化学 4.化学反応と化学式

3.物質の状態

この本や記事で分かること

・化学反応とは何か状態変化の違い

・化学式は何を表しているのか

化学反応とは何か

 物質の気体や液体、固体などの状態変化は物質の状態が変わるだけであり、別の物質に変化するわけではありません。

 水であれば、液体の水でも、水蒸気でも、氷であっても、H2Oという分子の構造、元素の組み合わせに変化はなく、それぞれの分子の集まり方、結合様式が変化しているだけです。

 一方で、水を電気分解などで分解すると酸素と水素に分解されます。このように物質が別の物質に変化することを化学変化化学反応と呼びます。

化学反応では質量保存の法則は成り立つのか

 化学反応のように物質が別の物質に変化しても質量保存の法則は成り立ちます。

 反応の前後で、物質が別のものになったとしても、反応の前後の全体の物質の質量は変化することはありません。

 化学反応はあくまでも、原子の組み換えが起こっただけであり、原子全体の種類と数が変わることはありません。

 元素記号は100種類以上存在していますが、特に多くの場面で利用されている元素の例としては以下のようなものがあります。

 H:水素、O:酸素、C:炭素、N:窒素、Cl:塩素、Na:ナトリウム、Fe:鉄、P:リン、S:硫黄

質量保存の法則が成り立たないのはどんなときか

 質量保存の法則が成り立たない例外的なものが核分裂や核融合です。

 核分裂は原子核が分裂し、二つ以上の原子核に分裂すること、核融合は二つ以上の原子核が同士が融合しすることを指します。

 これらの反応ではわずかに反応前後で質量が変化しています。失れた質量はエネルギーを生みだし、そのエネルギーの量はE=mc2であらわされます。

 cは光の速度を表しているため、約 300,000 km/sと非常に大きな数値です。核分裂や核融合で変化する質量はごくわずかなものでしかありませんが、生み出されるエネルギーは膨大なものとなります。

 そのため、核分裂を利用した原子力発電や核兵器は極めて高いエネルギーを放出することが可能になっています。

発熱反応、吸熱反応とは何か

 化学反応には反応時に熱を生じる発熱反応と熱を吸収する吸熱反応があります。

 発熱反応の代表例が燃焼です。ガスを燃やして火をつけたり、水を温めてお湯にしているのは、ガスのもとであるプロパンやメタンと酸素が反応し、水と二酸化炭素になる反応中に熱が生じています。

 発熱反応は高いエネルギーを持つ反応物が、より低いエネルギーを持つ生成物になる際に周囲にエネルギーを放出するものです。

 一方の吸熱反応はより低いエネルギーをもつ反応物が、周囲からエネルギーをとりこみ生成物を生成する反応です。

発熱反応にはどんな反応があるのか

 身の回りの化学反応の多くは発熱反応がほとんどです。

 ガスの燃焼のように激しい発熱反応だけでなく、金属が錆びるようなゆっくりとした化学反応でも発熱反応となります。

 使い捨てカイロは鉄の粉と空気中の酸素、カイロの中の水が反応し、水酸化第二鉄という物質をつくる際にでる熱を利用しています。 

 箱についたひもを引っ張ってお弁当を温めることができるのは、ひもを引っ張ることで、別々だった酸化カルシウムと水が接触、反応することで熱を発生させています。

 この際に、酸化カルシウムは水酸化カルシウムに変化しています。

吸熱反応にはどんな反応があるのか

 吸熱反応は発熱反応に比べると数は少ないですが、身近な例としてはラムネを食べた際に口が冷える 現象や瞬間冷却材などが挙げられます。

 ラムネに含まれるクエン酸と炭酸水素ナトリウムが口の中の水に溶けて反応し、炭酸が発生します。この反応自体は発熱反応ですが、生成した炭酸は不安定で、すぐに二酸化炭素と水に分離し、その際に熱を吸収します。

 二段目の反応の吸熱の量が一段目の発熱量を上回るため、口の中がひんやりと感じます。

 瞬間冷却材は硝酸アンモニウムが水に溶解し、アンモニウムイオンと硝酸イオンになる際におきる吸熱反応を利用したものです。

C(OH)(CH2COOH)2COOH + 3NaHCO3 → C(OH)(CH2COONa)2COONa + 3H2CO3

化学式とは何か

 物質がどんな原子からできているかを元素記号であらわしたものが化学式となります。

 水素は二つの原子が結びついて分子を作っているため、H2と表記されます。

 鉄などの金属は多くの元素が結びついて存在しているためFeのように一つの原子記号で表されます。

同素体とは何か

 同じ元素からできていても、その結びつき方が異なる物質は同素体と呼ばれます。

 例えば、炭素Cで表される同素体は様々で、木炭のように結晶構造を持たないものやダイヤモンドやグラファイト、フラーレンのように結晶がはっきりしたものがあります。

 これらはすべてほとんど炭素からできていますが、その形状や性質は大きく異なるものです。

 酸素も原子が2個結びついたものは酸素分子となりますが、3つの場合はオゾンと呼ばれこちらも大きく性質が異なるものとなります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました