この記事で分かること
- インフィニオンの製造している半導体種類:自動車の電動化や自動運転に不可欠な車載半導体や、省エネに貢献するパワー半導体の分野に強みを持っています。その他、センサー、セキュリティチップ、マイクロコントローラーなども製造しています。
- 売り上げ横ばいの理由:半導体市場全体の低迷と顧客による在庫調整です。特にPCやスマホ向け需要の減速、自動車市場の成長鈍化、そして地政学的な不確実性が複合的に影響しています。
インフィニオン、7-9月期の売上高横ばい
ドイツの半導体メーカー、インフィニオンは、2025年7-9月期の売上高が横ばいになるとの見通しを示しました。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-08-05/T0I9YXGPL41500
この見通しの背景には、関税をめぐる不透明感が引き続き業績の重しになっていることが挙げられます。ただし、2024年第3四半期には売上高が微増に転じるなど、回復の兆しも見え始めています。
インフィニオンはどんな半導体を製造しているのか
インフィニオンは、主に「パワー半導体」と「車載半導体」の分野で世界的に高いシェアを誇る半導体メーカーです。
彼らが製造している半導体製品は多岐にわたりますが、特に以下の分野に強みを持っています。
- パワー半導体:
- 大きな電流の制御や電力変換を行う半導体です。インフィニオンは、シリコン(Si)だけでなく、より高性能な炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)といった新素材を用いたパワー半導体でも業界をリードしています。
- 主な用途は、太陽光発電システム、電源供給、産業用モーター駆動、家電製品など、エネルギー効率が求められるあらゆる分野です。
- 車載半導体:
- 自動車の電動化や自動運転技術の進展に伴い、需要が急増している分野です。
- マイクロコントローラー(MCU)をはじめ、センサー、セキュアシステム、ワイヤレス接続(Wi-Fi、Bluetooth)など、幅広い製品を提供しています。
- 具体的には、エンジン制御、安全システム、車載インフォテイメント、ボディ&コンビニエンスといった多様なアプリケーションに対応しています。
- センサー:
- 磁気センサー、圧力センサー、レーダーセンサー、CO2センサーなど、様々な種類のセンサーを製造しています。
- これらのセンサーは、自動車の安全機能や、産業機器、民生機器など、幅広い用途で活用されています。
その他、セキュリティチップ、メモリー(NOR Flash、F-RAMなど)、USBコントローラー、アナログICなど、多様な製品を開発・製造しています。
インフィニオンは「脱炭素」と「デジタル化」を推進する上で不可欠な、エネルギー効率の高い半導体ソリューションを強みとしている企業と言えます。

インフィニオンは、自動車の電動化や自動運転に不可欠な車載半導体や、省エネに貢献するパワー半導体の分野に強みを持っています。その他、センサー、セキュリティチップ、マイクロコントローラーなども製造しており、脱炭素化とデジタル化を推進する多岐にわたる製品を提供しています。
セキュリティチップとは何か
セキュリティチップは、パソコンやスマートフォンなどの機器に搭載され、機密情報を安全に管理するための半導体です。別名「TPM(Trusted Platform Module)」とも呼ばれます。主な役割と特徴は以下の通りです。
- 暗号鍵の安全な保管:
- データや通信を暗号化するための「鍵」を、チップ内部に安全に保管します。
- この鍵はチップから物理的に取り出すことが非常に難しいため、ハードディスクなどが盗まれたり、外部からサイバー攻撃を受けたりしても、鍵が盗まれるリスクを大幅に軽減できます。
- 認証機能:
- ユーザーのログイン情報(パスワードなど)や、生体認証(指紋や顔)のデータを安全に管理し、本人確認を行います。
- 改ざん検知:
- 機器の起動時に、システムソフトウェアやハードウェアが改ざんされていないかを確認し、不正な変更を検知する機能を持っています。
- 独立した機能:
- OSや他のソフトウェアから独立して機能するため、OSがウイルスに感染してもセキュリティチップ内の情報にはアクセスできません。
これにより、セキュリティチップは、ハードディスクの暗号化、セキュアな電子メールの送受信、不正アクセス防止など、多岐にわたるセキュリティ機能の基盤となっています。

セキュリティチップは、パソコンやスマホなどの機器に搭載され、機密情報を安全に保護する半導体です。暗号化の鍵や認証情報をチップ内に安全に保管し、データの盗難や不正な改ざんから機器を守る役割を担います。
売り上げ横ばいの理由はなにか
インフィニオンの売上横ばいの主な理由は、以下の複数の要因が重なっているためです。
- 半導体市場全体の低迷と在庫調整
- 2023年以降、世界の半導体市場は、特にコンシューマー向け製品(PC、スマートフォンなど)や通信・IoT市場の需要が低迷しました。
- この結果、顧客や販売会社で半導体の在庫が積み上がり、在庫調整の動きが加速しました。インフィニオンも、特に産業用ドライブや再生可能エネルギー分野でこの影響を受けたと説明しています。
- 自動車市場の成長鈍化
- インフィニオンの主要な事業分野である自動車セクターも、特に中国以外の電気自動車(EV)市場で成長の勢いが鈍化しています。
- 世界的な景気減速を背景に消費者の購買意欲が低下し、自動車の生産・販売に影響が出ていることも一因です。
- 地政学的な不確実性
- 関税を巡る不透明感など、地政学的な要因も業績の重しになっているとインフィニオンは指摘しています。
これらの要因が組み合わさり、インフィニオンは2024年度の売上高見通しを下方修正するなど、厳しい市場環境に直面しました。ただし、2024年第3四半期には売上高が微増に転じるなど、回復の兆しも見え始めています。

売上横ばいの主な理由は、半導体市場全体の低迷と顧客による在庫調整です。特にPCやスマホ向け需要の減速、自動車市場の成長鈍化、そして地政学的な不確実性が複合的に影響しています。
コメント