この記事で分かること
- Verilyとは:アルファベット傘下の生命科学企業です。AIやデータサイエンスを活用し、膨大な健康・医療データを分析することで、病気の予防、早期発見、治療法開発を目指しています。
- Verilyの強み:アルファベットが持つ膨大なデータと高度なAI技術をヘルスケアに応用できる点です。これにより、病気の予測や個別化治療のための分析が可能になります。
- 取り組んでいる内容:糖尿病や心血管疾患、精神疾患、パーキンソン病といった慢性疾患の早期発見や個別化治療を目指しています。
アルファベットのムーンショット事業:Verily
Googleの親会社であるアルファベット(Alphabet)が、2025年9月15日(月)の米国株式市場で、史上初めて時価総額3兆ドルを突破しました。これにより、アルファベットはApple、Microsoft、Nvidiaに次いで、この偉業を達成した4番目の企業となりました。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/TG3W4HPF5BKQHNGJNHJAYEHG2M-2025-09-15/
また、同社は広告事業での圧倒的な収益を背景に将来の成長を見据えた野心的なプロジェクトを担うムーンショットと呼ばれる先端技術への投資も積極的に行っています。
Verilyは生命科学と医療技術の研究開発を行う事業であり、病気の予防、早期発見、治療法開発を目指しています。
Verilyとは何か
Verily(ベリリー)は、Googleの親会社であるアルファベット傘下のライフサイエンス部門です。人間の健康と病気に関するデータを収集・整理し、AIやデータサイエンスの力で分析することで、医療の発展に貢献することを目指しています。
もともとはGoogleの「Google X」(現在の「X」)部門で始まったプロジェクトでしたが、2015年のアルファベット設立に伴い、独立した子会社となりました。
Verilyの主な事業内容
Verilyの事業は多岐にわたりますが、特に以下の分野に注力しています。
- データプラットフォームとAI活用:
- Baseline Platform: 臨床研究への参加者を募り、健康データを大規模に収集・管理するプラットフォームです。このデータには、遺伝子情報、分子レベルのデータ、ウェアラブルデバイスからの情報などが含まれます。
- AIによるデータ解析: 収集した膨大なデータをAIで分析し、病気の早期発見、個別の治療法開発、予防医療の推進に役立てています。例えば、糖尿病網膜症の診断をAIで行うプロジェクトや、精神疾患に関する研究を大塚製薬と共同で行うなど、さまざまな分野でAIを応用しています。
- 臨床研究と医療機器開発:
- 臨床研究の効率化: 医療機関や製薬会社と連携し、臨床試験のプロセスを効率化するためのシステムを提供しています。
- ウェアラブルデバイス: かつては臨床研究用のスマートウォッチ「Verily Study Watch」などを開発していましたが、最近ではAIやデータインフラに注力するため、医療機器プログラムの大部分を終了しました。
- パートナーシップ:
- 製薬会社、医療機関、大学、政府機関など、多くの組織と戦略的なパートナーシップを組み、共同で研究開発やソリューション提供を行っています。
Verilyは、単なる医療機器メーカーではなく、テクノロジー企業としてデータとAIを駆使し、医療業界に革新をもたらそうとしています。人々がより健康的な生活を送れるように、予防から診断、治療まで、ヘルスケアのあらゆる段階で新しいソリューションの提供を目指しているのです。

