この記事で分かること
- インターセクト・パワーとは:米国を拠点とする、クリーンエネルギーとデータセンター・インフラの開発企業です。発電所設備ととデータセンターを同じ場所に設置する「共設」に強みを持っています。
- 扱っているクリーンエネルギー:主に太陽光発電と風力発電を主軸としています。これにテスラ製などの大規模な蓄電池(バッテリー)を組み合わせることで、天候に左右されない安定供給を実現しています。
- 買収を行う理由:AI競争の激化に伴う爆発的な電力需要に対応するためです。自社で発電・インフラ企業を保有することで、送電網の混雑を避け、クリーンな電力供給とデータセンター開設を迅速かつ一体的に進める狙いがあります。
Alphabetによるインターセクト・パワーの買収
Googleの親会社であるAlphabet(アルファベット)は、2025年12月22日にクリーンエネルギーおよびデータセンター・インフラの開発企業であるIntersect Power(インターセクト・パワー)を買収することで合意したと発表しました。
Googleはすでに2024年にIntersectに対してマイノリティ出資を行っており、今回の買収はそのパートナーシップを一歩進め、完全に内製化する形となります。
インターセクトパワーはどんな企業か
Intersect Power(インターセクト・パワー)は、米国を拠点とするクリーンエネルギーおよびデータセンター・インフラの開発・運営企業です。
単なる「発電会社」ではなく、AI時代に不可欠な「電力」と「データセンター」をセットで構築するという、非常に先進的なビジネスモデルを持っています。
1. 独自のビジネスモデル:「コロケーション」の推進
同社の最大の特徴は、データセンターと発電所(太陽光・風力など)を同じ場所に設置する「コロケーション(共設)」に特化している点です。
- メリット: 通常、発電所からデータセンターへ電力を送るには大規模な送電網(グリッド)が必要ですが、隣接させることで送電ロスを減らし、インフラ建設のスピードを劇的に早めることができます。
- AI特化: 膨大な電力を消費するAIデータセンターにとって、このモデルは最も効率的な解決策の一つとされています。
2. 圧倒的な資産規模と実績
- 設立: 2016年(カリフォルニア州サンフランシスコ)
- 経営陣: 元Recurrent Energyの幹部らによって設立され、CEOのシェルドン・キンバー氏は再生可能エネルギー業界のベテランです。
- プロジェクト規模: すでに数ギガワット(GW)規模の太陽光発電や蓄電池システム(BESS)をテキサスやカリフォルニアで稼働・建設しています。
- テキサス州の「Lumina」プロジェクトや、カリフォルニア州の「Oberon」プロジェクトなどが有名です。
- 先端技術の活用: テスラの蓄電池(Megapack)やAIによるエネルギー取引プラットフォーム(Autobidder)を活用し、効率的な電力供給を行っています。
3. Googleとの深い関係
Alphabetに買収される前から、両社は強力なパートナーシップを築いてきました。
- 2024年12月にGoogleが同社に8億ドル規模の出資を行い、テキサス州でデータセンターとクリーンエネルギーを一体開発する共同プロジェクトを開始していました。
- 今回の買収により、Googleはこの「AI時代のインフラ構築能力」を自社内に完全に取り込むことになります。
インターセクト・パワーは、「AIのためのクリーンな電力を、誰よりも早く、効率的に供給する仕組みを作るプロ集団」と言えます。
Googleが多額の資金を投じて彼らを手に入れたのは、今後のAI競争の勝敗が「計算能力(GPU)」だけでなく、それを動かす「電力と土地の確保」にかかっていると考えているためです。

