TDKの4~6月利益減少 利益減少の理由は?ICT市場向けの小型二次電池等が好調な理由とは何か?

この記事で分かること

  • 利益減少の理由:自動車市場の調整によって、受動部品事業の販売が減少し、減収減益となったことや円高が進行したことが要因とされています。
  • ICT市場向けの小型二次電池や、データセンター向けHDD部品が好調な理由:スマートフォンの買い替え需要回復、AI普及に伴うデータセンター向けHDD需要拡大、社会全体のデジタル化進展が主な理由とされています。
  • 磁気応用製品事業とは:自動車や産業機器向けに、モーターの高性能化や省エネルギー化に貢献するマグネットや磁気ヘッドやサスペンションなどが主要部品であるHDD向け部品が中心となっています。

TDKの4~6月利益減少

 TDKが発表した2025年3月期第1四半期(2025年4月~6月)の連結決算によると、純利益は前年同期比で30.5%減の414億6200万円となりました。

 https://www.tdk.com/system/files/2025080100_fmmy8ym2_ja.pdf

 利益減少の要因としては、為替の円高が売上高で約376億円、営業利益で約71億円のマイナス影響を及ぼしましたことや自動車市場向けを中心に、受動部品事業の販売が減少し、減収減益となったとしています。一方で、ICT市場向けの小型二次電池や、データセンター向けHDD部品などは好調に推移しています。

どんな部品が不調だったのか

 TDKの2025年3月期第1四半期決算において、特に販売が不調だった部品は以下の通りです。

  • コンデンサ: 産業機器向け販売は増加したものの、自動車市場向けおよびICT市場向け販売が減少しました。
  • 高周波部品: ICT市場向けおよび産業機器向け販売が減少しました。
  • 圧電材料部品・回路保護部品: 自動車市場向け販売が減少しました。
  • 磁気センサ: ICT市場向けは堅調でしたが、自動車市場向け販売が減少しました。

 これらの部品の不調は、主に自動車市場の調整や、円高の影響を受けていると考えられます。一方で、ICT市場向けの小型二次電池や、データセンター向けHDD部品などは好調に推移しており、事業によって明暗が分かれる結果となりました。

ICT市場向けの小型二次電池等が好調な理由

 TDKのICT市場が好調である理由は、主に以下の3つの要因が挙げられます。

スマートフォン需要の回復

 長らく低調だったスマートフォン市場で、買い替え需要が高まっています。特に5G対応スマートフォンの普及や、AI機能搭載の新型スマートフォンの登場が、消費者の買い替え意欲を刺激しています。TDKはスマートフォン向けの小型二次電池などを手掛けており、この需要回復の恩恵を受けています。

データセンター向け需要の拡大

 AIの普及やクラウドサービスの利用拡大に伴い、データセンターの需要が世界的に高まっています。データセンターでは、膨大なデータを処理・保存するために高性能なHDD(ハードディスクドライブ)が必要となり、TDKが手掛ける磁気応用製品(HDDヘッドなど)の販売が好調に推移しています。

デジタル化の進展

 社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中で、様々な機器やシステムにICT技術が組み込まれています。IoT(モノのインターネット)デバイスの増加も、TDKが提供するセンサーや電子部品の需要を押し上げています。

 このように、TDKのICT市場における好調は、スマートフォンの買い替えサイクル、データセンターの設備投資、そして社会全体のデジタル化という、複数の要因が重なり合って生じていると考えられます。

スマートフォンの買い替え需要回復、AI普及に伴うデータセンター向けHDD需要拡大、社会全体のデジタル化進展が主な理由です。これらの要因により、TDKの小型二次電池や磁気応用製品などの販売が好調に推移しています。

磁気応用製品事業とはどんな事業か

 TDKの「磁気応用製品事業」は、主にHDD(ハードディスクドライブ)向けの部品や、磁石製品を開発・製造・販売する事業です。

 この事業の主力製品は、HDDにデータを記録・読み出す役割を担う磁気ヘッドと、磁気ヘッドを動かすアーム部分を支えるサスペンションです。

 データセンター向けニアラインHDDの需要拡大がこの事業の好調を牽引しています。AIやクラウドサービスの普及により、世界的にデータ量が爆発的に増加しており、そのデータを大量に保管するデータセンターでは、大容量のHDDが不可欠となっています。

 TDKは、この大容量化に対応した高性能な磁気ヘッドを提供することで、データセンター市場の成長を支えています。

 また、磁石製品としては、自動車や産業機器向けのモーター用マグネットなども手掛けています。

磁気応用製品事業は、自動車や産業機器向けに、モーターの高性能化や省エネルギー化に貢献するマグネットや磁気ヘッドやサスペンションなどが主要部品であるHDD向け部品が中心となっています。

センサ応用製品事業とは何か

 TDKの「センサ応用製品事業」は、温度、圧力、磁気、MEMS(微小電気機械システム)など、様々な種類のセンサー製品を開発・製造・販売する事業です。

 この事業で手掛けるセンサーは、人々の生活をより便利で安全にするための、幅広いアプリケーションで利用されています。

主な製品と用途

  • 温度・圧力センサー: 自動車のエンジンや空調システム、産業機器の温度・圧力管理などに用いられます。また、医療機器や家電製品にも利用されています。
  • 磁気センサー: 自動車のトランスミッション、スマートフォンのコンパス機能、ゲーム機のコントローラーなど、様々な位置や角度、磁気の検知に利用されます。TDKは高性能なTMR(トンネル磁気抵抗効果)センサーやホールセンサーを強みとしています。
  • MEMS(メムス)センサー: スマートフォンやウェアラブルデバイスに搭載される加速度センサーやジャイロセンサー(動きを検知するセンサー)、マイクなどに利用されます。TDKは、小型・高精度のMEMSセンサーを数多く提供しています。

 TDKのセンサー製品は、自動車、ICT(情報通信技術)、産業機器といった主要な市場に提供されており、これらの機器の多機能化や高性能化に不可欠な役割を担っています。特に、自動車の自動運転や電動化、スマートフォンの進化に伴い、センサーの重要性はますます高まっています。

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