アリゾナ州、第2のシリコンバレーへ なぜアリゾナなのか?どんな企業があるのか?

この記事で分かること

  • アリゾナが選ばれる理由:乾燥した気候が半導体製造に適し、土地・人件費が安価なためです。さらに、州や連邦政府による税制優遇と積極的な企業誘致が集中を加速させています。
  • 進出している半導体関連メーカー:TSMC(台湾積体電路製造)が最先端の工場を、インテルが長年の大規模拠点を展開しています。また、Amkor Technology(後工程)やJX金属(材料)などサプライチェーン企業も集積しています。
  • 半導体関連以外のメーカーの例:航空宇宙・防衛のレイセオンやボーイング、EVメーカーのルーシッド、自動運転のウェイモ、LGのバッテリー工場、大規模データセンターなどが挙げられます。

アリゾナ州、第2のシリコンバレーへ

 アリゾナ州、特にフェニックス都市圏は、:台湾の半導体受託製造大手であるTSMCや、米国のインテルといった世界的な半導体企業が、巨額の投資をして最先端の工場を建設してることから「第2のシリコンバレー」や「シリコン・デザート」と呼ばれるほど、技術産業の集積地として急速に注目を集めています。

 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07CYU0X01C25A0000000/

 アリゾナ州は単なる半導体製造拠点にとどまらず、多様な技術産業が集積する「第2のシリコンバレー」として、今後もさらなる成長が期待されています。

なぜアリゾナなのか

 アリゾナが「第2のシリコンバレー」として注目される理由は、主に以下の点が挙げられます。

1. 地理的・気候的な優位性

  • 広大な土地と低いコスト: シリコンバレーやロサンゼルスなど、既存のテクノロジー集積地と比べて、土地価格や労働コストが安価です。
  • 乾燥した気候: 半導体製造は、温度や湿度の厳密な管理が不可欠です。アリゾナの砂漠地帯は乾燥しており、このコントロールがしやすいという利点があります。
  • 物流の利便性: フェニックスには巨大な空港があり、物流面でも優位性があります。

2. 政策的な支援

  • 政府の積極的な誘致: アリゾナ州政府は、豊富な税制優遇措置など、企業誘致を積極的に行っています。
  • 国の半導体戦略: 米国政府は経済安全保障の観点から、国内の半導体サプライチェーンを強化する方針を打ち出しており、アリゾナ州はその戦略の中心地の一つとして位置づけられています。

3. 人材の育成と確保

  • 教育機関との連携: アリゾナ州立大学などが、半導体技術者の育成に力を入れており、将来的な人材確保が期待されています。

 これらの複合的な要因が、アリゾナ州への技術産業、特に半導体産業の集中を促しています。

乾燥した気候が半導体製造に適し、土地・人件費が安価なためです。さらに、州や連邦政府による税制優遇と積極的な企業誘致が集中を加速させています。

どんな企業の半導体製造拠点があるのか

 アリゾナ州、特にフェニックス都市圏には、以下のように世界をリードする半導体製造・関連企業の巨大な製造拠点や投資が集中しています。

半導体製造(ファウンドリ・IDM)

  • TSMC (台湾積体電路製造)
    • 場所:フェニックス(Fab 21サイト)
    • 概要:世界最大の半導体受託製造(ファウンドリ)企業。複数棟の最先端工場を建設中(4nm、5nm、3nm、2nmプロセスなどを予定)で、米国国内における先端半導体製造の中核を担います。
    • 顧客:NVIDIA(AIチップの製造開始を公表)、Appleなどが主な顧客になる予定です。
  • インテル (Intel)
    • 場所:チャンドラー
    • 概要:1980年代からアリゾナに拠点を置くIDM(設計から製造までを一貫して行う企業)。巨額の投資を行い、次世代プロセス(18Aなど)の製造工場(Fab 52、Fab 62など)を拡張・新設しています。

半導体後工程・サプライチェーン

  • Amkor Technology
    • 場所:ピオリア
    • 概要:半導体の組み立て・テスト(OSAT、後工程)の世界大手。TSMCの生産拠点近くに新たな先端パッケージング工場を建設中で、アリゾナでサプライチェーンが完結するエコシステムを強化しています。
  • NXP
    • 概要:車載向けなど特定分野の半導体メーカーもアリゾナに拠点を置いています。
  • JX金属
    • 場所:メサ市、チャンドラー市
    • 概要:日本の大手素材メーカー。半導体製造に必要なスパッタリングターゲットなどの材料工場を新設・拡張し、顧客である先端半導体メーカーに近接して材料供給体制を構築しています。

 これらの企業群が、前工程(ウェハー製造)から後工程(パッケージング、テスト)、そして関連する素材供給までを含めた強固な半導体エコシステムをアリゾナ州に形成しています。

アリゾナ州には、TSMC(台湾積体電路製造)が最先端の工場を、インテルが長年の大規模拠点を展開しています。また、Amkor Technology(後工程)やJX金属(材料)などサプライチェーン企業も集積しています。

半導体以外の企業はどんな企業があるよか

 アリゾナ州では、半導体産業以外にも、様々なハイテク分野や製造業で大手企業が重要な拠点を置いています。

主な産業と企業は以下の通りです。

1. 航空宇宙・防衛産業

アリゾナ州は、長年にわたり軍事・防衛産業の一大拠点です。

  • レイセオン (Raytheon Missile Systems):ツーソン市に本社があり、ミサイルや防衛システムの主要な開発・製造拠点があります。
  • ボーイング (Boeing)
  • ロッキード・マーティン (Lockheed Martin)
  • ハネウェル (Honeywell)
  • ノースロップ・グラマン (Northrop Grumman):ロケットモーターや打ち上げ機を担当する部門の拠点があります。

2. 電気自動車(EV)・バッテリー・自動運転

EV新興企業が、広大な土地と州の支援を求めて進出しています。

  • ルーシッド (Lucid Motors):高級EVメーカー。カサグランデに大規模な生産工場を持っています。
  • ニコラ (Nikola Corporation):水素燃料電池車(FCV)やEVトラックを開発する企業。
  • LG Energy Solution:クイーンクリークにEV用円筒形バッテリー工場の建設を計画しています。
  • ウェイモ (Waymo):Google系の自動運転技術開発企業。フェニックス都市圏でロボタクシーサービスを展開しています。

3. データセンター・クラウド

安価な土地と安定した電力供給を求めて、大規模なデータセンターが集積しています。

  • サイラスワン (CyrusOne)
  • デジタル・リアリティー (Digital Realty)
  • ペイパル (PayPal)(データセンター関連)

4. バイオサイエンス・医療技術

税制インセンティブなどを背景に、研究開発(R&D)や製造の拠点が集積しています。

  • アストラゼネカ (AstraZeneca)
  • メドトロニック (Medtronic)
  • サノフィ・アドベンティス (Sanofi-Aventis)
  • メイヨークリニックなどの大手医療機関も研究開発に投資しています。

 アリゾナは半導体だけでなく、軍事、モビリティ、ITインフラなど、多様なハイテク・製造業の集積地として機能しています。

半導体以外では、航空宇宙・防衛レイセオンボーイング、EVメーカーのルーシッド、自動運転のウェイモLGのバッテリー工場、大規模データセンターなどが集積しています。

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