グローバルファウンドリーズと台湾・聯華電子(UMC)が合併の可能性 半導体受託生産企業とは何か?なぜ、合併を検討するのか?

この記事で分かること

・半導体受託生産企業とは:ファウンダリとも呼ばれ、半導体の設計を行わず、他社からの依頼を受けて製造のみを行う企業のことです。

・ファウンダリの利点:多様な顧客を獲得でき安定的な収益を得やすい、設計が不要となり先端技術に集中投資できる。顧客側にも設備投資が不要などのメリットがあるため、半導体産業全体の発展を支える重要な存在となっています。

・なぜ、合併を検討するのか:規模の拡大と技術力の強化が重要な課題となることや米国本拠の世界的な半導体ファウンドリ企業の必要性といった背景から合併が検討されています。

グローバルファウンドリーズと台湾・聯華電子(UMC)が合併の可能性

 半導体受託生産で世界5位の米グローバルファウンドリーズ(GF)と4位の台湾・聯華電子(UMC)が合併の可能性を検討していることがニュースになっています。

 https://www.nikkei.com/nkd/company/us/INTC/news/DisplayType=2&ng=DGKKZO8775622001042025FFJ000

 実現すれば中国大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)を抜き業界3位に浮上することとなります。

半導体受託生産企業とは何か

 半導体受託生産企業(ファウンドリ)とは、半導体の設計を行わず、他社からの依頼を受けて製造のみを行う企業のことです。

特徴

  1. 自社設計なし:ファウンドリは半導体の回路設計を行わず、他社(ファブレス企業やIDM企業)からの委託を受けて製造する。
  2. 大規模な設備投資:最新の半導体製造にはクリーンルームや最先端のリソグラフィ装置が必要で、多額の設備投資が不可欠。
  3. 主要顧客:アップル、クアルコム、エヌビディアなどのファブレス企業が主な顧客。

代表的なファウンドリ企業

  1. TSMC(台湾):世界最大のファウンドリ企業で、アップルやAMDの主要なサプライヤー。
  2. サムスン電子(韓国):メモリ半導体も手がけるが、ファウンドリ事業にも注力。
  3. グローバルファウンドリーズ(米国):AMDから分社化し、主に成熟プロセス技術を提供。
  4. UMC(台湾):TSMCに次ぐ台湾の主要ファウンドリ。
  5. SMIC(中国):中国最大のファウンドリで、政府の支援を受けて急成長中。

ファウンドリの重要性

 最近では、半導体不足や地政学的リスクの影響で、ファウンドリ産業の重要性が増しており、各国が国内の製造能力強化を目指しています。

半導体受託生産企業=ファウンドリとは、半導体の設計を行わず、他社からの依頼を受けて製造のみを行う企業のことです。TSMCをはじめその重要性を増しています。

ファウンダリの利点は何か

 ファウンドリ(半導体受託生産)の利点は、半導体メーカーと顧客企業の両方にメリットがある点にあります。以下に主な利点をまとめます。

顧客企業(ファブレス企業・IDM企業)にとっての利点

  1. 設備投資が不要
    • 半導体製造には数兆円規模の投資が必要だが、ファウンドリに委託することでその負担を回避できる。
  2. 開発に集中できる
    • 設計に特化することで、製品の高性能化や新技術開発にリソースを集中できる(例:クアルコム、エヌビディア)。
  3. 柔軟な製造スケール
    • 必要な分だけ生産を依頼できるため、市場の需要変動に柔軟に対応可能。

ファウンドリ企業にとっての利点

  1. 多様な顧客を獲得可能
    • さまざまな企業から注文を受けることで、安定した収益を確保できる(例:TSMCはアップル、AMD、クアルコムなど多数の顧客を抱える)。
  2. 最先端技術に集中投資できる
    • 設計を行わないため、製造技術や生産プロセスの向上に特化できる。
  3. 大規模な経済効果(スケールメリット)
    • 巨額の設備投資を行い、大量生産することでコストを下げることが可能。

半導体業界全体への利点

  1. 技術の分業化による効率化
    • 設計と製造を分離することで、各企業が得意分野に特化し、業界全体の成長を加速できる。
  2. 市場競争の活性化
    • ファブレス企業が低コストで新規参入しやすくなり、競争が促進されることで技術革新が進む。

ファウンダリは開発を行うファブレス企業にとっては、設備投資が不要となり、開発に集中できるなどの利点があります。

ファウンダリも多様な顧客を獲得でき安定的な収益を得やすい、設計が不要となり先端技術に集中投資できるなどの利点があります。

双方にメリットがあるため、ファウンドリは半導体産業全体の発展を支える重要な存在となっています。

なぜ、合併の検討が行われるのか

合併の背景と目的

 半導体業界は技術革新と巨額な設備投資が求められる中、規模の拡大と技術力の強化が重要な課題となっています。​UMCとGFの合併により、米国本拠の世界的な半導体ファウンドリ企業が誕生し、競争力の向上が期待されています。​

 半導体不足サプライチェーンの脆弱性が明らかになったことを受けて、特に米国政府が半導体製造の国内回帰を推進していることも影響しています。

 UMC側にも規模の拡大と競争力強化、製造能力の多様化サプライチェーンの強化などのメリットがあります。

合併後の展望

 新会社は、TSMCやサムスン電子といった他の大手ファウンドリ企業と競争する立場となります。​これにより、技術開発や生産能力の面での強化が図られるとともに、自動車や産業向けの半導体市場への対応力も向上すると予想されます。​

