この記事で分かること
- フラッシュメモリとは:電気的にデータの消去・書き換えができる不揮発性メモリの一種です。衝撃に強く小型化が容易なため、SSDやUSBメモリ、スマートフォンの保存領域として広く普及しています。
- NAND型フラッシュメモリとは:大容量化と低価格化に優れたフラッシュメモリです。回路を直列に繋ぐことで高密度な保存を実現可能です。
- NAND型の書き込みが速い理由:回路が直列構造で「大きなデータの塊(ページ単位)」を一括で書き込めるからです。1つずつ書き込むNOR型と異なり、複数のセルを同時に処理できるため、
NAND型フラッシュメモリ
半導体チップは、「産業のコメ」と呼ばれるほど現代社会の基盤となっています。AIの普及やデジタル化の加速などのもあり、AIそのますます重要性が増しています。
ただ、一口に半導体チップといっても、その中には様々な種類が存在します。今回は、不揮発性メモリの一種であるフラッシュメモリ、特にNAND型フラッシュメモリに関する記事となります。
フラッシュメモリとは何か
フラッシュメモリとは、電気的にデータの消去・書き換えができる不揮発性メモリの一種です。
1980年代に東芝の舛岡富士雄氏によって発明され、データの消去が一瞬(Flash)で行えることからその名がつきました。
フラッシュメモリの主な特徴
- 不揮発性: 電源を切ってもデータが消えません。
- 可動部がない: HDD(ハードディスク)のような回転するディスクがないため、衝撃に強く、動作音がしません。
- 小型・軽量: 非常に小さく作れるため、スマートフォンやUSBメモリに最適です。
2つの主要なタイプ
フラッシュメモリには、接続方式の違いによって「NAND型」と「NOR型」の2種類があります。
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
| NAND型 | 書き込みが速く、大容量化・低価格化が容易。 | SSD、USBメモリ、SDカード |
| NOR型 | 読み込みが速く、データの信頼性が高い。 | 家電の制御用プログラム、BIOS |
データの「記録方式」による違い(SLC/MLC/TLC)
1つのセル(データの箱)に何ビット保存するかで、寿命や価格が変わります。
- SLC (Single Level Cell): 1セルに1ビット。高速で長寿命だが高価。
- MLC (Multi Level Cell): 1セルに2ビット。性能と価格のバランス型。
- TLC (Triple Level Cell): 1セルに3ビット。現在の主流(安価で大容量)。

フラッシュメモリとは、電気的にデータの消去・書き換えができる不揮発性メモリの一種です。衝撃に強く小型化が容易なため、SSDやUSBメモリ、スマートフォンの保存領域として広く普及しています。データの消去が一括で素早く(Flash)行えることが名前の由来です。
NAND型フラッシュメモリとは何か
NAND型フラッシュメモリとは、現在SSDやUSBメモリ、スマートフォンなどで最も一般的に使われているフラッシュメモリのことです。1987年に日本の東芝(現キオクシア)によって発明されました。
NAND型の大きな特徴
フラッシュメモリには「NAND型」と「NOR型」の2種類がありますが、NAND型には以下の強みがあります。
- 大容量・低価格: 回路構成がシンプルで、メモリセルを隙間なく並べられるため、同じ面積で大量のデータを保存でき、コストも抑えられます。
- 書き込み・消去が速い: まとまったデータを一気に処理するのが得意で、写真や動画などの大きなファイルを保存するのに最適です。
- 物理的な強さ: 衝撃に強く、消費電力が少ないため、持ち運びを前提としたモバイル機器に向いています。
仕組みのポイント
「NAND」という名前は、論理回路の「NANDゲート」と同じ接続方法を採用していることに由来します。メモリセルを直列(数珠つなぎ)に並べることで、配線を減らし、高密度な保存を可能にしています。

