化学 3‐1プラズマとは

この本や記事で分かること

・プラズマとは何か

・身の回りや自然界で見られるプラズマ

・プラズマはどんな場面で利用されているのか

プラズマとは何か

 気体になった物質にさらにエネルギーを加え続けると、物質の第4の状態と呼ばれるプラズマという状態になります。

 気体は分子間同士が離れた状態で飛び回っていましたが、プラズマは分子が陽イオンと電子に分けられた状態にあります。

 プラズマとなった物質はとても不安定で、高いエネルギー状態となるため、とても反応性に富んでいるため、様々な産業で応用されています。

プラズマはどんな場面で見られるのか

 気体以上のエネルギー状態の高さをもつという点が特殊なプラズマですが、身の回りでもプラズマを見ることができます。

 ろうそくの炎は炭素の一部が熱によってプラズマとなったものです。

 太陽は超高温、超高圧となっているため、多くの物質がプラズマの状態になっています。

 太陽から吹き出す巨大な紅炎「プロミネンス」もプラズマですし、太陽から噴き出している太陽風もプラズマで、宇宙空間を高速で移動しています。

 太陽風が地球まで到達すると磁場の乱れが発生したり、人工衛星に影響を与えることもあります。

 また、太陽風などのプラズマが大気中の酸素や窒素と衝突すると、酸素や窒素を高エネルギー状態(励起)にします。

 高エネルギー状態の酸素や窒素は元のエネルギー状態(基底)に戻る際にエネルギーを光として放出します。この時の光がオーロラとして観察されるものです。

プラズマはなぜ洗浄に利用されるのか

 プラズマはその反応性の高さから産業においても、様々な応用がなされています。

 酸素ガスをプラズマにすることで、反応性の高い酸素ラジカルやヒドロキシルラジカルが発生します。発生したラジカルは有機物と反応し、二酸化炭素となり、除去することが可能です。

 素材の表面についている油分や汚れの多くは有機物であるため、様々な素材の洗浄に利用が可能です。

プラズマのよる表面改質とは何か

 プラズマによる処理は洗浄だけではなく、素材の表面の性質を変える(表面改質)ことも可能です。

 OH基ラジカルや酸素ラジカルなどのによって炭素を含む素材の表面にCーOHやC=Oといった親水基を導入し、親水化することが可能です。

 素材の表面を親水化することで、水系の液体や接着剤との親和性を上げ、そのままでは接着することが難しかった素材同士を接着することが可能となります。

液体とプラズマの処理の違いは何か

 洗浄に関しては、液体を用いることも可能ですが、液が基材表面に残存し、基材の内部まで影響が出てしまうことがあります。

 プラズマの場合は、処理を終了することで、すぐに効果がなくなるため、基材のごく表面だけを処理することが可能になります。

 また、素材の種類によって、条件の最適化が必要であり、液体の場合、種類や濃度を最適化する手間がかかりますが、プラズマの場合は装置の条件を変更するだけで済むこともあります。

 また、液体の薬品の場合、廃棄などでの環境負荷が大きいことなどありますが、ドライ状態で処理可能なプラズマは環境にも優しい技術といえます。

 ただし、設備が高価である点や液体ほどの洗浄効果がない場合がある、液体での処理よりも時間がかかってしまうなどの欠点もあります。

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