3分要約
なぜマーケティングが未来を実現するのか?
社会の課題が山積みになる中で,古い習慣や体制で身動きが取れなくなってしまっている。
その中で必要なことはビジョンや人材,技術ではなく,マーケティング。
マーケティングを利用することで変化を乗り越え息抜き力になる。
マーケティングとは何か?
マーケティングの本質は商品を売るための広告や調査ではなく、必要な価値を必要な人に届け,必要な変化を起こす仕組みづくりのこと。
マーケティングを誰でも利用できるようになっており,全ての人が学ぶ必要が出てきた。
本書ではSDGsの目標を達成するために,どのようにマーケティングを行うかでマーケティングについて学ぶことができる。
なぜSDGsなのか?
SDGsが世界の共通言語となり、社会正義とお金儲け,ビジネスが同じベクトルに向かい始めている。
マーケティング思考で企業や学生など多様な立場の人が同じ探求を行うことで大きな力になる。
どのようにマーケティングを活かすのか?
社会課題の解決へのマーケティングの活かし方は以下のようなものがある。
・具体的な戦略で課題の解決を図る
・社会課題の解決とビジネスを結びつけ持続可能な事業にする。
アイディアを生み出し,そのアイディアが事業として成り立つかを知るためにマーケティングの思考が非常に有用になる。
- 日本に足りないのはビジョンや人材、技術ではなくマーケティング
- 教育にマーケティングを活用すれば学校が社会問題を解決する場になる
- SDGsによって全ての人の目標が同じ方向を向くことになった
- 貧困の解消→逆転ポジショニング戦略
- 飢餓の撲滅→寄付や事業を持続可能な事業にする
- 健康と福祉→コネクテッド戦略
- 質の高い教育→ロングテール戦略
- ジェンダーの平等→センターピン戦略
- 安全な水とトイレ→パワーコンセプトで協力者を集める
- エネルギー問題→大義ではなく、痛みに訴えかける
- 働きがい→読書会の実施
- 産業と技術革新→データの蓄積と分析による新しい価値の創造
- 不平等の解消→ビジネスとして成り立つプラン
- 住み続けられるまちづくり→祭による交流
- つくる責任、使う責任→顧客の声やレビューに向き合う
- 気候変動→OKRによる目標設定
- 海の豊かさを守ろう→逆算思考
- 陸の豊かさも守ろう→リードマグネットの利用
- 平和と公正→クレームに向き合い、固定概念をとり外す
- パートナーシップ→高い目標を掲げ呼び寄せる
- マーケティング思考はそれぞれの才能を表現するために欠かせない
日本に足りないのはビジョンや人材、技術ではなくマーケティング
日本は少子高齢化が進み,変革が遅れ社会課題が山積みになっている。古い習慣や体制の中で身動きが取れなくなっているが日本に足りないのはビジョンでも人材でも技術でもなく,マーケティング。
マーケティングの本質は商品を売るための広告や調査法ではなく,必要な価値を必要な人に届け,必要な変化を起こすしくみづくりにある。
マーケティングを利用することで,変化を乗り越え生き抜く力となる。またSNSや技術の発展でマーケティングは民主化し,誰でも利用できるようになっているため,マーケティングを全ての人が学ぶ必要がある。
教育にマーケティングを活用すれば学校が社会問題を解決する場になる
マーケティングを教育に活かすことができれば,学校が社会やビジネス問題を解決する有効な場となる。
教育とビジネスを絡めることをモラル的に嫌う人も多いが,SDGsが世界の共通言語となることでお金儲けと社会正義が同じベクトルに向かい始めているため,教育とビジネスの向かう方向が同じになっていく。
マーケティング思考を身につけ,協力者を集め,小さく素早く結果を出し,実績を発信すればさらなる協力者が集まっていく。
SDGsによって全ての人の目標が同じ方向を向くことになった
SDGsは2030年までに実現すべき17の目標で実現は不可能とも思える内容だが,多くの人が真面目にS DGsの実現を考えている。
SDGsは全ての人に関わる目標となるため,目標に向かって学生と企業が同じ探求ができれば、大きな力となる。実際に小学生が社会問題を解決する方法を考えている学校存在する。
教育の変革することは子どもたちのためだけでなく,社会システムを作ることにもつながっていく。
貧困の解消→逆転ポジショニング戦略
SDGsの目標1は貧困の解消。
貧困の解消には逆転ポジショニング戦略が有効。逆転ボジショニング戦略は立場を逆転させることで価値を創出する方法。
