この記事で分かること
- 超撥水塗料とは:塗装面に水滴がほぼ球状になり、転がり落ちるほどの非常に高い撥水性を持つ塗料で、水や汚れの付着を防ぐことができます。
- フッ素化合物以外の材料:シリコーン系や炭化水素系の物質があります。これらの成分は、表面エネルギーが低く水を弾く性質を持ちます。
- フッ素化合物以外の材料の課題と対策:撥油性が低い傾向にありますが、蓮の葉のような微細な凹凸構造を形成し、水を球状にして滑り落とす「ロータス効果」と組み合わせることで改善可能です。
吉川工業のフッ素化合物不使用の超撥水塗料
吉川工業は、水を主原料とし、フッ素化合物(PFOS・PFOA)を不使用とした超撥水塗料の新製法を開発しました。この塗料は揮発性有機化合物(VOC)をほとんど含まず、環境負荷の低減に貢献します。
この技術は、水系の液体であれば砂利などの固形物が入った泥水も弾く高い撥水性を持ち、コンクリート構造物や擁壁の雨水・海水付着防止、氷柱の付着防止、苔・泥はねの抑制などに効果が期待されています。
超撥水塗料とはなにか
超撥水塗料は、塗装面に水滴がほぼ球状になり、転がり落ちるほどの非常に高い撥水性を持たせる塗料です。一般的な撥水塗料が水を弾き広げるのに対し、超撥水塗料は水をほとんど表面に付着させず、水玉となって滑り落ちることで、優れた防汚効果を発揮します。この現象は「ロータス効果」と呼ばれ、ハスの葉が水を弾く仕組みを応用したものです。
原理と仕組み
超撥水塗料の原理は、主に以下の2つを組み合わせています。
- 低表面エネルギー: フッ素やシリコーンなどの低表面エネルギー物質を主成分とすることで、塗料の表面が水分子との親和性を低くします。
- 微細な凹凸構造: 塗料の表面にミクロンからナノメートル単位の微細な凹凸を形成します。水滴がこの凹凸に接すると、水と接触する面積が極端に小さくなり、水滴は表面に馴染まず、空気を挟んで浮いたような状態になります。
この2つの要素が組み合わさることで、水滴と塗膜の接触角(水滴と表面が接する角度)が150°以上になり、強力な撥水効果が生まれます。
種類と用途
超撥水塗料は、その性能と用途に応じて様々な種類があります。
種類
- フッ素系・シリコーン系: これまでの超撥水塗料の主流で、フッ素樹脂やシリコーン樹脂を主成分としています。
- フッ素化合物不使用: 近年では、環境負荷を考慮してフッ素化合物を使わない新しいタイプの塗料も開発されています。
主な用途
- 建築物: 外壁、屋根、コンクリート、タイルなどの防汚、防カビ、防藻。
- 交通・インフラ: 道路標識、トンネル、橋梁の着雪・着氷防止。
- 家庭用品: 浴室、キッチン、トイレなどの水垢防止、窓ガラスや傘へのコーティング。
- その他: 繊維、精密機器、医療機器など、さまざまな分野で応用が進んでいます。
超撥水塗料は、塗装面に水滴がほぼ球状になり、転がり落ちるほどの非常に高い撥水性を持つ塗料です。ハスの葉が水を弾く「ロータス効果」を応用し、表面に微細な凹凸と低表面エネルギー構造を形成することで、水や汚れが付着するのを防ぎます。

超撥水塗料は、塗装面に水滴がほぼ球状になり、転がり落ちるほどの非常に高い撥水性を持つ塗料です。ハスの葉が水を弾く「ロータス効果」を応用し、表面に微細な凹凸と低表面エネルギー構造を形成することで、水や汚れが付着するのを防ぎます。
なぜ水原料で撥水できるのか
水を主原料とする塗料でも撥水できるのは、表面に特殊なナノメートルからミクロン単位の凹凸構造を形成するからです。
この微細な構造と、塗料に含まれる撥水成分が持つ低い表面エネルギーが組み合わさることで、水滴と塗膜の接触面積を極端に減らし、水を球状にして転がり落とす「ロータス効果」を再現します。
従来の溶剤系塗料と異なり、水系塗料は水が蒸発する際に、塗料中に含まれる微粒子(ナノ粒子など)が自己組織化し、ナノスケールの凹凸構造を作り出すことができます。このプロセスにより、フッ素化合物を使わずとも高い撥水性を発揮する塗料の開発が可能になりました。
仕組みの詳細
- 低表面エネルギー: 水は表面張力が大きいため、分子同士が強く引きつけ合います。超撥水塗料の表面は、この水の分子同士の引力よりも、水と塗料の表面の引力(付着力)を低くすることで、水が表面に広がらずに丸まろうとします。
- 微細な凹凸構造: 塗料の乾燥過程で、塗膜表面に極めて小さな凹凸が形成されます。この凹凸の隙間に空気が閉じ込められ、水滴は塗料の表面に直接触れるのではなく、空気の層の上に浮いたような状態になります。これにより、水と塗料の接触角が150°以上となり、水滴がほとんど表面に付着しない超撥水状態が実現します。
この技術は、フッ素化合物に頼らずに環境に優しい塗料を開発する上で重要な鍵となっています。

水を主原料とした塗料でも撥水できるのは、「ロータス効果」を応用しているからです。塗料が乾燥する際に、表面に微細な凹凸構造が形成されます。この凹凸が水滴と塗膜の接触面積を減らし、水滴が表面に馴染まずに球状になって滑り落ちることで、優れた撥水性を発揮します。
フッ素を含まない撥水成分とは
フッ素を含まない撥水成分には、主にシリコーン系や炭化水素系の物質があります。これらの成分は、フッ素化合物に比べて環境への負荷が少ないため、代替品として注目されています。
シリコーン系撥水剤
シリコーン(ケイ素樹脂)は、撥水性に加えて柔軟性や耐候性に優れており、多くの非フッ素系撥水剤の主成分として使われています。シリコーンの分子構造が水を弾き、表面張力を下げることで撥水効果を発揮します。ただし、一般的にフッ素系に比べて撥油性(油を弾く性質)は劣ります。
炭化水素系撥水剤
ポリオレフィンやポリウレタンなどの炭化水素系物質も、フッ素不使用の撥水成分として開発が進められています。これらの物質は安価で製造が容易ですが、シリコーンと同様に撥油性は低い傾向があります。近年では、特定の構造を持つ炭化水素系ポリマーを合成することで、撥油性も兼ね備えた製品が開発されています。
その他の非フッ素系撥水技術
フッ素に頼らずに高い撥水性を実現するため、素材そのものの構造を工夫する技術も重要です。例えば、蓮の葉の表面を模倣して、ナノレベルの微細な凹凸構造を作り出すことで、水滴が表面に触れる面積を極端に小さくし、強力な撥水効果を発揮します。この技術は、シリコーンや炭化水素系の成分と組み合わせることで、フッ素系に匹敵する撥水性能を生み出すことができます。

フッ素を含まない撥水成分には、シリコーン系や炭化水素系の物質があります。これらの成分は、表面エネルギーが低く水を弾く性質を持ちます。また、これらの成分と組み合わせることで、蓮の葉のような微細な凹凸構造を形成し、水を球状にして滑り落とす「ロータス効果」を利用する技術も開発されています。
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