今後の動向

 合併交渉が正式に合意に至るかどうか、また合併後の戦略や市場への影響については、今後の発表や報道を注視する必要があります。

規模の拡大と技術力の強化が重要な課題となることや米国本拠の世界的な半導体ファウンドリ企業の必要性といった背景から合併が検討されています。

グローバルファウンドリーズはどんな会社か

 グローバルファウンドリーズ(GF) は、アメリカに本社を置く半導体受託生産(ファウンドリ)企業です。2009年にAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイス)の製造部門が分社化して誕生しました。主に成熟プロセス技術(22nm~12nmなど)に特化した製造を行っています。


基本情報

  • 正式名称:GlobalFoundries Inc.
  • 本社所在地:アメリカ・ニューヨーク州マルタ
  • 設立:2009年
  • 主要拠点:アメリカ、ドイツ、シンガポールなど
  • 主要顧客:AMD、クアルコム、NXP、ブロードコムなど
  • 事業戦略:最先端ではなく成熟プロセスに特化

グローバルファウンドリーズの特徴

  1. 最先端プロセス(5nm以下)から撤退し、成熟ノードに集中
    • かつて7nmプロセスの開発を進めていたが、2018年に開発を中止し、22nmや12nmなどのプロセスに特化する方針を決定。
    • これは、TSMCやサムスンとの競争を避け、IoTや自動車向け市場に焦点を当てる戦略。
  2. AMDとの関係が深い
    • GFは元々AMDの製造部門だったため、AMDのプロセッサ(Ryzenなど)を製造していた
    • しかし、AMDは現在TSMCに製造を委託しており、GFとの契約は一部継続。
  3. アメリカ政府の支援を受ける
    • 米国政府の「CHIPS法(半導体産業支援政策)」の影響で、国内生産強化を進めている。
    • ニューヨーク州に新工場を建設予定。

グローバルファウンドリーズの強みと弱み

強み

成熟ノードに特化 → 価格競争力が高い
アメリカ・ヨーロッパ市場に強い → 地政学的リスクを抑えられる
自動車・産業向け半導体が得意 → 長期的な需要が安定

弱み

最先端プロセスで競争できない(TSMC・サムスンと比べて技術的に遅れ)
AMDなど主要顧客の一部を失った(TSMCへの移行が進む)


今後の展望

米国・欧州の半導体製造強化の流れに乗る
  • 米国政府の補助金を活用し、新工場建設を推進。
  • 欧州でも製造拠点を拡大し、地域戦略を強化。
車載・産業向け半導体の成長を狙う
  • EV(電気自動車)や5G通信などの市場拡大に対応。
  • 最先端プロセスよりも、安定供給が求められる分野で競争力を発揮。

グローバルファウンドリーズ は、アメリカに本社を置くファウンドリ)で、主に成熟プロセス技術(22nm~12nmなど)に特化した製造を行っています。

UMCはどんな会社なのか

 聯華電子(UMC) は、台湾に本社を置く半導体受託生産(ファウンドリ)企業 で、世界第4位 の規模を誇ります。

 TSMCに次ぐ台湾のファウンドリ企業で、成熟プロセス(28nm~40nm) を中心に展開し、特に自動車・産業向け半導体市場に強みを持っています。

基本情報

  • 正式名称:United Microelectronics Corporation(聯華電子)
  • 本社所在地:台湾・新竹市
  • 設立:1980年
  • 主要拠点:台湾、中国、日本、シンガポール、アメリカなど
  • 主要顧客:クアルコム、メディアテック、ブロードコム、STマイクロエレクトロニクスなど
  • 事業戦略成熟ノード(28nm~40nm)に特化し、自動車・産業向け市場を重視

UMCの特徴

  1. 台湾初の半導体企業
    • 1980年に台湾で設立され、台湾初の半導体企業としてスタート。
    • かつては設計も手掛けていたが、現在はファウンドリ専業。
  2. 成熟プロセス(28nm~40nm)に特化
    • 最先端プロセス(5nm以下)は扱わず、28nmや40nmなどの比較的成熟したプロセス技術 にフォーカス。
    • これは、TSMCやサムスンと競争を避け、安定した需要のある市場 を狙う戦略。
  3. 自動車・産業向け半導体が強み
    • UMCは、EV(電気自動車)や工場の自動化(FA)向けの半導体製造を得意とする。
    • 自動車向けチップは長期的に安定した需要があり、価格競争に巻き込まれにくい。
  4. 中国市場との関係が深い
    • 中国市場向けの生産拠点を持ち、現地企業との関係が強い。
    • しかし、米中対立の影響を受けるリスクもある。

UMCの強みと弱み

強み

成熟ノードに特化し、価格競争力が高い
自動車・産業向け半導体で安定需要
TSMCほどの設備投資負担が少なく、利益率が比較的高い
中国市場とのつながりが強く、需要が安定

弱み

最先端プロセス技術(5nm以下)ではTSMCやサムスンに劣る
米中対立の影響を受ける可能性がある
ブランド力がTSMCに比べて低く、大手ハイテク企業の受注は限定的


今後の展望

  • 自動車・産業向け市場の成長を狙う
    • EVやスマートファクトリーの拡大に伴い、40nm~28nmの需要が増加
    • 特にマイコン(MCU)やアナログ半導体の需要増に対応
  • 中国市場とのバランスをどう取るかが課題
    • 中国向けの半導体供給は安定しているが、米国の規制が影響する可能性がある。
    • 将来的には、米国・欧州向けの生産拡大も検討。

聯華電子(UMC)は、28nm~40nmの成熟プロセスに特化し、自動車・産業向け市場で安定成長を目指すファウンドリ企業 です。

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