この本や記事で分かること
・電池とはなにか
・ボルダ電池、ダニエル電池の構造、特徴は何か
電池とは何か
電池の正極と負極に豆電球をつないだ銅線をつなぐと、豆電球の明かりがつきます。電池は化学反応エネルギーを電気のエネルギーに変化するものです。
電気の回路が出来ているとき、回路の中では、正極から負極へ電流が流れていますが、電子は電池の負極から正極に動いています。
向きが逆になっているのは電子の流れが発見される前に、電流の向きを決めてしまったためです。
負極から正極への電子の移動が必要となる電池では、
・正極には電子を受け取りやすい物質が
・負極には電子を放出しやすい物質が
それぞれ、使用されています。
イオン化傾向が高い金属は電子を放出しやすい物資であり、電子を受け取る相手がいれば、電子を放出し、陽イオンになりたがっています。代表的な金属元素をイオン化傾向の高い順に並べると以下のようになります。
Li K Ca Na Mg Al Mn Zn Cr Fe Cd Co Ni Sn Pb (H) Cu Hg Ag Pt Au
リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)などの金属はイオン化傾向が高い金属であり、金(Au)や白金(Pt)などはイオン傾向が低い金属になっています。
ボルタ電池とは何か
イオン化傾向が高く、電子を放出しやすい亜鉛とイオン化傾向が小さく、電子を受け取りやすい銅を導線でつなぎ、硫酸や塩酸などに浸すことで、電子が亜鉛から銅に移動し、電流が流れます。
このような電池はボルタ電池と呼ばれ、亜鉛が負極に、銅が正極になっており、それぞれの電極では以下のような反応が起きています。
負極:Zn → Zn2+ + 2e-
正極:2H+ + 2e– → H2
正極と負極で電子移動が発生することで、電流が流れています。
ボルタ電池は、正極で発生した水素が銅表面に付着してしまうため、電流を流し始めてしばらくすると正極の反応が起きにくくなり、電流が流れにくくなってしまいます。
電解質溶液はどんな役割なのか
電池には正極、負極のほかにも電解質水溶液が必要です。ボルタ電池では、硫酸や塩酸が電解質水溶液として使用されてます。
電解質水溶液は水に溶かすと陽イオンと陰イオンに分かれ、電流を流すことができます。電解質水溶液の中では、陽イオンと陰イオンの持つ全体の電荷は中性の状態を維持されています。
硫酸や硫酸は、正極で必要な水素イオンを供給することができることや負極と正極と余計な反応を起こしにくいことなどから電解質溶液として利用されています。
電解質溶液を硫酸銅に変えると何が起きるか
硫酸ではなく、硫酸銅水溶液(CuSO4)に変更し、正極の反応を
Cu2+ + 2e– → Cu
に変えることができれば、水素が電極上に付着することはなく、正極の反応性が低下してしまうこともありません。
しかし、電解質溶液に銅イオンが存在すると、亜鉛よりもイオン化傾向に小さい銅が亜鉛状に析出してしまい、負極での反応が起こらなくなり、電流が流れにくくなってしまいます。
これら、ボルタ電池の問題点を改善した電池がダニエル電池です。
ダニエル電池とは何か
ダニエル電池は正極室、負極室それぞれで異なる電解質水溶液を使用することで、正極、負極の反応を維持したまま電流を流すことができます。
正極と負極、それぞれの電解質水溶液は以下のようになっています。
負極:亜鉛(Zn)
負極室:硫酸亜鉛(ZnSO4)水溶液
正極:銅(Cu)
正極室:硫酸銅(CuSO4)水溶液
亜鉛はイオン化傾向が高いため容易にイオンを放出し、陽イオンになります。銅はイオン化傾向が低いため、電子を得ることで金属として析出します。
正極負極の反応は以下のようになります。
負極:Zn → Zn2+ + 2e-
正極:Cu2+ + 2e– → Cu
全体:Zn +Cu2+ → Zn2+ + Cu
それぞれの反応で電子の譲受が繰り返されることで、電子が移動し、電流が流れています。
また、多孔質の隔膜で仕切られているため、電解質水溶液同士は混ざらずに、イオンの移動はできるため、負極室から正極室へ亜鉛イオンが、負極室から硫酸イオンが移動することで電流を流し続けることができます。
電池式とは何か
電池の構造を式で示したものが電池式です。
電池式は 一番左に(-)を書き、、負極、電解質水溶液、正極の化学式を順に書き、一番右に(+)を記載します。
それぞれの化学式の間は | で分離して記載します。
ボルタ電池の電池式は以下のように記載されます。
(-) Zn | H2SO4 aq | Cu (+)
*aqは水溶液の意味
ダニエル電池は以下のようになります。
(-) Zn | ZnSO4 aq | CuSO4 aq | Cu (+)
ZnSO4 aq と CuSO4 aqの間の|が仕切りの隔膜となります。
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