化学 8.1 電子と化学結合2

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この本や記事で分かること

・炭素はどのような電子配置をしているのか

・炭素と水素の結合はどのように形成されているのか

・混成軌道とは何か

電子は原子同士の結合にどのように影響しているのか

 共有結合では、電子を共有することで、原子同士が結合しています。

 電子は電子殻に存在しており、原子によってその数が決まっています。電子殻はさらに小さい小軌道から構成されており、それぞれの小軌道に入ることのできる電子は2個だけとなります。

 小軌道に電子が1つしか存在していないと不安定なため、できる限り、電子を放出したり、受け入れたり、共有することで結合を形成し、安定化しようとします。

 また、電子殻は特定の数の電子が入ると、安定化するため、原子同士は電子をやり取りすることで、安定な数の電子を軌道に持つようにしています。

電子はどのような形で存在しているのか

 水素は電子を一つだけもっているため1s軌道に一つだけで電子が入っています。

 炭素の6個の電子をもっています。K殻には2個電子が入ることができるので、K殻はいっぱいになっています。 

 残り4個の電子は2個がエネルギーの低い2s軌道に、残りの2個の電子は3つの2p軌道のうち、2つに

 窒素は7個の電子を持っており、K殻はいっぱいで、残りの5個はL殻に入っています。2s軌道に2個が入り、残り3つの電子が3つの2p軌道に分かれて入っています。

 軌道にひとつしか電子が入っていない場合、その電子は不対電子、二つ入っている場合は、電子対と呼びます。

炭素は2つの水素原子と結合を作っているのか

 炭素は6個の電子を持っているため、1s、2s軌道に2個ずつ、2p軌道に2つの電子が入っている状態です。

 価電子(最外殻電子)の数は4つであり、2p軌道の電子2つが不対電子となっています。

 炭素原子に電子を一つしか持っていない水素が結合するときを考えると、2p軌道の2つの不対電子と水素持つ1つの電子を共有しているように思えます。

 しかし、実際に炭素と水素の化合物はCH2ではなくCH4(メタン)であり、4つの水素と結合しています。

なぜ、炭素は4つの共有結合をつくることができるのか

 炭素の最外殻には、2s軌道に2つ、2p軌道に2つの電子が存在しています。

 炭素が結合を形成するときには、2s軌道に入っている電子の内の1つが開いている2p軌道の小軌道に移動します。

 これによって、4つの不対電子がエネルギー的に等しい状態となり、それぞれの電子が水素原子と共有結合を形成します。

 メタン分子はこのようにC-Hの4本の結合が形成されているため、4つのC-H結合はすべて等価な結合となり、どの小軌道の電子と水素の電子が共有され、結合しているのかを区別することはできません。

 このように軌道の間で電子が分散することを混成と呼び、メタンの結合のようにs軌道と3つのp小軌道で混成した場合はsp3混成と呼び、そのように掲載された軌道はsp3混成軌道と呼ばれます。

エチレンのような炭素‐炭素二重結合はどのように形成されるのか

 エチレン(C2H4)も混成軌道によって結合が形成されています。

 エチレンの場合は2s軌道の電子がp軌道の2つの小軌道と混成し、sp2混成軌道を形成し、C-Hの結合とC-Cの結合を形成しています。

 この状態では、まだp軌道に不対電子が存在しています。この炭素の不対電子同士が結合することで、エチレン分子が形成されています。

 この結合によって、炭素同士は2重結合を形成されることとなります。

 sp3混成やsp2混成によってできる結合はσ結合、p軌道電子のみからできる結合をπ結合と呼ばれます。

炭素‐炭素二重結合はどのような構造なのか

 π結合はσ結合形成されている面とは垂直な面に形成されています。

 π結合の電子はσ結合の電子と比較して、動き回ることのできる範囲が広く、動きやすいといえます。

 電子が動きやすいこと=反応性が高いといえるため、二重結合は単結合に比べ、反応性に富んでいることとなります。

 アセチレン分子は3重結合がありますが、この場合はsp混成軌道を形成し、残ったp軌道の2つの電子を炭素同士で共有することでπ結合を2つ形成しています。

 π結合が2つあるため、アセチレン分子はエチレン分子以上に反応性に富んだ物質となっています。

sp軌道の混成は炭素に特有のものなのか

 sp軌道の混成は炭素以外の分子でも多く見られます。

 酸素は2s軌道に2つ、2p軌道に4つの電子がありますが、sp3混成軌道を形成し、結合を形成しています。

 窒素は2s軌道に2つ、2p軌道に3つの電子があり、sp3混成軌道を形成し、結合を形成しています。

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