この記事で分かること
緩衝用ビーズとは:主に衝撃を吸収し、内容物を保護する目的で使われる、小さな粒状の素材のことで、荷物の運搬時などの利用されています。
回収原料20%の意味:製品を作る際に使用する原料の総重量のうち、20%以上が一度使用された後に回収され、再加工された素材であることを意味します。
JSPの回収原料を20%以上含有した発泡性ポリスチレンビーズ
JSPは、回収原料を20%以上含有した環境配慮型の発泡性ポリスチレンビーズを開発したことを発表しています。
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00750449
発泡性ポリスチレンビーズは緩衝用のビーズなどに広く用いられており、回収原料割合の増加は環境負荷の低減への貢献が可能です。
緩衝用ビーズとは何か
緩衝用ビーズとは、主に衝撃を吸収し、内容物を保護する目的で使われる、小さな粒状の素材のことです。一般的には、配送中の荷物や、精密機器、家電製品などの包装材として利用されます。
緩衝用ビーズの主な種類と特徴
緩衝用ビーズは、素材や形状によって様々な種類がありますが、代表的なものとしては以下のようなものがあります。
- 発泡性ポリスチレンビーズ(EPS):
- 最も一般的な緩衝用ビーズで、「発泡スチロールの緩衝材」として広く知られています。
- 小さなビーズが発泡して膨らみ、無数の独立した空気の部屋(気泡)を持つ構造になっています。この空気の層が、衝撃を効果的に吸収します。
- 非常に軽量で、断熱性にも優れています。
- JSPが発売している「エコロダイア™」もこの仲間で、再生材を使用することで環境負荷低減を図っています。
- 形状は、ピーナッツ型やS字型、W字型などがあり、隙間を埋めたり、内容物を安定させたりするのに役立ちます。
- デンプン系(生分解性)ビーズ:
- 環境意識の高まりから開発された、植物由来(コーンスターチなど)の緩衝用ビーズです。
- 水溶性で、水に溶かすことで簡単に処理できるため、環境に優しい選択肢として注目されています。
- 静電気を帯びにくいという利点もあります。
- 発泡ポリエチレン(EPE)や発泡ポリプロピレン(EPP)ビーズ:
- ポリスチレンよりも柔軟性や耐熱性、耐久性に優れるため、より衝撃吸収性が求められる用途や、繰り返し使用する通い箱などに用いられます。
- 自動車部品の緩衝材など、産業用途でも広く活用されています。
緩衝用ビーズの役割
緩衝用ビーズの主な役割は以下の通りです。
- 衝撃吸収: 輸送中や落下時の衝撃から内容物を守ります。
- 隙間埋め: 梱包箱内の隙間を埋め、内容物が動くのを防ぎます。
- 固定: 内容物を所定の位置に固定し、損傷を防ぎます。
これらの特性により、緩衝用ビーズは、製品を安全に顧客へ届ける上で非常に重要な役割を担っています。

緩衝用ビーズとは、主に衝撃を吸収し、内容物を保護する目的で使われる、小さな粒状の素材のことで、荷物の運搬時などの利用されています。
回収原料20%以上とはどういう意味か
「回収原料を20%以上含有」とは、その製品を作る際に使用する原料の総重量のうち、20%以上が一度使用された後に回収され、再加工された素材であるという意味です。
具体的にどういうことか?
- 通常の場合: 新しいプラスチック製品を作る場合、石油から精製された新しいプラスチック原料(バージン材)が100%使われます。
- 回収原料20%以上含有の場合:
- 例えば、100kgの「エコロダイア™」を作る場合、そのうちの20kg以上は、以前に別のプラスチック製品として使われ、その後回収されたプラスチック(再生材)から作られているということです。
- 残りの80%未満は、新しいプラスチック原料(バージン材)が使われることになります。
なぜ「回収原料」を使うのか?
回収原料を使用することには、以下のような環境面でのメリットがあります。
- 資源の節約: 新しいプラスチック原料(石油など)の使用量を減らすことができます。これにより、地球上の限りある資源の消費を抑制します。
- 廃棄物の削減: 捨てられてしまうはずだったプラスチックを再利用することで、埋め立てや焼却される廃棄物の量を減らすことができます。
- 温室効果ガスの排出削減: 新しいプラスチックを製造するよりも、回収原料を再利用する方が一般的に製造時のエネルギー消費が少なく、結果として温室効果ガスの排出量も抑えられます。
つまり、「回収原料を20%以上含有」という表示は、その製品が環境負荷の低減に貢献していることを示す重要な指標となります。

