TDKの新規角度センサー 角度センサーとは何か?自動車にセンサーが増加している理由は何か?

この記事で分かること

・角度センサーとは何か:物体の回転角度や傾きを検出するセンサーで、回転や位置制御が必要な多くの分野で使われています。

・ブレーキやハンドルでもセンサーが必要な理由:EV化・自動運転の進展、快適性・応答性の向上制御の自由度が高く、安全技術と組み合わせやすいなどの理由から利用されています。

・自動車でのセンサーの増加理由:電動化・自動運転・安全支援技術の普及によって、センサーは「車の目・耳・神経」として不可欠な存在になっています。

TDKの新規角度センサー

  TDKは4月8日、自動車向けに角度を測るセンサーの新製品を発表しました。

 https://www.micronas.tdk.com/ja/tradenews/pr2501

 自動車の電動化で幅広いセンサーの搭載数が増える中で顧客の細かい需要に対応する製品となっています。

角度センサーとは何か

 角度センサー(角度センサ、Angular Sensor)は、物体の回転角度や傾きを検出するセンサーです。自動車、ロボット、産業機械、ゲーム機器など、回転や位置制御が必要な多くの分野で使われています。


【主な用途】

  • 車載機器:ステアリング角、スロットル位置、モーターの回転角制御など
  • ロボティクス:関節やホイールの回転検出
  • 産業機械:モーター制御、バルブの位置検知
  • 家電・ゲーム:傾きや回転操作の入力(例:ゲームコントローラー)

【検出原理の種類】

角度センサーにはいくつかのタイプがあり、用途に応じて使い分けられます:

種類特徴
ホール効果式磁界の変化で回転角を測定自動車の回転位置検出
TMR(トンネル磁気抵抗)式高精度・低ノイズ、磁気変化に敏感TDKのTAS8240など
光学式光の透過や反射を利用、高精度高級エンコーダ
インクリメンタル式相対的な回転量をカウントロボット・産業機械
アブソリュート式絶対角度を直接出力安全が求められる用途

角度センサーは、物体の回転角度や傾きを検出するセンサーで、回転や位置制御が必要な多くの分野で使われています。

ブレーキでどのように角度センサーが使われるのか

 ブレーキシステムにおける角度センサーの使われ方は、主に電子制御ブレーキ(EHB:Electric Hydraulic Brake)やブレーキ・バイ・ワイヤ(BBW)のような先進的なブレーキ技術で重要な役割を担っています。


【使われる場所と目的】

1. ブレーキペダルの踏み込み角検出

  • どこに使う?
    → ブレーキペダルの軸やリンク部分
  • 目的
    • ドライバーがどのくらい強く、どのスピードで踏んでいるかを正確に把握
    • 電子制御ユニット(ECU)がこれに応じてブレーキ圧を制御
  • 角度センサーの利点
    • 高分解能で滑らかな操作感の再現が可能
    • 機械接点がない非接触型(TMRなど)なら摩耗が少なく長寿命

2. モーター/アクチュエータの回転角制御(EHBやBBW内)

  • どこに使う?
    → 油圧ブースターやアクチュエータの回転軸
  • 目的
    • ブレーキ圧を正確に制御するために、モーターの回転角やバルブの開度をモニタリング
    • 安全基準(ASIL-Dなど)を満たすため、冗長な角度センサ構成が求められることも

3. パーキングブレーキ(EPB)

  • どこに使う?
    → 電動パーキングブレーキのモーター位置
  • 目的
    • 車がしっかり停止しているか、解除されているかを確認
    • 誤動作を防ぐための安全設計

【なぜ角度センサー?(メリット)】

  • リアルタイム性:瞬時に踏み込み量や機構の動きを感知
  • 高精度:力だけではなく「動きの幅」を測れるため制御が細かい
  • 非接触型の信頼性:機械摩耗やセンサズレの問題が少ない
  • ASIL準拠が可能:安全規格に必要な冗長構成や自己診断が可能

