フジクラの株価が最高値 最高値となった理由は何か?どんな素材を供給しているのか?

この記事で分かること

  • 最高値の理由:フジクラが最高値となった理由は、核融合炉の基幹材料となる高温超電導線材を供給していることによる期待と、データセンター向け需要拡大への期待という、二つのテーマ性が重なったためです。
  • 高温超電導線材とは:液体窒素温度(約-196°C)などの比較的高い温度で電気抵抗がゼロになる特殊なセラミックス材料の電線です。電力損失ゼロで大電流を流せ、核融合炉や医療機器の強力なマグネットなどに使われます。
  • なぜ高温でも超電導となるのか:メカニズムは完全には解明されていません。有力説として、電子が格子振動以外(磁気的な揺らぎなど)の強い相互作用でペア(クーパー対)を作るため、熱で壊れにくいことが挙げられます。

フジクラの株価が最高値

 フジクラの株価が最高値を更新しています。その背景には、核融合関連銘柄としての期待の高まりがあります。

 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL070P00X01C25A0000000/

具体的には、フジクラは核融合炉の実現に不可欠とされる高温超電導(HTS)線材を開発・供給していることが材料視されています。

核融合関連製品とは何か

 高温超電導線材の供給
  • フジクラは、核融合開発ベンチャーのHelical Fusionなどに対して、核融合炉の主要部品である超電導マグネットに使用される高温超電導線材を供給しています。
  • その線材の品質の安定性などが評価され、戦略物資のサプライチェーン構築に寄与するものとして注目されています。
  • また、英国核融合プログラム実行機関(UKIFS)とも高温超電導線材の供給に関する契約を締結するなど、国内外での実績があります。
事業拡大への意欲

 フジクラは、核融合発電を見据え、高温超電導線材の生産設備増強に積極的に取り組み、超電導事業を将来的に大幅に拡大する考えを示しています。

国策としての注目

 核融合エネルギーは、カーボンニュートラル次世代エネルギーとして、政府(国策)からも注目されており、関連銘柄への期待が高まっています。

どんな新材料なのか

 フジクラの最高値更新の背景にある核融合関連の「新材料」とは、主に高温超電導(HTS)線材、中でも特にレアアース系高温超電導テープ線材です。

これは、核融合炉の実現に不可欠な超電導マグネットの基幹材料となるものです。


高温超電導線材の役割と特徴

1. 核融合炉での役割

 核融合炉では、燃料となるプラズマを1億度以上の超高温に加熱し、そのプラズマを炉壁に触れさせずに閉じ込める必要があります。この閉じ込めに使用されるのが、強力な磁場を発生させる超電導マグネットです。フジクラの高温超電導線材は、このマグネットの素材として用いられます。

2. 「高温」超電導の優位性

 従来の超電導材料(低温超電導)は、マイナス269°C(液体ヘリウム)といった極低温でしか超電導状態を保てませんでした。

 一方、フジクラが供給する高温超電導線材は、これよりも高い温度(マイナス253°C付近など)で超電導状態を実現でき、以下の点で優れています。

  • 小型化・効率化: より高い温度で極めて強い磁場を生成できるため、核融合炉の全体サイズを小さくし、効率化に貢献します。
  • 冷却コストの削減: 液体ヘリウムに頼らず、ヘリウムガスや液体水素での冷却も視野に入り、冷却システムの簡素化運用コストの低減が期待されます。

3. 材料の詳細

 フジクラは、特にレアアース系高温超電導線材の量産技術を確立しており、高い電流特性と高強度を実現しています。この線材は、テープ状になっているため「高温超電導テープ線材」とも呼ばれ、核融合開発ベンチャー(例:Helical Fusion、米国CFS社など)への供給実績があります。

フジクラの核融合関連の新材料は、主にレアアース系高温超電導(HTS)テープ線材です。これは、核融合炉で超高温のプラズマを閉じ込める強力な超電導マグネットの基幹材料であり、従来の超電導材より高い温度で動作し、炉の小型化・効率化に貢献します。