回収原料を20%以上含有とは製品を作る際に使用する原料の総重量のうち、20%以上が一度使用された後に回収され、再加工された素材であることを意味します。
どのようにリサイクルされるのか
プラスチック製品、特に発泡スチロール(EPS)のリサイクルは、主に以下のステップで行われます。一口に「リサイクル」と言っても、その手法はいくつかあります。
1. 収集・分別
- 消費者からの回収: 家庭から出るプラスチックは、自治体の分別収集ルールに従って排出されます。地域によっては、スーパーマーケットや家電量販店で特定のプラスチック(食品トレーや家電の緩衝材など)を回収している場合もあります。
- 事業者からの回収: 卸売市場、スーパーマーケット、電器店、工場など、事業所で大量に使われる発泡スチロールは、専門の回収業者によって集められます。
- 異物の除去: 回収されたプラスチックの中には、紙や金属、他の種類のプラスチックなどが混入している場合があります。これらは、リサイクル工程の品質を保つために、手作業や機械によって選別・除去されます。
2. 減容化(げんようか)
発泡スチロールは98%以上が空気でできているため、非常に体積が大きいです。輸送や保管の効率を上げるために、まず体積を小さくする「減容化」が行われます。
- 熱減容: 発泡スチロールを加熱して溶かし、空気を抜いて固める方法が一般的です。これにより、体積を1/50~1/100程度まで小さくすることができます。固められたものは「インゴット」や「ブロック」などと呼ばれます。
- 圧縮減容: 圧力をかけて物理的に潰す方法です。
- 溶解減容: 特定の溶剤(例えばリモネン)に溶かす方法もありますが、現在は熱減容が主流です。
3. 再資源化(リサイクル)
減容化されたプラスチックは、その後の用途によってさまざまなリサイクル方法がとられます。
a. マテリアルリサイクル(材料再生)
- プラスチック製品への再生: 最も理想的なリサイクル方法で、回収されたプラスチックを再びプラスチック製品の原料として使用します。
- 破砕・洗浄・乾燥: 減容化されたプラスチックを細かく砕き、不純物を洗い流し、乾燥させます。
- ペレット化(造粒): 砕いたプラスチックを熱で溶かし、小さな粒状の「ペレット」にします。このペレットが、新しいプラスチック製品を作る際の原料となります。
- 製品化: ペレットは、再び発泡スチロールの緩衝材や建材、プラスチック製品(パレット、文具、おもちゃなど)として成形されます。JSPの「エコロダイア™」のように、このペレットを新しい原料と混ぜて使用することで、回収原料を一定割合含有した製品が作られます。
b. ケミカルリサイクル(化学原料化)
- 化学原料への分解: 回収されたプラスチックを熱分解やガス化などの化学的な処理によって、石油やガスなどの化学原料に戻す方法です。
- この化学原料は、再びプラスチック製品の原料になったり、燃料として利用されたりします。
- マテリアルリサイクルが難しい、汚れが多いプラスチックなどにも適用できる利点があります。
c. サーマルリサイクル(熱回収)
- 熱エネルギーの回収: 回収されたプラスチックを焼却する際に発生する熱エネルギーを、発電や温水供給などに利用する方法です。
- これは厳密には「資源の再利用」ではありませんが、焼却処分する際にエネルギーを回収することで、廃棄物を単に捨てるよりも環境負荷を低減できるため、「有効利用」の一つとされています。
JSPのリサイクルへの取り組み
JSPは、特に発泡スチロール(EPS)のリサイクルに力を入れています。
発泡スチロールは単一素材で構成されていることが多く、分別がしやすいためリサイクルに適しています。
JSPを含む発泡スチロール業界全体で、高いリサイクル率(発泡スチロール協会調べで90%超)を達成しており、マテリアルリサイクルを中心に、回収原料の利用促進やリサイクルシステムの構築に取り組んでいます。

プラスチックのリサイクルは、収集・分別から運搬のための減容化を経て、再資源化されています。再資源化の方法には、回収されたプラスチックを再びプラスチック製品の原料として使用するマテリアルリサイクル、回収されたプラスチックを熱分解やガス化などの化学的な処理によって、石油やガスなどの化学原料に戻すケミカルリサイクル、プラスチックを焼却する際に発生する熱エネルギーを、発電や温水供給などに利用するサーマルリサイクルがあります。
コメント