NAND型は、大容量化と低価格化に優れたフラッシュメモリです。回路を直列に繋ぐことで高密度な保存を実現しており、SSDやSDカードなど、大量のデータを記録するストレージの主流として世界中で使われています。
NANDゲートとはどのような構造なのか
NANDゲートとは、論理演算を行う基本回路の一つで、「すべての入力が1(ON)のときだけ、出力が0(OFF)になる」という動作をします。
電子回路としては、主に2つのMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)を組み合わせて構成されています。
1. 回路の構造
NANDゲートは、大きく分けて2つの部分が「直列」と「並列」に組み合わさったサンドイッチのような構造をしています。
- 直列(下側): 2つのトランジスタ(N型MOSFET)を数珠つなぎに配置します。両方のスイッチがONにならない限り、電流は地面(GND)へ流れません。
- 並列(上側): 2つのトランジスタ(P型MOSFET)を横並びに配置します。どちらか一方でもOFFであれば、出力側に電流が供給されます。
2. なぜ「NAND型メモリ」と呼ばれるのか
NAND型フラッシュメモリがこの名前で呼ばれる理由は、メモリセルのつなぎ方にあります。
- 数珠つなぎの構造: メモリチップ内部で、複数のメモリセル(データを貯める素子)を直列に並べています。
- 利点: この直列構造は、NANDゲートの回路構成と非常によく似ています。配線(コンタクト)を共有できるため、回路の面積を劇的に小さくでき、大容量化が可能になりました。

NANDゲートは、複数のトランジスタを直列(シリーズ)に配置した回路構造を持ちます。全ての入力が揃った時のみ反応する仕組みで、この「直列につなぐ」という特徴をメモリに応用することで、配線を減らした高密度なデータ保存を実現しています。
なぜ書き込みが速いのか
NAND型フラッシュメモリが、もう一方の「NOR型」に比べて書き込みが速い理由は、主に「データの書き込み単位」と「回路のシンプルさ」にあります。
1. 「一括処理」が得意な直列構造
NAND型はメモリセルを数珠つなぎ(直列)に配置しています。
- 書き込み: データを「ページ」という大きな単位(数KB〜16KB程度)で一括して流し込みます。
- 対比: NOR型はセルが並列に配置されており、1ビットずつ確認しながら書き込むため、大量のデータを扱うと時間がかかってしまいます。
2. 配線が少なく、信号が単純
NAND型は回路がシンプルなため、書き込み時の信号経路が短く済みます。
- 複数のセルが配線を共有しているため、制御回路が一度に多くのセルへ書き込み命令を出す効率が非常に高いのです。

NAND型の書き込みが速い理由は、回路が直列構造で「大きなデータの塊(ページ単位)」を一括で書き込めるからです。1つずつ書き込むNOR型と異なり、複数のセルを同時に処理できるため、写真や動画などの大容量データを素早く記録することに適しています。
大容量化が容易な理由は何か
NAND型フラッシュメモリが大容量化に最も適している理由は、一言で言えば「無駄な配線を極限まで削ぎ落とした、超高密度な詰め込み構造」だからです。
1. セルを「数珠つなぎ」にして配線を節約
NAND型はメモリセルを直列(数珠つなぎ)に並べる構造をしています。
- 配線の共有: 隣り合うセル同士で配線を共有できるため、1つのセルあたりの面積を最小限に抑えられます。
- 対比: NOR型などはセルごとに専用の配線が必要なため、隙間が多くなり、同じ面積に詰め込めるデータの量が少なくなってしまいます。
2. 「3D NAND」によるビル型の積層
平面(2D)で限界が来ると、次はセルを縦に積み上げる「3D NAND」技術が登場しました。
- 高層ビル化: 平面に並べるのではなく、シリコン基板の上にセルを100層、200層と垂直に積み上げます。
- 効果: 土地(チップの面積)を広げずに、建物の階数を増やすことで、爆発的に容量を増やすことに成功しました。
3. 1つのセルに複数のデータを詰め込む(多値化)
「電子の量」を細かく制御することで、1つの箱(セル)に複数のビットを保存する技術です。
- 多値化技術: 1つのセルに1ビット(SLC)ではなく、3ビット(TLC)や4ビット(QLC)と情報を詰め込むことで、物理的な数以上に容量を倍増させています。

大容量化が容易な理由は、セルを直列につなぐことで配線スペースを劇的に減らせるからです。これにより、同じ面積に大量のセルを詰め込めるだけでなく、セルを縦に積み上げる「3D積層」や「多値化」といった高密度化技術との相性が非常に良いためです。

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