この記事で分かること
- 大台突破の理由:AI投資への期待から、エヌビディアやAMDなどAIチップ大手が指数を牽引しました。また、高速通信を支えるブロードコムや製造の要であるTSMCも急伸するなど大手テックの巨額投資継続が追い風となりました。
- なぜ急伸したのか:大手テック企業が2026年のAI設備投資額を合計約100兆円規模へ大幅に引き上げたことが主因です。AIの「学習」から「実用」への移行でチップ需要が爆発し、業績の長期拡大が確実視されたため急伸しました。
- 今後の見通し:AI投資は2026年も拡大が続く見通しです。短期的にはエヌビディア等の業績拡大で強気が継続しますが、今後は「AI投資が実際の利益を生むか」という収益性の選別が強まります。2月後半の決算が最初の試金石です。
NYダウ、史上初めて5万ドルの大台を突破
2月6日、米国株式市場でダウ工業株30種平均(NYダウ)が史上初めて5万ドルの大台を突破しました。
https://jp.reuters.com/markets/world-indices/GQG4SBJOCRM63IYLVWSFKOPV3M-2026-02-06/
この歴史的な上昇を牽引したのは、生成AI(人工知能)への根強い期待と、それに関連する半導体銘柄の急騰です。
どんな半導体株が急伸したのか
2026年2月6日、ダウ平均が5万ドルの大台を突破した際、特に目立った動きを見せたのはAIインフラの「三種の神器」とも言える以下の銘柄群です。
大手テック企業(AmazonやGoogleなど)が2026年のAI関連設備投資を計6,500億ドル規模に引き上げると報じられたことが、強力な追い風となりました。
急伸した主な半導体・AI関連株
| 銘柄名 | 上昇率 | 特徴・役割 |
| エヌビディア (NVDA) | +7.87% | 主役。 AI学習・推論用GPUで圧倒的シェア。ダウ構成銘柄として指数を牽引。 |
| AMD | +8.3% | エヌビディアの対抗馬。次世代AIチップの需要拡大期待で同社を上回る上昇率。 |
| ブロードコム (AVGO) | +7.22% | ネットワークの要。 データセンター内の高速通信用カスタムチップ(ASIC)で急成長。 |
| TSMC (TSM) | +5.57% | 製造の独占。 上記各社のチップを実際に製造する世界最大のファウンドリ。 |
この急伸は、直前まで続いていた「ハイテク株の過熱感による売り」を跳ね返した形です。今後は、2月後半に予定されているエヌビディアの決算発表が、この5万ドル台を維持できるかどうかの試金石になると見られています。

AI投資への期待から、エヌビディアやAMDなどAIチップ大手が指数を牽引しました。また、高速通信を支えるブロードコムや製造の要であるTSMCも急伸するなど大手テックの巨額投資継続が追い風となりました。
なぜ急伸したのか
2026年2月にダウ平均が5万ドルを突破し、半導体株が急伸した主な理由は、「米テック大手による異次元のAI設備投資」と「実需への確信」の2点に集約されます。
1. ビッグテックによる「歴史的規模」の投資計画
Google、Amazon、Meta、Microsoftの4社が、2026年の設備投資額を合計で約6,500億ドル(約100兆円超)に引き上げるとの見通しを示しました。
- 前年比約60%増という驚異的な伸びであり、これは19世紀の鉄道網建設や、戦後の州間高速道路網建設に匹敵する歴史的な投資規模と評されています。
- この巨額資金の多くが、AI用半導体(GPU)やデータセンターの構築に向けられるため、供給側である半導体メーカーの業績がさらに数年先まで安泰だという見方が強まりました。
2. 「AIブーム」から「AI実装」への転換
単なる期待だけでなく、AIがビジネスとして収益を生み出し始める「転換点(インフレクション・ポイント)」に達したという認識が広がりました。
- 需要の爆発: エヌビディアのジェンスン・ファンCEOが「需要は天井知らず(Through the roof)」と発言し、供給が追いつかない現状が改めて浮き彫りになりました。
- 推論市場の急拡大: AIの「学習」用だけでなく、実際にサービスを動かす「推論」用チップの需要も本格化したことで、市場の裾野が広がりました。
3. 日本企業への波及と「シリコン主権」
地政学的なリスク管理から、自国や同盟国内で半導体を確保する「シリコン主権」の動きも加速しています。
- TSMCが2026年の設備投資を500億ドル規模に増額し、製造装置メーカー(ASMLや日本の東京エレクトロンなど)への注文が激増するとの予測も、株価を押し上げる要因となりました。
「主要テック企業が『負けられない戦い』として、過去に例を見ない巨額資金を半導体に注ぎ込み始めたこと」が、市場に強烈な買い安心感を与えたと言えます。

