この記事で分かること
・レゾナックとは:日本の化学メーカーで特に半導体材料や電子材料に強みを持ち、世界の半導体業界で重要な役割を果たしています。
・レゾナックの強い領域:フォトレジストや半導体パッケージ材料に強みがあります。
・半導体パッケージ材料とは:半導体チップを外部環境から保護し、電気的接続を確保するために使用される材料で、半導体の性能向上や信頼性確保に不可欠です。
レゾナック誕生から2年
レゾナック・ホールディングス(HD)は2025年から「攻め」に転じる事業展開の施策を探ると発表しています。
https://news.goo.ne.jp/article/newswitch/business/newswitch-45235.html
レゾナックHDが23年にスタートして2年以上が経過し、目指す世界トップ級の機能性化学メーカーの実現に向けて、デュポンをベンチマークとして位置付けるとしています。
レゾナックとはどんな会社か
概要
レゾナックは、日本の化学メーカーで、旧昭和電工と旧日立化成が統合して2023年に誕生しました。特に半導体材料や電子材料に強みを持ち、世界の半導体業界で重要な役割を果たしています。
主な事業領域
- 半導体材料:フォトレジスト、CMPスラリー、封止材料、パッケージ基板材料など
- 電子材料:プリント基板用の樹脂・フィルム、5G対応材料
- 炭素材料:電池材料(リチウムイオン電池負極材など)、グラファイト電極
- 化学品・樹脂:エポキシ樹脂、高機能ポリマー、機能性プラスチック
強み・特徴
- 半導体業界での存在感が強く、EUVフォトレジストやCMPスラリーなど高付加価値製品を展開
- 化学業界の再編を経て、よりグローバルな事業展開を進めている

レゾナックは、日本の化学メーカーで特に半導体材料や電子材料に強みを持ち、世界の半導体業界で重要な役割を果たしています。
デュポン(DuPont)はどんな会社なのか
概要
デュポンはアメリカの大手化学・素材メーカーで、創業1802年と歴史の長い企業です。もともとは火薬製造からスタートし、その後ナイロンやテフロンなどの革新的素材を次々と開発してきました。現在はエレクトロニクス、バイオサイエンス、高機能素材など幅広い分野で事業を展開しています。
主な事業領域
- 電子・半導体材料:EUVフォトレジスト、CMPパッド・スラリー、フレキシブル基板材料
- 高機能プラスチック・エラストマー:ナイロン(Zytel)、ポリイミド(Kapton)、PTFE(テフロン)
- 特殊化学品・バイオ素材:バイオプラスチック、農業用化学品
- 建築・自動車関連材料:高耐久性塗料、断熱材
強み・特徴
- CMP関連材料(パッド・スラリー)で世界トップクラスのシェア
- 科学技術を活用した革新的な素材開発に強み
- 半導体分野だけでなく、航空宇宙・自動車・バイオ領域にも広く展開

デュポンはアメリカの大手化学・素材メーカーで半導体分野などのエレクトロニクスに強みを持つだけでなく、バイオサイエンス、高機能素材など幅広い分野で事業を展開しています。
レゾナックとデュポンの競合している領域はどこか
レゾナック(Resonac)とデュポン(DuPont)が競合している主な領域は、半導体材料と電子材料の分野です。具体的には以下の領域で競争しています。
1. 半導体パッケージング材料
- レゾナック:半導体向けのエポキシ樹脂や高耐熱フィルム、銅張積層板(CCL)などを提供。
- デュポン:半導体封止用のポリイミド材料や回路基板用フィルムを提供。
2. フォトレジスト材料(リソグラフィー向け材料)
- レゾナック:ArF、KrF、EUVフォトレジストの開発・製造。
- デュポン:EUVフォトレジスト技術を強化し、半導体製造向けのフォトリソグラフィー材料を提供。
3. CMPスラリー・研磨材(半導体ウェハーの研磨プロセス)
- レゾナック:CMPスラリーを提供し、銅配線の平坦化技術を強みとする。
- デュポン:CMPパッドや研磨材を提供し、グローバル市場で高いシェアを持つ。
4. 電子回路用材料(プリント基板関連)
- レゾナック:5G対応の低誘電率材料や高機能樹脂を開発。
- デュポン:フレキシブル基板向けのポリイミドフィルムや、耐熱性・絶縁性に優れた材料を提供。
5. 高機能プラスチック・エラストマー
- レゾナック:耐熱性や耐薬品性に優れた特殊樹脂を開発。
- デュポン:エンジニアリングプラスチック(ナイロン、ポリアセタールなど)で強い市場を持つ。

レゾナックとデュポンは、半導体材料や電子材料分野で特に競争しています。デュポンはCMP関連製品やフレキシブル基板材料で強く、レゾナックはフォトレジストや半導体パッケージ材料に強みがあります
パッケージング材料とは何か
パッケージング材料とは、半導体チップ(ICやプロセッサなど)を外部環境から保護し、電気的接続を確保するために使用される材料のことです。これらの材料は、半導体の性能向上や信頼性確保に不可欠な役割を果たします。
パッケージングの目的
- 半導体チップの保護:湿気・酸化・物理的衝撃から守る
- 熱管理:発熱を効率的に放散し、動作安定性を確保
- 電気的接続:チップと基板(PCB)間の信号・電力供給を確実にする
- 小型化・高集積化:電子デバイスの小型・軽量化に貢献
主なパッケージング材料
材料 | 役割 | 主なメーカー(レゾナック・デュポン含む) |
---|---|---|
エポキシ封止材 | チップを保護する樹脂 | レゾナック、住友ベークライト、ヘンケル |
ポリイミド材料 | 保護膜や絶縁層として使用 | デュポン(Kapton)、レゾナック |
銅張積層板(CCL) | パッケージ基板の構成材料 | レゾナック、三菱ガス化学、ロジャース |
ソルダーレジスト(絶縁膜) | 回路を保護し、ショートを防ぐ | 太陽インキ、レゾナック |
放熱材料(TIM, アンダーフィル) | 熱を効率的に逃がす | デュポン、富士フイルム、ヘンケル |
ワイヤーボンディング材料 | チップと基板の電気的接続 | 住友電工、日立金属、アルミン |
フィルム系材料 | FPC(フレキシブル基板)向け | デュポン(Pyralux)、レゾナック |
パッケージング技術の進化と材料の重要性
従来は「リードフレーム+樹脂封止(DIP, QFPなど)」が主流でしたが、高性能・小型化が求められる現代では、
- FC-BGA(Flip Chip Ball Grid Array)
- FOWLP(Fan-Out Wafer Level Packaging)
- 3D-IC(積層チップ)
などの高度なパッケージ技術が発展。これに伴い、高耐熱性・低誘電率・高信頼性のパッケージング材料の開発が求められています。

パッケージング材料とは、半導体チップを外部環境から保護し、電気的接続を確保するために使用される材料で、半導体の性能向上や信頼性確保に不可欠です。
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