Verilyは、アルファベット傘下の生命科学企業です。AIやデータサイエンスを活用し、膨大な健康・医療データを分析することで、病気の予防、早期発見、治療法開発を目指しています。製薬会社などと連携し、医療のデジタル化と効率化を推進する事業を展開しています。
Verilyの強みは何か
Verilyは、他のヘルステック企業と比較して、主に以下の3つの強みを持っています。
1. 膨大なデータとAI活用能力
アルファベットのグループ企業であるVerilyは、Googleが長年培ってきたデータ収集・分析能力とAI技術をヘルスケア分野に応用できることが最大の強みです。
- 大規模なデータプラットフォーム: 臨床研究の効率化を図るプラットフォーム「Baseline Platform」を通じて、遺伝子、分子、生理学的情報など、多岐にわたる健康データを大規模に収集しています。この膨大なデータは、AIによる精密な分析の基盤となります。
- AIによる洞察: 収集したデータをAIで解析することで、病気の早期発見、個別化された治療法の開発、そして予防医療につながる新たな知見を生み出すことを目指しています。
2. 資金力と多様なパートナーシップ
Verilyは、潤沢な資金を持つアルファベットの傘下にあり、長期的な視点での研究開発が可能です。また、この資金力と技術力を背景に、大手製薬会社(大塚製薬など)、医療機関、大学などと幅広いパートナーシップを構築しています。これにより、単独では難しい大規模な臨床研究や、複雑な医療課題への挑戦が可能になっています。
3. 複数の技術分野の統合
Verilyは、ソフトウェア、ハードウェア、データサイエンス、AI、生命科学といった複数の分野を統合するアプローチを取っています。
以前は医療機器(スマートウォッチなど)の開発も行っていましたが、最近ではAIやデータインフラに焦点を絞るなど、市場のニーズや技術の進歩に合わせて事業を再構築しています。この柔軟な対応も、今後の成長に向けた強みとなります。

Verilyの最大の強みは、アルファベットが持つ膨大なデータと高度なAI技術をヘルスケアに応用できる点です。これにより、病気の予測や個別化治療のための分析が可能になります。また、潤沢な資金力と、大手製薬会社との強力なパートナーシップも強みです。
どのような病気の早期発見、個別の治療法開発を目指しているのか
Verilyは、主に生活習慣病や神経変性疾患、精神疾患など、慢性疾患の早期発見や個別化治療を目指しています。これらの疾患は、進行するまで自覚症状がないことが多く、早期介入が非常に重要となるためです。
ターゲットとする主な疾患
Verilyが特に注力している疾患は以下の通りです。
- 糖尿病と眼疾患: 糖尿病網膜症は、糖尿病患者に多く見られる合併症であり、失明の原因となります。Verilyは、AIを活用して眼底画像を解析することで、糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫の兆候を早期に発見するプロジェクトを進行しています。これにより、眼科医が診断を行う際の補助ツールとして活用されることを目指しています。
- 心血管疾患: 心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患も、進行するまで自覚症状がないことが多いため、早期発見が重要です。Verilyは、網膜の眼底画像から心血管リスクを予測するディープラーニングモデルを開発しました。これは、網膜の血管の状態から、高血圧などのリスク要因を推測するものです。
- 神経変性疾患: パーキンソン病のような神経変性疾患は、運動症状や身体活動のデータを継続的に測定することで、症状の進行度を把握しやすくなります。Verilyは、武田薬品と共同で、ウェアラブルデバイス「Study Watch」を用いて日本人パーキンソン病患者の運動データを解析する研究を行いました。これにより、疾患管理に役立つツールの開発を目指しています。
- 精神疾患: 大うつ病性障害(MDD)など、精神疾患の臨床研究を大塚製薬と共同で行っています。Verilyの持つデータプラットフォームを活用し、臨床試験の効率化や、精神疾患の理解を深めるための研究に取り組んでいます。
個別化医療への貢献
Verilyはこれらの疾患において、遺伝子情報やウェアラブルデバイスから得られる生活データ、医療情報などを統合的に解析することで、一人ひとりに最適な治療法や予防策を見つけ出す「個別化医療」の実現を目指しています。例えば、患者の遺伝子情報やライフスタイルに合わせた、より効果的な治療薬の選定や、最適な用量設定をAIがサポートする未来を描いています。

Verilyは、糖尿病や心血管疾患、精神疾患、パーキンソン病といった慢性疾患の早期発見や個別化治療を目指しています。AIを活用し、遺伝子情報やウェアラブルデバイスからのデータを分析することで、一人ひとりに最適な予防・治療法を開発しようとしています。
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