高温超電導(HTS)線材とは何か

 高温超電導(HTS)線材とは、液体窒素の沸点である約-196°C(77ケルビン)などの、比較的高い温度で電気抵抗が完全にゼロになる「超電導状態」を示す物質を用いた電線やテープ状の材料です。

HTSは、従来の超電導材料(低温超電導・LTS)がマイナス269°C(液体ヘリウム)といった極低温でしか超電導状態になれなかったのに対し、「高温」で超電導を示すことから名付けられました。


HTS線材の主な特徴

1. 「高温」での超電導
  • 冷却の簡便化: 液体ヘリウムに代わり、安価で取り扱いが比較的容易な液体窒素(-196°C)や、さらに高い温度域での冷却が可能になるため、冷却システムが簡素化され、コストダウンにつながります。
2. 高い性能と応用性
  • 電気抵抗ゼロ: 電流を流す際に熱として失われるエネルギー(送電損失)が完全にゼロになります。
  • 大電流・高磁場: 非常に大きな電流を流すことができ、強力な磁場を発生させることが可能です。これにより、よりコンパクト高効率な機器の設計が可能になります。
  • セラミックス材料: HTS線材の多くは、イットリウム系ビスマス系などの酸化物(セラミックス)を主成分としていますが、これを特殊な技術で長尺のテープ状などに加工しています(例:フジクラのレアアース系高温超電導テープ線材)。

主な応用分野

その特性から、HTS線材はさまざまな次世代技術の実現に不可欠な材料とされています。

エネルギー・電力
  • 超電導ケーブル: 電力損失ゼロの送電網の実現。
  • 電力貯蔵装置(SMES): 大容量の電力を貯蔵。
  • 発電機・モーター: 高効率で小型の機器開発。
核融合
  • 超電導マグネット: 核融合炉内で超高温プラズマを閉じ込めるための強力な磁場発生装置の基幹材料。
医療・科学
  • MRI(磁気共鳴画像装置): より強力な磁場を発生させ、高性能化。
  • 加速器: 粒子を加速・制御するマグネット。

高温超電導(HTS)線材は、液体窒素温度(約-196°C)などの比較的高い温度で電気抵抗がゼロになる特殊なセラミックス材料の電線です。電力損失ゼロで大電流を流せ、核融合炉医療機器の強力なマグネットなどに使われます。

なぜ高温でも超電導を維持できるのか

 高温超電導(HTS)線材が、比較的高い温度で超電導を維持できるメカニズム(理由)は、現在の物理学における最先端の研究テーマであり、完全に解明されたわけではありません。

 しかし、有力な仮説やその特徴は、従来の超電導(低温超電導・LTS)の理論とは異なる独自の電子の結びつき方にあると考えられています。

従来の超電導との違い

 超電導現象の基本的な仕組みは、電子同士がペア(クーパー対)を作って、物質内を抵抗なく流れることによります。

1. 低温超電導(LTS)

  • LTSでは、電子が物質の原子核の格子振動を介して弱い引力を生み出し、クーパー対を作ります。
  • この弱い結びつきは、わずかな熱エネルギー(温度)で簡単に壊れてしまうため、極低温(マイナス269°C)まで冷やす必要があります。

2. 高温超電導(HTS)

  • HTSでは、LTSとは異なり、電子の強い相互作用がクーパー対を形成し、比較的高い温度でもそのペアが熱によって壊されにくいと考えられています。
  • この相互作用の具体的な正体として、磁気的な揺らぎ量子液晶の量子臨界点など、格子振動とは異なるメカニズムが関与している可能性が示唆されています。
  • HTS材料(銅酸化物など)は、電子が流れる層と絶縁層が交互に積み重なった特異な結晶構造を持っており、この層状構造が超電導状態を高い温度で安定させている要因の一つだとされています。

高温超電導(HTS)が超電導を維持できるメカニズムは完全には解明されていません。有力説として、電子が格子振動以外(磁気的な揺らぎなど)の強い相互作用でペア(クーパー対)を作るため、熱で壊れにくいことが挙げられます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました