東大70年ぶりの新学部 どんな学部なのか?創設の理由は何か?

この記事で分かること

  • どんな学部なのか:UTokyo College of Designであり、多様な学術知を「デザイン」によって繋ぎ、融合することを目指した学部です。
  • 創設の理由:文系・理系の枠を超えて、学問を融合させた新しい人材育成が必要と判断したことなどが理由です。

東大70年ぶりの新学部

 東京大学は、2027年9月に約70年ぶりとなる新学部「UTokyo College of Design」を開設することを発表しました。

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 これは1958年の薬学部以来の新設学部であり、文理融合型の革新的な教育課程として注目されています。

UTokyo College of Designとはなにか

 新学部は、東京大学の創立150周年に向けた取り組みの一環として、未来社会に貢献する人材の育成を目指しています。​

特徴 

 「デザイン」を広義に捉え、工業製品の造形や芸術的意匠に留まらず、新たな価値やシステムの創出、複雑な社会課題の解決に向けた創造的なプロセスを含めた幅広い概念として教育を行います。

​ 気候変動や高齢化社会、デジタル化がもたらす影響など、単一の学術領域だけでは解決できない課題に対し、多様な学術知を「デザイン」によって繋ぎ、融合することで、世界にインパクトを与える人材の育成を目指します。

環境

  • 全寮制の導入:​初年度は全寮制を採用し、多様な背景を持つ学生同士の交流を促進します。
  • アカデミックアドバイザー制度:​学生一人ひとりに対して、学習や研究の指導を行うアドバイザーを配置します。
  • 海外交換留学:​国際的な視野を広げるため、海外の大学との交換留学制度を整備します。
  • デジタル・AI活用:​学習支援システムにデジタル技術やAIを活用し、個々の学習スタイルに対応します。

単一の学術領域だけでは解決できない複雑な社会課題の解決に向けた創造的なプロセスを学ぶために、多様な学術知を「デザイン」によって繋ぎ、融合することを目指した学部となります。

新学部創設の理由は何か

 東京大学が70年ぶりに新学部(UTokyo College of Design)を創設する理由は、大きくまとめると次の通りです


1. 複雑化する社会課題への対応

  • 現代社会は気候変動、超高齢化社会、急速なデジタル化など、単一の学問分野だけでは解決できない問題が山積しています。
  • これらに対処するために、文系・理系の枠を超えて、学問を融合させた新しい人材育成が必要と判断しました。

2. 「デザイン」の再定義と拡張

  • ここでいう「デザイン」は、単なるプロダクトや建築物の造形ではなく、社会システムや新しい価値の創出プロセスも含めた広義の概念。
  • つまり、問題を発見し、整理し、創造的に解決策を設計する力を重視する学びにシフトするためです。

3. 国際競争力の強化

  • 世界中の大学が、英語による授業グローバルな人材育成に力を入れる中、東大もそれに応える形で、
    • 全授業英語
    • 留学生と日本人の混成
    • 海外留学支援 といった国際化を強く意識した教育を展開します。

4. 東京大学150周年に向けた新しい挑戦

  • 東大は2027年に創立150周年を迎えます。
  • その節目に、「未来の社会に貢献する人材を育てる」という新たなミッションを打ち出したいという狙いも背景にあります。

社会が変わったから、東大も新しい学びの形を作らないといけないという危機感もあり、文系・理系の枠を超えて、学問を融合させた新しい人材育成が必要と判断したことなどが理由です。

どのような分野の融合が期待されているか

 東大の新学部「UTokyo College of Design」で特に融合が期待されている分野には以下のようなものがあります。


1. 工学・情報科学 × 社会科学・人文学

  • 工学やデジタル技術(AI、IoTなど)を駆使しながら、社会制度や文化、倫理までを視野に入れて問題解決する力を育成。
  • 例えば、単に「新しい都市インフラを作る」だけでなく、「人々の暮らしやコミュニティ文化も含めた都市のあり方をデザインする」という発想。

2. 環境科学 × 経済・政策

  • 気候変動や資源管理などのグローバル課題に対して、サステナビリティと経済合理性を両立させる新しいモデル作り。
  • 例えば「CO₂削減のための技術開発+その普及を促す経済政策の提案」のように、テクノロジーと社会運営をセットで考える形です。

3. 生命科学・医療 × デザイン思考

  • 高齢化社会や医療の課題に、単なる医療技術の進歩だけでなく、患者中心のケア設計や、医療体験そのものの再設計を目指す。
  • たとえば「病院の設計を患者目線で変える」「ウェアラブルデバイスによるヘルスケアの社会実装」などがあります。

4. アート・クリエイティブ × テクノロジー

  • 従来は分かれていた芸術的発想最先端技術を組み合わせて、これまでにない新しい価値や体験を生み出す。
  • たとえば「VR空間を使った新しい教育法」や「AIと共創するデザインプロジェクト」のような分野でsy。

理系だけでも、文系だけでも無理。両方が交わったところにこそ未来がある。
という考えをベースに様々な分野での融合が検討されています。

その他の大学でも同様の取り組みはあるのか

 東京大学以外にも文理融合を積極的に進めている大学は増えており、特に以下の大学が注目されています。


九州大学 – 共創学部

  • 設立年:​2018年度
  • 特徴:​文系・理系の枠を超えた「共創」をテーマに、課題構想力、協働実践力、国際コミュニケーション力、共創的課題解決力を育成します。
  • カリキュラム例:​データサイエンス基礎、科学論、グローバル・エシクス(倫理)など、文理横断の授業を提供しています。 ​

金沢大学 – 学域・学類制とSTEAM教育

  • 改革年:​2008年度
  • 特徴:​学域・学類制に移行し、全学生にSTEAM(科学、技術、工学、芸術、数学)教育を必修化しました。
  • カリキュラム例:​融合学域、人間社会学域、理工学域、医薬保健学域など、多様な学域での学びを提供しています。

神戸学院大学 – データサイエンス教育の全学展開

  • 特徴:​経営学部にデータサイエンス専攻を新設し、全学部の学生を対象に「データサイエンス基礎」や「データサイエンス」などの共通教育科目を開講しています。
  • 目的:​理系・文系を問わず、すべての学生がデータの分析や活用について学ぶ重要性を理解し、その知識を身につけることを目指しています。 ​

🏛 東京女子大学 – リベラルアーツ教育の進化

  • 特徴:​「知のかけはし科目」を新設し、異なる学問領域の教員2名によるティーム・ティーチングを導入しています。
  • 目的:​専門領域を越えて知と知をつなぐことで、学生の知的関心を拡げ、専門の学びを広い文脈で捉え直すことを狙っています。

🏛 静岡文化芸術大学 – 学部間共通科目と学際的な学び

  • 特徴:​学部の枠を越えた学際的な授業「学部間共通科目」を新設し、学生の視野を広げる学びを提供しています。
  • :​文化政策学部の学生がデザイン学部の専門科目を、デザイン学部の学生が文化政策学部の専門科目を履修することが可能です。 ​

文系と理系の枠を超えた教育を通じて、学生が多角的な視点から問題を捉え、解決する力を養っている学部は他の大学でも見れれます。

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