角度センサーは、ブレーキの「人の意図を読み取る入力センサ」や「ブレーキを正しく制御するための内部センサ」になっています。特に電動化が進む今後の車では、ますます重要なセンサー

です。

ハンドルでどのように角度センサーが使われるのか

 ハンドル(ステアリング)の角度センサーは、ステアリングホイールがどれだけ回転しているか(=ステアリング角)を測定するセンサーです。

 自動運転・先進運転支援システム(ADAS)や電動パワーステアリング(EPS)には不可欠なコンポーネントです。


【主な役割】

1. 車両制御との連携

  • ADAS/自動運転
    車線維持支援(LKA)、自動駐車、車線変更支援などで、現在のハンドル角を正確に把握する必要があります。
  • ESP(横滑り防止装置)やVDC
    車両の進行方向とハンドルの向きが一致しているか比較して、滑り・ズレを検出 → 安定性制御

2. ステアリングフィールの制御(EPS)

  • ステアリングアシストの度合いを制御するため、ハンドルの回転角・速度・方向をリアルタイムに監視

【技術的な特徴】

特徴説明
高分解能数千ステップ/回転以上の精度が必要
ゼロ点(中立)検出ハンドルが真っ直ぐの位置を常に認識
複数回転の検出通常、±数回転分(例:±720°)を測定できる
非接触式が主流TMR、ホール、光学式などが使われる(摩耗しない)
ASIL対応安全基準に準拠するため、冗長なセンサー構成を持つ場合あり

【よく使われる方式】

  • TMR(トンネル磁気抵抗)式:高精度・高感度で最近の主流
  • ホール式:コスト重視のモデルで使われる
  • 光学式:高精度だが、振動・汚れに弱い

【設置場所】

  • ステアリングコラム周辺
  • EPSユニット内(電動モーターと一体)
  • センサ単体またはアセンブリで構成される

ハンドル(ステアリング)の角度センサーは、ステアリングホイールがどれだけ回転しているか(=ステアリング角)を測定するセンサーです。

自動運転・先進運転支援システムや電動パワーステアリングには不可欠の技術です。

自動車に搭載されるセンサー数の増加

 自動車に搭載されるセンサーの数は、近年急速に増加しています。特に電動化・自動運転・安全支援技術(ADAS)の普及によって、センサーは「車の目・耳・神経」として不可欠な存在になっています。


【センサー数の増加トレンド】

車のタイプおおよそのセンサー数
2000年代の一般的な車30〜50個程度
現代のガソリン車60〜100個程度
ハイブリッド・EV100〜150個以上
自動運転対応車(Lv3〜)200〜300個以上も可

【なぜ増えているのか?】

1. ADAS(先進運転支援システム)の進化
  • 衝突被害軽減ブレーキ(AEB)、車線維持支援(LKA)、ACCなどには
    • カメラ
    • ミリ波/LiDARレーダー
    • ステアリング角センサー
    • 加速度センサー
    • ジャイロセンサー が必要です。
2. 自動運転の発展
  • 自動運転レベルが上がるほど、
    • 外界を認識するセンサーフュージョンが必須(LiDAR + レーダー + カメラ + 超音波)
    • 車両の状態を正確に検知するための自己診断センサーも増加
3. EV(電動車)の増加
  • バッテリーマネジメント(BMS)に電圧・電流・温度センサー多数
  • モーター制御には角度・速度・位置センサーが必須
4. 快適性・利便性の向上
  • 自動空調制御:温湿度・日射センサー
  • 自動ワイパー:雨滴センサー
  • ドライバー監視:顔認識カメラ・まばたきセンサー

【増加による影響】

  • 車両設計の複雑化
  • 信頼性や安全性の要求アップ(ISO 26262など)
  • コスト・重量の増加 → センサーの集約・高機能化が進む

自動車に搭載されるセンサーの数は、電動化・自動運転・安全支援技術(ADAS)の普及によって、近年急速に増加しています。

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