東洋紡による東洋紡STCの吸収合併 東洋紡STCはどんな企業か?吸収合併する理由は?

この記事で分かること

  • 東洋紡STCとは:東洋紡グループの開発型商社です。高機能素材メーカーである東洋紡の技術を活かし、工業用フィルムや機能樹脂などの高機能マテリアルを企画・販売しています。
  • 吸収合併する理由:東洋紡本体商材の取扱比率が高まったため、経営資源を一本化し、グループ全体の効率化と収益力の向上を目指します。

東洋紡による東洋紡STCの吸収合併

 東洋紡は商事子会社である株式会社東洋紡STC2026年4月1日付で吸収合併することを決定しています。東洋紡本体への吸収合併により、経営資源を一本化し、さらなる効率化を図る狙いがあります。

親会社との合併について – 東洋紡STC
東洋紡STCはスペシャルな素材を世界へ送り出します。

東洋紡STCはどんな企業か

 東洋紡STC株式会社は、東洋紡グループにおける開発型商社です。

 元々は繊維専門の商社として設立されましたが、グループ内の事業再編を経て、現在はフィルム機能樹脂などの高機能マテリアルを中心に企画・販売を行う会社となっています。


東洋紡STCの主な事業内容

 東洋紡STCは、「開発型商社」として、メーカーである東洋紡が持つ高い素材開発機能と、商社の持つ市場情報・ネットワークを融合させ、顧客のニーズに合わせたソリューションを提供しています。

1. フィルム事業(継続)

 東洋紡本体のフィルム本部と連携し、主に以下の製品やソリューションを提供しています。

  • 工業用フィルム: 液晶ディスプレイ用、ラベル用、セラミックコンデンサ用など、多岐にわたる高機能フィルムを扱います。
  • 包装用フィルム: 食品包装を中心に、リサイクルやバイオマスなどの環境対応型の高機能フィルムを扱います。
  • 加工・ソリューション: フィルム販売だけでなく、蒸着、コーティング、スリット、印刷などの二次加工や、関連商材の調達を含むワンストップサービスを提供しています。
2. 機能樹脂事業(2026年1月に事業承継予定)

 バイオマスプラスチックやリサイクルプラスチックなどの環境対応型素材を含む機能性樹脂の販売を行っていますが、この事業は2026年1月1日付で東洋紡グループの東洋紡エムシーへ承継される予定です。


グループ再編と今後の予定

 東洋紡STCは、東洋紡グループの経営効率化の一環として、段階的に事業を整理しています。

  • 2022年:衣料繊維部門を東洋紡せんいへ分離・承継。
  • 2025年4月:工業材料事業や機能資材事業を東洋紡せんいへ承継。
  • 2026年1月:機能樹脂事業を東洋紡エムシーへ承継予定。
  • 2026年4月:東洋紡本体へ吸収合併され、法人としては消滅する予定です。

 このように、東洋紡STCは最終的に東洋紡本体へ統合されるため、現在は東洋紡の商事機能を担う子会社として、主要なフィルム事業などに注力している状況です。

東洋紡グループの開発型商社です。高機能素材メーカーである東洋紡の技術を活かし、工業用フィルム機能樹脂などの高機能マテリアルを企画・販売しています。2026年4月には東洋紡本体に吸収合併される予定です。

吸収合併する理由は何か

 東洋紡が東洋紡STCを吸収合併する主な理由は、経営の効率化経営資源の集約です。

具体的には、以下の背景があります。

  • 商材の取扱比率の変化:
    • 東洋紡STCは元々グループ内商社として様々な事業を行ってきましたが、近年の事業再編を進めた結果、東洋紡本体の商材の取扱比率が高くなりました。
  • 事業の整理:
    • 合併に至るまでに、東洋紡STCが持っていた繊維事業は「東洋紡せんい」へ、機能樹脂事業は「東洋紡エムシー」へ、といった形で主要事業が順次移管・整理されています。
  • 経営の効率化:
    • 東洋紡本体への吸収合併により、重複する管理部門や機能などを統合し、経営資源を一本化することで、グループ全体の収益力向上資産効率の向上を図る狙いがあります。

 東洋紡STCの役割が東洋紡本体の商材を取り扱う機能に集約されたため、本体に統合することで、無駄をなくし、より効率的な経営体制を構築することが目的です。

 この合併により、東洋紡STCが担っていたフィルム事業などの商事機能は、東洋紡本体の体制に組み込まれることになります。

主要事業をグループ他社へ承継・整理した結果、東洋紡本体商材の取扱比率が高まったためです。経営資源を一本化し、グループ全体の効率化と収益力の向上を目指します。

液晶ディスプレイ用フィルムとは何か

 液晶ディスプレイ(LCD)用フィルムとは、ディスプレイの高画質化視認性の向上、および保護といった様々な機能を持たせるために、パネルの内部や表面に使われる高機能な光学フィルム保護フィルムの総称です。


液晶ディスプレイ用フィルムの主な種類と役割

 LCDは、複数の層が重なって構成されており、それぞれに特殊なフィルムが使用されています。

1. 内部に使用される主要な光学フィルム

 これらは、液晶層を挟む形で配置され、映像の表示に不可欠な役割を果たします。

  • 偏光フィルム(偏光板):
    • 特定の振動方向の光だけを通し、光を制御して映像を表示する基本原理となるフィルムです。LCDは2枚の偏光フィルムで液晶層を挟んでいます。
  • 偏光板保護フィルム:
    • 偏光板の主成分であるPVA(ポリビニルアルコール)を支持・保護するためのフィルムです。一般的にTAC(トリアセチルセルロース)やCOP(シクロオレフィンポリマー)などの高透明な素材が使われます。
  • 位相差フィルム(視野角拡大フィルム):
    • 特に大型テレビなどで、斜めから見ても色調やコントラストが劣化しないように、光の位相を制御し、視野角を広げる役割を果たします。
2. 表面に使用される機能性フィルム

 これは、ディスプレイの最も外側(または内側)に貼られ、視認性や耐久性を高めます。

  • 反射防止(AR)フィルム / 防眩(AG:アンチグレア)フィルム:
    • 外光の映り込み反射を軽減し、明るい場所でも画面を見やすくします。
    • ARフィルムは光の干渉を利用して反射を抑え、AGフィルムは表面の微細な凹凸で光を乱反射させます。
  • ハードコートフィルム / 保護フィルム:
    • ディスプレイ表面を傷や汚れから保護します。高硬度のものが多く、タッチパネル用途でも使用されます。
  • その他の機能性フィルム:
    • ブルーライトカット機能や、特定の角度からの視線を遮るのぞき見防止機能などを付加したものもあります。

 これらのフィルムは、それぞれが持つ光学特性や機械的特性によって、液晶ディスプレイの表示品質耐久性を支える重要な部材となっています。

液晶ディスプレイ(LCD)の高画質化視認性向上のために使われる高機能なフィルム群です。偏光光の反射防止などの役割を持ち、LCDの映像表示と耐久性を支える重要な光学部品です。

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