ホームレス,障がい者などこれまで施される側の人を施す側に立たせることで価値を創出することができる。彼らから学ぶという姿勢になれば,立場が逆転し新しい価値を生み出すことができる。
飢餓の撲滅→寄付や事業を持続可能な事業にする
SDGsの目標2は飢餓を0にすること。
飢餓などを解消するための寄付や募金を募る場面は多いが,その多くは事業化できないため,持続できない。
持続可能な事業にするためには営業を4つの機能に分け,最適化することが必要。
1.マーケティングで見込み客を集め
2.内勤営業が訪問のアポを取り
3.外勤営業が契約を行い
4.カスタマーサービスで生涯価値をたかめるようにする
この仕組みは非営利事業においても重要な考え方。
健康と福祉→コネクテッド戦略
SDGsの目標3は全ての人に健康と福祉を。
コネクテッド戦略は顧客データへ頻繁にアクセスできる環境を作ることで,顧客にピッタリなサービスをピッタリなタイミングで提供できるようにする戦略。
AIやビックデータの活用によって健康状態を把握できれば,病気の早期発見や予防につなげることがでできる。
質の高い教育→ロングテール戦略
SDGsの目標4は質の高い教育をみんなに。
今後必要な教育は探求学習。学習者自らが課題を設定し,解決に向け情報収集,周囲との意見交換を行い,協働しながら進めていくもの。
実現のためには教育のシステムの改革が必要。生徒の興味は様々で教師はその興味に応じて,最適な学習法を紹介する役回りになる。幅広い興味に対応するためにはオンライン等を利用し一般的でない分野の学習も可能にしておく必要がある。
デジタル化進んだことで少数しか売れないものでも,ラインナップしておくことができるようになった。このようなロングテール戦略を教育界にも持ちこむことが必要になる。
ジェンダーの平等→センターピン戦略
SDGsの目標5はジェンダーの平等。
ジェンダー平等に有効となるのは,子供向け商品の開発。顧客対象が子供でなくても,子供向け商品の開発を行うことで,予想外に業績UPに繋がることも多い。
子供を取り込むことができれば,利用者はその家族へと広がっていく。このように1つのことにフォーカスすることで何倍もの効果を得る戦略をセンターピン戦略と呼ぶ。
子供を対象とすることは売上だけでなく,子育てを行う女性の理解を深めることにも繋がり,様々な問題解決につながるため,子供向け商品の開発が多くの問題を解決するセンターピンになることは多い。
安全な水とトイレ→パワーコンセプトで協力者を集める
SDGsの目標6は安全な水とトイレを世界中に。
無謀とも思える問題を解決するには協力者が必要。協力者を集めるには
・誰が
・何をして
・どうなった
というストーリーを構成する3要素が明確なコンセプトが必要。3つの要素を持つパワーコンセプトを持つ事業があれば小さい規模で,実証実験を行いうまくいけば大きくしていくと良い。
エネルギー問題→大義ではなく、痛みに訴えかける
SDGsの目標7はエネルギーをみんなに,そしてクリーンに。
クリーンなエネルギーを使おうなどの大義に訴えかけた試みはうまくいかないことが多い。人間はもを得る喜びよりも失う痛みを強く感じるため,その商品がないとどう困るのかを全面に押し出した方が良い。
太陽光を用いた蓄電池では,環境にやさしいことよりも停電時でも電気を使えることをアピールする方が良い。
働きがい→読書会の実施
SDGsの目標8は働きがいも,経済成長も。
時代の変わり目には本の果たす役割は大きい。働きがいを見出しながら,経済成長を牽引するスキルを身につけるなら読書会の主催が有効。
読書会は本に対する多角的な見方を知ることができる効果も多いが、開催する側に回れば,事業のトータルプロセスを経験できる。
効果的な集客,成約法,リピートに繋がる,運営法などカスタマージャーニーと呼ばれるトータルプロセスの経験は重要だが,会社組織で全てを行うのは難しい。読書会で小規模でもカスタマージャーニー全てを体験することはビジネスにも大きな影響を与える。
産業と技術革新→データの蓄積と分析による新しい価値の創造
SDGsの目標9は産業と技術革新の基盤をつくろう。
AIを活用することで大きな努力なしで,新しい価値を創出できる時代に突入しつつあり,重要になるのはAIを活用する準備ができているか。
あらゆるデータをダッシュボードで一元管理できれば,データの集積と分析によって新しい価値が生まれ,産業や技術革新につながっていく。
不平等の解消→ビジネスとして成り立つプラン
