化学 5. 有機物と無機物 

4.化学反応と化学式

この本や記事で分かること

・有機物と無機物の違い

・有機物にはどんなものがあるのか、なぜ、無機物よりも種類が多いのか

・身の回りの無機物にはどんなものがあるのか

有機物と無機物はどう違うのか

 有機物の有機とは生きているという意味であり、生命をもったもの、生物が創り出したものの総称として利用されていました。

有機物の例としては、糖類やタンパク質、アルコール、炭化水素など有機体などが挙げられます。

 一方で、無機物は金属や岩石のように生物の関与なしに作られた物質の総称として名付けられました。

 しかし、その後、無機物から有機物を作り出せることが判明したため、生物の関与しているかで有機物と無機物を分けることは難しくなりました。

 現在では、有機物は「炭素を中心にした物質」という意味で利用され、それ以外の物質を無機物としています。

 物質の多くは有機物であり、2億種を超える物質の中で90%以上が有機物といわれています。

 ただし、一酸化炭素や二酸化炭素、炭酸カリウムなど炭酸塩は炭素を含んていますが、有機物ではなく、無機物として扱われています。

有機物にはどんなものがあるのか

 私たちの身の回りにも、有機物は多く見られます。

 例としては、砂糖が挙げられます。砂糖の主成分はスクロースでありその化学式はC12H22O11で、C=炭素を含んだ化合物です。

 小麦粉などに含まれるでんぷんも有機物であり、化学式は(C6H12O5)nと記されます。式中のnはC6H12O5が連なった物質であり、その繰り返しの数を示しています。

 でんぷんの場合、C6H12O5が連なってできており、nが多いほど多くの分子が連なっていることとなります。

 植物の主な構成物であるセルロースも有機物の一種で、その化学式は(C6H10O5)nです。

なぜ、有機物のほうが種類が多いのか

 スクロースもでんぷんもセルロースもすべて、炭素、水素、酸素からできています。

 有機物は同じ元素であっても、組み合わせや結合の仕方が無機物と比較して多いため、有機物の種類は無機物よりも多くなります。

 また、全く同じ化学式でも結合、配置の違いによって違う物質となることがあることも、有機物の種類を多くしています。

 例えば、C3H8Oで示される化学式の化合物は2-プロパノールと1-プロパノールのようなアルコールやエチルメチルエーテルのようなエーテルが存在します。

 最初の二つはOHの結合する位置が異なっており、エチルメチルエーテルはOが二つのCの間に結合しています。

 このように化学式が同じであっても、違う結合様式を示持ち、異なる物質を示すものを異性体と呼びます。

私たちの身体を作っている有機物は何か

 生物のからだを作っているのも有機物です。タンパク質は人間の身体を作り出し、様々な機能をもっているものです。

 タンパク質はアミノ酸が連なってできている物質であり、アミノ酸は炭素、窒素、水素、酸素、硫黄などからできています。

 どんな元素を含んでいるか、アミノ酸がどのように結合しているのか、アミノ酸同士がどのように連なっているのかなどの違いによって、タンパク質の性質が大きく異なるため、少ない種類の原子であっても様々な機能を持つ分子を作りだすことが可能になっています。

無機物にはどんなものがあるのか

 無機物は有機物以外の物質の総称であり、一部の例外を除き、炭素を含まない物質のことになります。

 身近なものとしては、H2Oであらわされる水やSiO2を主成分としたガラス、NaClで表される塩化ナトリウムのような塩類、様々な金属とその化合物などが挙げられます。

 有機物と比較すると、種類は少ないものの、人類にとって欠かせないものもおおく、特にガラス、鉄鋼、セメントなどの無機工業製品は多く製造されています。

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