この記事で分かること
- スマート水道メーターとは:通信機能を持つ次世代の水道メーターです。遠隔で水道使用量を自動検針し、漏水早期発見や検針業務の効率化、住民サービス向上やDX化、省人化などに貢献します。
- 山間部で必要な理由:山間部は検針困難・漏水発見遅れ・高齢化による見守り需要が高くなっており、これらの解決にスマート水道メーターが必要となっています。
ウォーターリンクスの山間部などでのスマート水道メーターの導入
ウォーターリンクスは、離島や山間部における水道事業の課題解決に向けて、スマート水道メーターの導入に積極的に取り組んでいます。
これらの地域では、人口減少、検針員の不足、施設の老朽化、そして検針業務の困難さといった特有の課題を抱えており、スマート水道メーターが必要とされています。
スマート水道計とは何か
スマート水道メーターとは、従来の水道メーターに通信機能を付加したものです。これにより、人の手による検針作業なしに、水道の使用量データを自動的かつ高頻度で取得・送信することが可能になります。
特徴とメリット
スマート水道メーターには、多くのメリットがあります。
- 検針業務の効率化・省力化:
- 遠隔検針: 検針員が各戸を訪問する必要がなくなるため、人件費や移動コストを削減できます。特に離島や山間部など、検針が困難な地域での効果は大きいです。
- 誤検針の防止: 人による読み取りや手入力によるミスがなくなるため、正確な検針と料金請求が可能になります。
- 漏水の早期発見:
- リアルタイムに近い形で使用量を把握できるため、異常な水量変化(連続して水が流れ続けるなど)を検知し、漏水を早期に発見できます。これにより、無駄な水の使用を抑え、高額な水道料金の発生を防ぎます。
- 住民サービスの向上:
- 使用量の見える化: 住民が自身の水道使用量をウェブサイトやアプリなどで確認できるようになり、節水意識の向上に繋がります。
- 見守りサービス: 一定期間水の使用がない場合に異常を検知し、高齢者などの見守りサービスに活用できます。
- 正確な料金情報: 毎月の正確な使用量データに基づいた料金情報を提供できます。
- 水道事業運営の効率化・高度化(DX):
- 水需要の予測: 過去のデータやリアルタイムデータを分析することで、水需要をより正確に予測し、適切な配水計画を立てることができます。
- 管路更新計画の最適化: 漏水データや使用量データに基づき、老朽管の更新計画をより効率的に策定できます。
- 災害時の対応: 広範囲な断水状況を迅速に把握し、復旧作業を円滑に進めることができます。
- 環境への配慮:
- 漏水削減による水資源の有効活用や、検針時の車両使用削減によるCO2排出量抑制に貢献します。
課題とデメリット
一方で、スマート水道メーターの導入にはいくつかの課題もあります。
- 導入コスト: メーター本体の費用に加え、通信設備の設置費用、システム構築費用など、初期投資が高額になる傾向があります。
- 通信環境の整備: 通信方式によっては、電波が届きにくい場所や地下などでの通信確保が課題となる場合があります。
- 維持管理費: 通信費用やシステムの維持管理費用が継続的に発生します。
- セキュリティ: 通信されるデータのセキュリティ対策が重要になります。
これらの課題に対し、国や自治体、民間企業が連携して技術開発や実証実験を進め、より低コストで安定したスマート水道メーターの普及を目指しています。

スマート水道メーターは、通信機能を持つ次世代の水道メーターです。遠隔で水道使用量を自動検針し、漏水早期発見や検針業務の効率化、住民サービス向上に貢献します。水道事業のDX推進にも不可欠な技術です。
なぜスマート水道計が山間部で必要なのか
山間部でスマート水道メーターが必要とされる理由は、主に以下の課題を解決するためです。
検針業務の困難さ・非効率性
- 広範囲に点在する家屋: 山間部では住宅が広範囲に散らばっており、検針員が各戸を回るのに非常に時間がかかります。
- 険しい地形・悪路: 坂道や未舗装路が多く、車両での移動が困難な場所や、徒歩での移動が危険な場所もあります。
- 冬季の積雪: 豪雪地帯では、冬季に積雪でメーターボックスが埋もれてしまい、検針が不可能になることがあります。
- 人手不足: 地方の過疎化や高齢化により、水道事業者の職員や委託先の検針員が不足しているケースが多いです。これらの要因により、山間部での検針業務は時間とコストがかかり、大きな負担となっています。スマート水道メーターによる遠隔検針は、これらの課題を根本的に解決します。
漏水の早期発見と水資源の有効活用
- 水供給の脆弱性: 山間部では水源が限られている場合が多く、漏水による水の損失は水不足に直結する可能性があります。また、配水管網が複雑で老朽化しているケースも少なくありません。
- 発見の遅れ: 定期的な目視検針では、漏水の発生から発見までに時間がかかり、その間に多量の水が無駄になることがあります。スマート水道メーターは、リアルタイムに近いデータで異常な水量を検知し、漏水を早期に発見できるため、貴重な水資源の無駄をなくし、安定的な水供給に貢献します。
住民サービスの向上と見守り
- 高齢者世帯の見守り: 山間部では高齢者が一人暮らしをしているケースが多く、一定期間水の使用がない場合に異常を検知することで、安否確認や見守りサービスに応用できます。
- 透明性の高い情報提供: 住民自身が水道使用量をアプリなどで確認できるようになり、節水意識の向上や、料金への納得感を高めます。
水道事業の運営効率化・DX推進
- データに基づいた計画: 収集されたデータを分析することで、水需要予測の精度向上や、老朽化した管路の更新計画をより効率的に立てることができます。
- 人件費・交通費の削減: 検針業務の自動化により、これまで検針にかかっていた人件費や交通費を削減し、経営の健全化に繋げられます。
これらの理由から、スマート水道メーターは、特に人口減少や高齢化、地形的な制約を抱える山間部の水道事業にとって、持続可能な水供給体制を構築するための非常に有効なソリューションとなっています。

