この記事で分かること
コイル製品とは:導線(銅線など)をコイル状に巻いた電子部品の総称でインダクタやトランスとして利用されています。
なぜ、電流制御ができるのか:電流が流れると磁場が発生し、その磁場によってその変化を打ち消す向きの電圧」が生じます。この働き(自己誘導作用)によって電流を制御しています。
インダクタとは:導線をコイル状に巻いた電子部品で、主な役割は、電源回路で電圧を安定化、信号回路で特定の周波数のフィルタなどです。
村田製作所子会社のベトナム工場新棟建設
株式会社村田製作所の生産子会社、Murata Manufacturing Vietnam Co., Ltd. Ho Chi Minh Plant(ベトナム、ホーチミン市)が、新生産棟の建設を2025年5月から開始することを報告しています。
https://corporate.murata.com/ja-jp/newsroom/news/company/general/2025/0508
今回の新生産棟の建設は、電子機器・車載向けコイル製品の中長期的な需要増加に対応できる体制の構築を目的としています。
コイル製品とは何か
コイル製品とは、導線(銅線など)をコイル状に巻いた電子部品の総称であり、具体的には、以下のようなものがあります。
- インダクタ(コイル、チョークコイル)
電流が流れると磁場を生じ、電圧や電流の変化を抑える役割。ノイズ除去やフィルタ回路、電源回路で使われます。 - トランス(変圧器)
一次側・二次側に巻かれたコイルを通じて電圧を変換したり絶縁したりする部品。 - パワーインダクタ
特に車載電子機器やスマホなどの電源回路で使われ、エネルギーの蓄積と放出を制御するための高効率コイル。
これらは電子機器に欠かせない基盤部品で、スマホ、PC、車載機器、産業機器などあらゆる分野に使われています。村田製作所は特に小型・高性能な積層インダクタやパワーインダクタの分野で世界トップクラスです。

コイル製品とは、導線(銅線など)をコイル状に巻いた電子部品の総称でインダクタやトランスとして利用されています。
コイルの基本原理は?
コイル(インダクタ)の基本原理は、以下のように、電流が流れると磁場が発生し、その磁場が逆に電流を制御するというものです。
- 電流 → 磁場を作る
導線に電流を流すと周囲に磁場ができます。これをコイル状に巻くと、磁場が強化されます。 - 磁場の変化 → 電圧が生じる(自己誘導)
電流が急に変化すると、磁場も変わります。するとコイル自身に「その変化を打ち消す向きの電圧」が生じます。これを「自己誘導作用」といいます。 - 電流の変化を抑制する
この性質により、コイルは回路内の電流や電圧の急激な変化(ノイズ)を和らげ、滑らかにします。
電流制御の利用例
- 電源回路では、急な電流変動を吸収して安定させる。
- フィルタ回路では、高周波ノイズを除去する。
- モーターなどでは、逆起電力を抑制する。

コイル(インダクタ)は電流が流れると磁場が発生し、その磁場によってその変化を打ち消す向きの電圧」が生じます。
この働き(自己誘導作用)によって電流を制御しています。
コイル状にすると、磁場が強化される理由は
単純な導線1本に電流を流すと、その周りに小さな磁場ができます。その導線をぐるぐる巻いてコイル状にすると、各巻きの磁場が同じ方向に重なり合って強化されます。
- 1巻き目 → 小さな磁場が発生。
- 2巻き目 → また小さな磁場が発生。ただし巻き方向が同じなら、1巻き目と磁場の方向が同じ。
- これが何十・何百巻きと重なると、それぞれの磁場が足し合わされ、全体として大きな磁場になる。
磁場が巻き数に比例して増強されるイメージです。そのため、直線状の導線より、コイル状の方がはるかに強い磁気効果を得られます。

コイル状にすることで、磁場が増強され、より強い自己誘導作用を得ることができます。
インダクターの利用例
インダクター(Inductor)は、導線をコイル状に巻いた電子部品で、主な役割は 電流の変化を抑制する ことです。
主な用途
- 電源回路で電圧を安定化させる(ノイズフィルタリング)。
- 信号回路で特定の周波数を通す or 通さない(フィルタ回路)。
- DC-DCコンバータ(昇圧・降圧回路)でエネルギーを一時的に蓄える。
代表的な種類
- 空芯インダクター:コアなし。高周波回路向け。
- 鉄芯インダクター:鉄やフェライトのコア入り。大きなインダクタンスが得られる。
- 積層チップインダクター:スマホ・PC向けの小型タイプ(村田製作所が得意な分野)。
重要なパラメータ
- インダクタンス(H, ヘンリー):蓄えられる磁束の大きさ。
- 直流抵抗(DCR):巻線そのものの抵抗。
- 定格電流:安全に流せる最大電流。
- 共振周波数:高周波で使う場合の性能限界。

インダクターは、導線をコイル状に巻いた電子部品で、主な役割は、電源回路で電圧を安定化、信号回路で特定の周波数のフィルタなどです。
フィルターとして利用出来る理由は
インダクターがフィルターとして使える理由は、周波数によって電流の通しやすさ(インピーダンス)が変わる からです。
詳しく説明すると
- インダクターのインピーダンス(交流での抵抗のようなもの)は、周波数 fff に比例します:。
- つまり:
- 低周波 → インピーダンスは小さい → 電流を通しやすい。
- 高周波 → インピーダンスが大きい → 電流を通しにくい。
具体的なフィルター例
- ローパスフィルター(低域通過)
高周波ノイズを除去したいとき、インダクターを直列に入れると、高周波成分はシャットアウトされ、低周波だけが通ります。 - ハイパスフィルター(高域通過)
インダクターとコンデンサーを組み合わせることで、特定の周波数以上の信号だけを通す設計も可能。
簡単な例
電源ラインに入れるローパスフィルターでは、
- インダクターが直列 → 高周波ノイズをブロック。
- コンデンサーが並列 → 高周波成分をグランドに逃がす。
この組み合わせで、クリーンな電源を回路に供給できます。

インダクターは、周波数によって電流の通しやすさ(インピーダンス)が変わるため、特定の周波数だけを通過させるフィルターとしての役割を果たすことができます。
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