大手テック企業が2026年のAI設備投資額を合計約100兆円規模へ大幅に引き上げたことが主因です。AIの「学習」から「実用」への移行でチップ需要が爆発し、業績の長期拡大が確実視されたため急伸しました。
なぜ、需要は天井知らずと考えらえれているのか
需要が「天井知らず」とされる背景には、単なる期待を超えた「構造的な変化」が3つあります。
1. 「学習」から「推論」へのフェーズ移行
これまではAIに知識を教え込む「学習」のための需要が中心でしたが、2026年は数億人が日常的にAIを使う「推論(実際の利用)」フェーズに突入しました。
- 24時間稼働の必要性: 学習は終われば一旦止まりますが、推論はユーザーが使う限りチップを動かし続ける必要があります。
- 計算量の爆発: AIがより複雑な回答(推論)を出すようになり、1回の質問に対して消費される計算パワーが格段に増えています。
2. ビッグテックによる「軍拡競争」の激化
Google、Amazon、Microsoftなどの巨大IT企業にとって、AIインフラの構築は「勝たなければ生き残れない投資」となっています。
- 投資の加速: 2026年の設備投資額が計100兆円規模に達したのは、他社に処理速度や精度で負けると、クラウド市場や検索市場のシェアを一気に失うリスクがあるためです。
- 「予備」の確保: 供給不足を恐れ、現在の必要量以上にチップを確保しようとする動きも需要を押し上げています。
3. あらゆるデバイスへのAI搭載(エッジAI)
データセンターだけでなく、PCやスマホ、自動車、工場ロボットなど、身の回りのあらゆる機器に高性能なAIチップを載せる動きが本格化しました。
- 買い替え特需: AI専用チップを搭載した「AI PC」やスマホへの買い替えサイクルが始まり、チップの消費先がデータセンターの外へと一気に広がっています。
「AIが特別な技術から、電気や水道のような社会インフラに変わった」ことで、必要とされる計算資源が文字通り桁違いになったことで需要が大きく増加するとみられています。

AIが「学習」段階から、数億人が日常で使う「実用(推論)」段階へ移行したためです。さらに、PCや自動車、工場など全機器へのAI搭載(エッジAI)が進み、計算資源が社会インフラ化したことで需要が爆発しました。
今後の見通しはどうか
2026年2月のダウ5万ドル達成を受けた今後の見通しは、「短期的には強気継続、長期的には収益化の成否による選別」というステージに入ると予測されています。
1. 短期的展望:決算イベントが鍵
2月後半に予定されているエヌビディアの決算発表が最大の注目点です。
- 強気の見方: 2026年のEPS(1株当たり利益)が前年比で50%以上成長するとの予測もあり、期待通りの数字が出れば「5万ドル台」が定着する可能性が高いです。
- 需給の引き締まり: AIチップは依然として「完売」状態が続いており、供給が需要に追いつかない限り、価格と利益率が高止まりする好循環が続くと見られています。
2. 中期的懸念:「ROI(投資対効果)」の壁
2026年後半にかけて、市場の関心は「半導体を買えるか」から「買ったAIで利益を出せているか」に移ります。
- 選別色の強まり: 巨額投資を続けるビッグテック(Amazon、Google等)に対し、投資家が「具体的な収益貢献」を厳しく求めるようになります。ここで成果が見えない場合、AIバブル論が再燃し、一時的な調整が起こるリスクがあります。
- データ枯渇問題: 高品質な学習データの不足(2026年問題)がAIの進化スピードを鈍化させる懸念も指摘されています。
3. 日本市場への影響
米国株の勢いを受け、日本でも日経平均株価が5万6000円台を目指すとの強気な予測が出ています。
- 製造装置の需要: 米テック大手の投資増は、日本の強みである半導体製造装置(東京エレクトロン等)や検査装置(アドバンテスト等)に直接的な恩恵をもたらし続ける見通しです。

短期的にはAIチップの完売状態で強気が続きますが、今後は「AI投資が実際に利益を生むか」が厳しく問われる選別局面に入ります。2月後半のエヌビディア決算が、上昇トレンド維持の大きな試金石となるでしょう。

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