SDGsの目標10は人や国の不平等をなくそう。
社会課題を解決するためにビジネスプランを持ち寄り,発表するビジネスコンテストはあらゆるところで行われ多様な意見を知ることができる機会を増やしている。
しかし,コンテストで賞賛されるようなプランでも実際に売上が,経たない場合が多い。原因はコンテストでは理念が重視され,ビジネスとして成り立つかが無視されがちであるため。
ビジネスモデルキャンパスはビジネスモデルの構造を見える化するチャート。なんとなく浮かんだビジネスが成り立つか簡単に判断できる。
また,チャートすることで難しいと思っていたモデルの見方を変えたり,微修正することで成り立つものに変えることもできる。
住み続けられるまちづくり→祭による交流
SDGsの11は住み続けられるまちづくりを。
東日本大震災後に復興の早い地域に共通していたのは,祭りがさかんな場所。祭りによって人々が交流することで世代から世代へその土地の価値を受け継ぐことができるようになる。
つくる責任、使う責任→顧客の声やレビューに向き合う
SDGsの目標12はつくる責任,使う責任
責任(レスポンシビリティ)という言葉は反応(レスポンス)+能力(アビリティ)に由来する,顧客の声に耳を傾け,問いに真摯に答え,要望に添うことが結果的に社会に対する責任を果たすことにもなる。
顧客の声(VOC)やレビューを集め,それと向き合うことで顧客の信頼感を得ることで大きな差別化要因となる。
気候変動→OKRによる目標設定
SDGsの目標13は気候変動に具体的な対策を。
目標管理で有効と注目されているのが,OKRと呼ばれるもの。
・Objective(目標)
・Key Result(主要な結果)
目標を設定し,目標をどのように達成するかをKey Resultで設定するもの。目標は野心的なものを設定し,現実的な結果と組み合わせることで非常に強力なツールとなす。
重要のことが目標には数値を入れず,方向性を示すようにすること。数値を目標にしてしまうと数値を達成することが目的化して本質的にうまくいかないことも多い。
目指す数値をKRで柔軟に変えるようにすれば目標の達成に柔軟性が生まれ,うまく行きやすい。
気候変動の対策では,国連の目標は1.5°以下に気温上昇を抑えることではなく,世界で直面する問題を国家間で想像的に解決するモデルとすると,各国が得意分野で環境技術の開発が可能になり,結果的に環境対策につながっていく。
海の豊かさを守ろう→逆算思考
SDGsの目標14は海の豊かさを守ろう。
複雑に絡み合った問題の解決には,既存の思考の中で論理的に考える垂直思考ではなく既存の枠から外れた水平思考や,理想の未来からとるべき行動を逆算する逆算思考が有効。
既存の枠の中からでは複雑な問題の解決案を出すことは難しい。
陸の豊かさも守ろう→リードマグネットの利用
SDGsの目標15は陸の豊かさも守ろう
輸入材の台頭で日本の林業は厳しい状況が続いている。そんな状況で木こり講座として木こりになる方法を教えることで林業の魅力を伝えつつ,間伐を行っている会社がある。
見込み客(リード)を集めるための特典や商品のことをリードを引き寄せることから,リードマグネットと呼ぶ。木こり講座は林業に興味のある人を集めるためのマグネット(磁石)になっており,適切なマグネットを設定することは多くの業種で興味のある人を集めるために有効。
平和と公正→クレームに向き合い、固定概念をとり外す
SDGsの目標16は平和と公正を全ての人に。
どんなにうまくいっていても,必ずシャドー(影,欠点のこと)は存在する。クレームの形でシャドーを受け取った時に正面から向き合うことが重要。
クレームに向き合い、固定概念を取り外すことができれば,視野が広がりライバルの存在を忘れさせるほどのインパクトを持つコンセプト(インサイト)を見出すことができる。
パートナーシップ→高い目標を掲げ呼び寄せる
SDGsの目標17はパートナーシップで目標を達成しよう。
創造的な仕事は1人よりも2人の方が効果的。高い目標を掲げることで良いパートナーを呼び寄せることができ,目標を実現しやすくなる。
マーケティング思考はそれぞれの才能を表現するために欠かせない
マーケティング思考は一人ひとりが大きな未来に向かい、才能を表現するためになくてはならないもの。
マーケティング思考はあなたのパートナーを見つけことにも重要な役割を果たしている。
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