的に見ればAIも仕事を奪うのではなく、増やすと考えられる。ただし特定の仕事はなくなるので仕事を変える必要はある。コミュニティが支援すれば50年同じ仕事を続けてきた人でも変わることができるはずでその仕組みを作る必要はある。

 AIに退屈な仕事を任せ、人間はクリエイティブな仕事をすれば、仕事は減ることはない。クリエイティブな仕事というと難しいが世界中がつながるようになったため、百万人に一人が面白いと思えば十分になっており、多くの人がクリエイティブになり得る。

直接的な変化より副次的な効果を予測するほうが難しい

 あるものとあるものを組み合わせた時の直接的な変化を予測するのは難しくないが副次的な効果を予測するのは難しい。オートメーションによって馬車が車に代わることを予測するのは難しくないが、渋滞の発生やドライブスルースタイルの映画館が生まれることを予測するのは難しい。

 このような場合はそのものが世界中に遍在した時に何が起こるかを考えると予測しやすい。

GAFAによる独占も新しい技術で弱まっていく

 GAFAであっても25年くらいで代替わりし、トップの座にはいなくなると考えられる。

 大会社への規制は無意味な場合が多く、大会社を規制すると結果的に彼らを強化してしまう。大会社は規制によるコストを負担できるが小さい会社にはできないため、むしろ競争が少なくなってしまう。

 GAFAによる独占も一時的なもので、ARなどの新しい技術が出来れば独占が弱まっていく。規制や分割は長い時間がかかるため、そのころにはGAFAの勢力も弱まり、規制や分割に意味がない可能性が高い。

消費者が提供したデータのみかえりをもっと受けるべき

 AIにはビックデータが不可欠なため、その価値は非常に上がっている。今後はデータを統治し管理する取次会社が出てくる可能性が高い。重要のことは消費者が他人とシェアしているデータからもっと利益を得るべきだが、GAFAが吸い上げていること。

バイオテックも今後の発展が期待されている

 筆者が最も注目しているのはバイオテック。培養肉は細胞から肉を育てるもので、動物を殺さずない、効率が良いなどの利点から今後重要な産業になると思われる。培養肉は畜産とバイオロジーの組合わせだが、様々分野でバイオロジーとの組み合わせが進むはず。遺伝子編集などの技術の高まりとあわせて新生物学的な時代に入っているといえる。

技術的な困難さよりもインフラや倫理が問題になる

 自動運転、ドローンの活用、スマートシティ、スマートホームなど技術の発展が新しいものを生み出していく。スマートシティではカメラによる個人の認証が必要になるが、人々の抵抗は大きい。このように、今後は様々な領域で技術的な実行可能性よりも社会インフラや倫理、習慣に関する問題のほうが重大になっていく。

 ブロックチェーンを用いた通貨は現在では仮想通貨が、メインだが様々な領域での利用が考えられ、国家が暗号通貨を使用し全ての取引が透明化する可能性もある。

 AR、VRは強力な学習用のメディアになるため教育分野でとても大きな変化が起こる。同じ場所に集まらなくても同じ経験ができるため教育のツールとしては協力。

 オンラインでの学習には大きな可能性があるが、実際の仲間と会うことの重要性は残るため、リアルな大学がなくなるわけではない。一般的な授業はリモートで済むため、大学や高校ではあるプロジェクトを立て、学生同士がその課題を一緒に学ぶという形式になっていく。

今世紀はアジアの世紀となるかもしれない

 これらからはアジアの世紀と呼べるかもしれない。アジアの人々が中産階級化するうえ、中国とインドの人口を合わせると世界の人口の1/3を占める。

 中語気はアメリカ企業を上回る可能性は充分ある。国家の後押しで中国の巨大企業が世界に進出できる可能性はあるが、ファーフェイのように国家との関係性の強さから排除されたり、海外へのアクセスを禁じるファイアウォールは成長を助ける反面、世界で戦っていけるかは疑問。

 それでも10年以内に欧米人を含め世界中の人が欲しがる中国製品が出てくると予測している。

 グローバル化によって工業化時代の前の国や地域の多様な文化は統合され、人間の文化は収斂している。生理的欲求や安全、社会欲求等基本的な欲求は世界中で共通なため、収斂が起きている。

 生活スタイルの収斂が起きている一方で、基本的な欲求の上にある自己実現をか投げる人が増えたこともあり、アイデンティティへの考え方はどんどん多様化している。

都市化はさらに進むとみられる

 将来的には都市への依存はさらに増え、効率的な都市に住み、郊外は農園となりロボットが働く世界になっているかもしれない。

 今世紀中には効率的なエコシステムを形成できるため、産業別に中心となる都市ができ、その分野を目指すならそこへ行くというようになり、都市が国家よりも大きな力を持つようになる。

変化しやすい社会では自分が得意な学び方を知っておく必要がある

 現代は変化が変化求める時代であり、変化が連鎖していくため、自分に合った学び方を学ぶ汎用的なスキルが必要になる。変化しやすい世界では一生のうちに何度もやりかたを変えなくてはいけないため、得意な方法で適応して学ぶ能力を持つことが最も重要なスキルになる。

テクノロジーの問題を解決するには減らすのではなく、より良いものを多く作ること

 テクノロジーには必ず良い面と悪い面があるが、良い面が必ず上回っているはず。目指すべき世界はユートピアでなく今日より少しだけ良い世界=プロトピア。最近200年の歴史から見ても毎年の進歩はわずかでも長寿化、安全の向上、暴力の減少など多くの進化を見せている。

 テクノロジーの引き起こす問題を解決するにはテクノロジーを減らすのではなく、より多くのより良いテクノロジーを作っていくことになる。

成功している企業や人は徐々にリスクを冒すことを恐れ、うまくいかないものに挑戦できなくなるため、徐々にイノベーションを起こせなくなる。

 企業が大きくなると完璧さと最適化を求めるようになるが、新しい発見には最適化と反対で失敗の可能性が高く、儲けが小さく、小さな市場へ方向転換しなくてはならず、その決断は難しい。イノベーションが起こるのは、秩序とカオスの境界上にあり大きな組織ではなかなか取り組むことは難しい。まずは失敗を恥と考えずに前向きにとらえるような考え、仕組みを作ると良い。

思考を止めずに生きることが変化に対応するコツ

 思考を止めずに満足して生きていくためにはいくつかのコツがある。

1.残りの人生を日数でカウントすると、何に集中すべきかの判断をしやすくなる。

2.深い自己洞察を行い、自分が何者かという疑問を持っている。

3.書くことは考える最良の方法。書くことで自分が理解できているか判断できる。

4.常に問い続ける。答えのあるものは機械に聞けば良く問いを考える重要性が増す。

ほんの少しの変化が5000日後に大きな変化となる

 ほんの少しの変化が次の5000日で大きな変化になる。次の5000日の変化のほとんどは精神的なものになっていく。人との関係性や余暇の過ごしかた、自分というものの捉え方や人生観などを変えていく。

 テクノロジーには良い面と悪い面が必ずあるが、新たな選択肢を生み出す。選択肢が増えることはわずかでも良い部分につながりその変化が大きな変化につながっていく。

 

 

 

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