化学 2.物質の分類と分離

1.化学とは何か

この本や記事で分かること

・物質はどのように分類されるのか

・混合物を純物質に分けるにはどうすればよいのか

物質はどのように分類できるのか

 どんな物質も原子からできていますが、その組み合わせは無数に存在しています。また、複数の物質が組み合わさってできている物質もあります。物質はその組み合わせによって以下のように分類できます。

 水や鉄、酸素のように単一の物質からなる物質を純物質と呼びます。

 純物質は鉄(Fe)や酸素(O2)のように一種類の元素からなる単体と水(H2O)のように2種類以上の元素からできている化合物に分けられます。

 酸化した鉄や食塩水のように、純物質が混じり合ったものは、混合物と呼ばれます。

私たちの周囲にはどんな物質が多いのか

 空気は窒素、酸素、アルゴンなどの、海水は塩化ナトリウムなどの塩類と水との混合物です。このように日常にみられる多くの物は混合物です。

 混合物の状態では、純物質の比率による性能の変化が起きたり、化学反応が起きても、どの純物質が反応しているか分かりにくくなってしまいます。

 そのため、化学の研究では混合物から、純物質を取り出す作業が良く行われます。混合物を分離する際には、それぞれの純物質の性能の違い利用して分離を行います。

ろ過とは何か

 ろ過は液体と液体に溶けていない成分を分離する方法です。日常的にも生ごみを穴の開いたネットで水と分けたり、茶こしでお茶とお茶の葉を分けるなど身近な方法です。

 分離は紙や布から作られるろ材で行われ、ろ材に空いた穴よりも大きい物質はろ材の上に残り、小さい物質がろ材を通過することで分離が可能となります。

 ろ材にフィルターを利用し、液中の不純物やチリやほこりなどの異物除去を行うことは多くの工業分野でも行われています。

抽出とは何か

 分離したい混合物の片方が水にとけやすく、もう片方が溶けない場合は、混合物を水に溶かし、ろ過を行うことで、分離が可能です。

 このような分離方法は抽出と呼ばれ、水のように他の物質を溶かす液体を溶媒と呼びます。抽出は特定の溶媒を加え、溶媒への溶けやすさの違いを利用して分離する方法です。

 コーヒー豆やお茶の葉にお湯を注ぎ、水に溶けだす成分が溶け出てくることで、コーヒーやお茶を飲むことができます。これも抽出によるものです。

 水と有機溶媒のように混合しにくい2種類の溶媒を用いることで、水に溶けやすいものと有機溶媒に溶けやすいものを分離すること作業は化学実験でも良く行われています。

再結晶とはどんな方法か

 混合物がどちらも溶媒に溶けてしまうような場合に利用されるのが、再結晶や晶析です。

 物質がどれくらい溶媒に溶けることができるかの指標は溶解度と呼ばれます。物質によって溶解度は異なり、一般的に温度が高いほど溶解度は高くなる傾向にあります。

 混合物の溶解度に差がある場合、温度を高くして、混合物を溶かし、少しづつ冷やすと溶解度の小さい=溶けにくい物質が先に結晶となって析出するため、分離が可能となります。

蒸留とは何か

 液体同士を分ける際には、蒸留も多く利用されています。蒸留は混合物中の物質の蒸気圧、沸点が異なる際に利用できます。

 混合物を加熱していくと気体となりますが、気化した気体はもとの液体に比べ、蒸気圧の低い物質の割合が多くなります。気体を再度冷却し、液体に戻すことで分離が可能となります。何度も蒸留を繰り返すことでさらに純度を高めることも可能です。

 3種類以上の純物質からなる混合物を蒸留によって分離することを分留(分別分留)と呼びます。

 蒸留酒などのお酒の製造や石油の生成など様々な場面で蒸留が利用されています。

 蒸留につていはこちらに詳しい内容があります。

吸着を利用した分離とはどんな方法か

 液体や気体に分離したい成分が溶けこんでいる場合、目的の成分が吸着しやすい他の固体や液体に付着させることで、分離することができます。

 空気中の水蒸気がシリカゲルと触れると、より吸着しやすいシリカゲルと吸着するためシリカゲルは除湿剤として利用されています。

 また、冷蔵庫などで、炭や活性炭が匂いをとってくれる作用も吸着の一種といえます。

 イオン交換交換樹脂は特定のイオンを吸着させ、別のイオンを放出することで、分離を行う方法となります。

混合物の分離で重要なことは何か

 ほかにも気体中の粒子をフィルターに通し、期待を通過させ、粒子をフィルターに吸着させる集塵や大きさの異なる物質を目の細かさの違うふるいなどを利用することで、分離する分級などがあります。

 集塵は空気清浄機で分級は粒子のサイズわけなどで利用されています。

 混合物をどのように分離すべきかは、分離したい物質が固体なのか、液体なのか気体なのかやそれぞれの純物質の性質の違い(溶解度、沸点、大きさなど)を理解することが重要です。

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