米国を拠点とする、クリーンエネルギーとデータセンター・インフラの開発企業です。太陽光や風力発電所とデータセンターを同じ場所に設置する「共設」に強みがあり、AI普及に伴う爆発的な電力需要を効率的に支える次世代のインフラを構築しています。
どんなクリーンエネルギーを扱っているのか
Intersect Powerが主に扱っているエネルギー源と関連技術は、以下の4つが中心です。
特に、これらを単独で運用するのではなく、複数を組み合わせる(ハイブリッド化)ことで、24時間安定した電力を供給できる体制を構築しているのが特徴です。
1. 太陽光発電(Solar PV)
同社の事業の核となるエネルギー源です。
- 規模: すでに2.2GW(ギガワット)以上を稼働・建設しており、さらに大規模な拡張を計画しています。
- 特徴: 米国製の太陽光パネル(First Solar製など)を積極的に採用し、国内サプライチェーンを重視しています。
2. 蓄電池システム(BESS / Battery Storage)
太陽光や風力の欠点である「発電のムラ」を補うための巨大なバッテリーです。
- 規模: 2.4GWh(ギガワット時)以上の蓄電容量を保有しています。
- 技術: テスラ(Tesla)の産業用蓄電池「Megapack」などを活用し、夜間や無風時でもデータセンターに安定して電力を供給します。
3. 風力発電(Wind)
太陽光を補完する主要なクリーンエネルギーとして扱っています。
- ハイブリッド運用: テキサス州の「Project Meitner」などでは、太陽光と風力を同じサイトで組み合わせることで、昼夜を問わず高い稼働率(高設備利用率)を実現しています。
4. グリーン水素・e-Fuels(次世代燃料)
将来的な脱炭素化に向けた新しい領域です。
- 仕組み: 再生可能エネルギーで作った電気で水を電気分解し、二酸化炭素を排出しない「グリーン水素」を製造します。
- 用途: 重工業や輸送部門の脱炭素化に貢献する「e-Fuels(合成燃料)」への応用も視野に入れています。
天然ガスの活用(ハイブリッド)
最近のAlphabet(Google)による買収に関連する発表では、再生可能エネルギーだけでなく、「専用の天然ガス発電(Dedicated Gas)」を組み合わせるアプローチも言及されています。これは、AIデータセンターが求める「100%の稼働率」を保証するため、クリーンエネルギーを主軸としつつ、バックアップとしてガス発電を併設する現実的な戦略です。

主に太陽光発電と風力発電を主軸としています。これにテスラ製などの大規模な蓄電池(バッテリー)を組み合わせることで、天候に左右されない安定供給を実現しています。さらに、次世代燃料として注目のグリーン水素製造も手掛けています。
アルファベットが買収する理由は
Alphabet(Google)がIntersect Powerを買収した主な理由は、「AI競争に勝つためのエネルギー自給自足」にあります。
2025年12月22日に発表されたこの約47.5億ドルの巨額買収には、以下の3つの戦略的な狙いがあります。
1. 電力不足という「AI最大の壁」の突破
生成AIの進化には、従来の検索エンジンの数倍〜数十倍の電力が必要です。現在、米国では送電網(グリッド)の容量不足により、新しいデータセンターを建設しても稼働まで数年待たされる事態が起きています。
- 理由: Intersectを買収し、自社で発電所とデータセンターを一体開発することで、電力会社(グリッド)に頼り切らず、迅速にインフラを立ち上げるためです。
2. 「エネルギー・フルスタック」企業への転換
Googleはこれまで、外部の電力会社からクリーンエネルギーを買う「顧客」でした。しかし、今回の買収で「自らエネルギーを作り、管理する側」に回りました。
- 理由: AIモデルの開発から、チップ(TPU)、クラウド、そしてエネルギーまで、AIに関わる全工程を垂直統合することで、コスト削減と安定供給を同時に実現するためです。
3. カーボンフリー目標の達成
Googleは「2030年までに24時間365日カーボンフリーエネルギーで稼働する」という野心的な目標を掲げています。
- 理由: Intersectが持つ、太陽光・風力・蓄電池を組み合わせた高度な管理技術を取り込むことで、AIによる電力消費増と環境目標の両立を加速させるためです。
Alphabetが手に入れたもの
| 獲得資産 | AI戦略への貢献 |
| 数GW規模のプロジェクト | 将来的な電力不足の解消 |
| コロケーション技術 | データセンター建設のスピードアップ |
| 専門家チーム | 次世代のエネルギーソリューション開発 |
この買収は、単なるインフラ確保にとどまらず、Googleが「AI企業であると同時にエネルギー企業にもなる」という大きな転換点とされています。

AI競争の激化に伴う爆発的な電力需要に対応するためです。自社で発電・インフラ企業を保有することで、送電網の混雑を避け、クリーンな電力供給とデータセンター開設を迅速かつ一体的に進める狙いがあります。

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