この記事で分かること
- 契約の内容:全行員約3.5万人がChatGPT Enterpriseを利用し、業務の高度化・効率化を図ります。また、金融アプリ「エムット」でAIを活用した顧客体験の創出を目指します。
- エムレットの特徴:、MUFGグループの金融サービスをアプリ一つで統合管理できる点が最大の特徴です。最大20%還元のポイントプログラムや、AIを活用した資産運用相談などで顧客体験を強化します。
MUFGとOpenAIと戦略的なコラボレーション契約
三菱UFJ銀行(MUFG)はOpenAIと戦略的なコラボレーション契約を締結しました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP699406_S5A111C2000000/
この戦略的コラボレーションは、主に業務の効率化・高度化とリテール分野での新サービスの創出の二本柱で進められます。
契約の内容は何か
三菱UFJ銀行(MUFG)はOpenAIと戦略的なコラボレーション契約は2024年10月に発表された生成AIを活用した業務改革に関する覚書に基づく取り組みを、実証段階から本格的な運用段階へ移行させるものです。
協業の主な目的と内容
この戦略的コラボレーションは、主に業務の効率化・高度化とリテール分野での新サービスの創出の二本柱で進められます。
1. 行内業務への本格導入と「AI-Nativeな企業」への変革
- 全行員への展開(2026年1月以降):
- 三菱UFJ銀行の全行員約35,000人が、OpenAIの「ChatGPT Enterprise」を日常業務で順次利用開始します。
- 社内文書作成、調査対応、顧客対応、データ分析など、幅広い業務の効率化と高度化を図ります。
- AI人材育成:
- 両社でプロジェクトチームを立ち上げ、AI活用を推進できる専門人材(AIチャンピオン)の育成で連携します。
- 技術的な連携:
- OpenAIの最新モデルや機能をいち早くMUFGが利用し、実装を開始できるようになります。
2. リテール分野での革新的な顧客体験の創出
- 総合金融アプリ「エムット」の強化:
- リテールのサービスブランド「エムット」を通じて、ChatGPTと対話しながら家計管理や資産運用の相談ができるサービスの提供を目指します。
- 決済サービスとの連携:
- ChatGPT上で商品の検索から購入まで完結できるサービスのコマース規格(Agentic Commerce Protocol)に対応し、MUFGの各種決済サービスの実装を計画しています。
これまでの主な経緯
| 時期 | 内容 |
| 2024年10月 | MUFGがOpenAIと生成AIを活用した金融業務の高度化・効率化に向けた覚書を締結し、実証実験を開始。 |
| 2025年11月 | 実証実験の成果を踏まえ、OpenAI Group PBCと戦略的なコラボレーション契約を締結。本格運用へ移行。 |
| 2026年1月以降 | 三菱UFJ銀行の全行員約35,000人が「ChatGPT Enterprise」を日常業務で順次利用開始予定。 |
この協業は、MUFGが掲げる「AI-Nativeな企業」への変革を推進し、金融業界全体のデジタルトランスフォーメーションを加速させることを目指しています。

三菱UFJ銀行(MUFG)はOpenAIと戦略的コラボレーション契約を締結しました。2026年1月以降、全行員約3.5万人がChatGPT Enterpriseを利用し、業務の高度化・効率化を図ります。また、金融アプリ「エムット」でAIを活用した顧客体験の創出を目指します。
リテール分野に力を入れる理由は何か
MUFGがリテール(個人金融)分野に注力する主な理由は、収益機会の拡大と顧客基盤の強化、そして環境変化への対応にあります。
リテール分野に注力する主な理由
1. 資産運用ニーズの高まりと収益機会の拡大
- 国内市場の変化: マイナス金利政策の解除や「貯蓄から投資へ」の流れ、NISAの拡充などにより、国内で個人顧客の資産運用ニーズが歴史的に高まっています。
- 新たな収益源: 従来の預金や融資だけでなく、資産運用や保険などのフィービジネス(手数料ビジネス)は、安定した収益源として重要性が増しています。リテール分野を強化することで、この大きな市場での収益獲得を目指します。
2. 膨大な顧客基盤とデータの活用
- 強固な顧客基盤: MUFGグループは、国内に約6,000万人という巨大な顧客基盤を持っています。
- データ活用の競争力: この膨大な顧客データ(家計データ等も含む)をAIで分析・活用することで、一人ひとりの顧客に最適な金融サービスや提案を行うことが可能になります。OpenAIとの協業によるAI活用も、このデータ活用の競争力を高めるための重要な一歩です。
3. 「デジタルとリアル」の融合による差別化
- デジタルバンクの創設: 2026年度後半に、ネット銀行にはない「デジタルとリアルの融合型」のデジタルバンク(新ブランド「エムット」)の開業を目指しています。
- 対面ニーズへの対応: 実店舗網を持つメガバンクの強みを活かし、基本的なサービスはデジタルで完結させつつ、資産運用など対面でのアドバイスが必要な顧客ニーズにはリアルな店舗(「エムットスクエア」など)で対応することで、ネット専業銀行との差別化を図ります。
まとめ
リテール分野は、市場の変化に伴う成長性が期待でき、MUFGの巨大な顧客基盤を最大限に活かせる戦略的な柱と位置づけられています。OpenAIとの連携は、このリテール戦略におけるAIを活用した顧客体験の革新と、全行員の生産性向上による企業体質の強化に不可欠な要素です。

リテール分野は、マイナス金利解除や資産運用ニーズの高まりで収益機会が拡大しているためです。約6,000万人の顧客基盤データをAIで活用し、収益強化と「AI-Nativeな企業」への変革を目指しています。
エムレットの特徴と強化内容は何か
MUFGのリテール新ブランド「エムット」の主な特徴と強化内容は以下の通りです。
エムットの特徴と強化内容
| 項目 | 特徴・強化内容 |
| スローガン | 「お金のあれこれ、まるっと。」 → 生涯にわたって顧客の金融ニーズを総合的にサポートする「やさしい金融サービス」を目指します。 |
| サービス統合 | グループサービスの一括管理を可能にする新プラットフォームです。 銀行(三菱UFJ銀行アプリ)、決済(MUFGカード、COIN+)、資産運用(証券、ロボアド)など、お金にまつわる全てをアプリ一つで完結できます。 |
| ポイント優遇 | 新ポイントアッププログラムを導入。 日常利用や特定店舗での決済で最大20%還元(条件あり)の仕組みを設け、顧客接点を拡大します。 |
| デジタル化 | 三菱UFJ銀行アプリを全面リニューアルし、UI/UXを大幅に改善。 資産状況を一目で確認できるダッシュボード機能などを搭載し、利便性を高めています。 |
| 店舗戦略 | 「エムットスクエア」など、個人相談に特化したキャッシュレスの新コンセプト店舗を展開。 デジタルとリアルを融合した新たな顧客体験を創出します。 |
| 将来構想 | 2026年度後半に「デジタルバンク」の開業を目指し、リテール戦略の中核とします。 |
| OpenAIとの協業 | ChatGPTを活用し、アプリを通じて家計管理や資産運用のアドバイスを提供するなど、革新的な顧客体験の創出を目指します。 |

リテール新ブランド「エムット」は、MUFGグループの金融サービスをアプリ一つで統合管理できる点が最大の特徴です。最大20%還元のポイントプログラムや、AIを活用した資産運用相談などで顧客体験を強化します。

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