山間部は検針困難・漏水発見遅れ・高齢化による見守り需要が高くなっています。スマート水道メーターは遠隔検針でこれらの課題を解決し、安定した水供給と効率的な事業運営、住民サービス向上に不可欠だからです。
スマート水道計の仕組みは
スマート水道メーターの仕組みは、従来の水道メーターに「通信機能」と「データ処理機能」が加わることで大きく進化しています。
- 水量計測部 (従来のメーター部分)
- 水の流量計測: 蛇口をひねると水が流れ、その水がメーター内部の羽根車(インペラ)を回転させます。
- 積算: 羽根車の回転数は、通過した水の量に比例します。この回転数を機械的に、または磁気センサーなどで電子的に積算し、流れた水の総量(積算流量)を計測します。
- 従来の水道メーターは、ここまでで止まり、目視で値を読み取る必要がありました。
- データ変換・記録部
- 電気信号への変換: 羽根車の回転や、電磁式・超音波式メーターの場合は直接、計測された水量データを電気信号に変換します。
- データ蓄積: この電気信号は、メーター内部の電子回路でデジタルデータに変換され、一定の間隔(例:1時間ごと、1日ごと)でメモリに記録・蓄積されます。
- 通信部
- 無線通信モジュール: 蓄積された水量データは、メーターに内蔵された無線通信モジュールを介して自動的に送信されます。使用される通信技術は多岐にわたりますが、主に以下のものが挙げられます。
- LPWA (Low Power Wide Area): 消費電力が少なく、広範囲をカバーできる通信技術(例: LoRaWAN, Sigfox, NB-IoT)。バッテリー駆動のメーターに適しています。
- LTE-M / Cat.M1: 携帯電話回線を利用したIoT向けの通信技術。比較的データ量が多く、広範囲で安定した通信が可能です。
- Wi-SUN: 無線LANの技術をベースにした通信規格。比較的近距離でのメッシュネットワーク構築に適しています。
- AMR (Automated Meter Reading): 検針員がハンディターミナルを持ってメーターに近づき、無線でデータを一括取得する方式(ウォークバイ/ドライブバイ検針)。完全な遠隔ではないが、手動検針より効率的です。
- データ送信: 無線で送信されたデータは、基地局やゲートウェイ(中継器)を経由して、インターネット回線を通じてクラウド上のサーバーへ送られます。
- 無線通信モジュール: 蓄積された水量データは、メーターに内蔵された無線通信モジュールを介して自動的に送信されます。使用される通信技術は多岐にわたりますが、主に以下のものが挙げられます。
- データ処理・管理部 (クラウドサービス)
- データ受信・蓄積: サーバーは、各地のスマート水道メーターから送られてくる大量のデータを受信し、データベースに安全に蓄積します。
- データ分析: 蓄積されたデータは、リアルタイムで、または過去のデータと比較しながら分析されます。
- 異常検知: 急激な使用量の増加や、夜間の継続的な使用など、通常とは異なるパターンを検知し、漏水や不正使用の可能性を通知します。
- 使用量トレンド分析: 時間帯別、日別、月別の使用量データをグラフ化し、傾向を分析します。
- 料金計算: データを基に、各家庭や事業所の正確な水道料金を自動計算します。
- ユーザーインターフェース: 分析結果は、水道事業者向けの管理画面や、住民向けのWebポータル、スマートフォンアプリなどで「見える化」されます。

スマート水道メーターは、水の流量を計測し、そのデータを無線通信で自動送信します。収集されたデータはクラウドで分析され、遠隔検針、漏水検知、使用量見える化などを実現し、水道事業の効率化とサービス向上に貢献します。
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