リサイクル原料由来のアルミ板製品 精製残渣とは何か?ダイカストとは何か?

この記事で分かること

  • 精製残渣とは:アルミスクラップを溶解・精製する過程で、酸化物・スラグ(浮きカス)・汚れた金属・微量元素などが分離されたものです。
  • ダイカストとは:金型に溶かした金属(主にアルミ合金など)を高圧で一気に流し込んで、精密な形の部品を作る方法もしくはその製品のことです。
  • 今回に新製品の特長:これまで高純度が求められる分野では、精製残渣やリサイクル原料をもちいたアルミ製品は利用されてきませんでした。今回はアルミ板という純度の要求の強い分野での利用である点が新しい部分です。

サイクル原料由来のアルミ板製品

 堺アルミがリサイクル原料由来のアルミ板製品「LoopAL(ルーパル)」の販売を開始したと発表しました。 

堺アルミ、低CO2「純アルミ板」発売。高純度アルミの残渣活用(鉄鋼新聞) - Yahoo!ニュース
 アルテミラ(社長・中塚晃章氏)は15日、アルミ箔事業などを手掛ける堺アルミ(社長・細井隆広氏)がリサイクル原料由来のアルミ板製品「LoopAL(ルーパル)」の販売を開始したと発表した。高純度アルミ

 高純度アルミ箔の製造工程で発生したアルミ純度の高い残渣と各種スクラップを用いることで、環境負荷低減が可能になるとしています。

精製残渣とは何か

 アルミスクラップを溶解・精製する過程で、酸化物・スラグ(浮きカス)・汚れた金属・微量元素などが分離されます。これが「精製残渣(せいせいざんさ)」です。

 通常、これらの残渣は除去して、より純度の高いアルミニウムを得るために使われます。残渣を取り除いた「精製後の純アルミ」を板製品にしています。

 板アルミの板製品は軽い、柔らかく加工しやすい、耐食性が高いなどの理由から幅広い分野で利用されていますが、製造時の二酸化炭素の排出量が多いことが問題となっており、今回の技術で環境負荷低減が可能になるとしています。

精製残渣とはアルミスクラップを溶解・精製する過程で、酸化物・スラグ(浮きカス)・汚れた金属・微量元素などが分離されたものです。

生成残渣からアルミ製品を作る方法

 「精製残渣から直接、高品質なアルミ製品を作ることは基本的に難しい」です。ただし、工夫すれば、特定用途向けのアルミ材料として再利用できることがあります。


1. 精製残渣とは何か

精製残渣(スラグなど)には

  • 酸化アルミニウム(Al₂O₃)
  • 各種不純物(金属、ケイ素、鉄、カルシウム、ナトリウムなど)
  • 若干の未酸化アルミ(金属アルミ)
    が混じっています。

 残渣中の「金属アルミニウム」だけを取り出せれば、再利用できます。しかし、残渣は非常に不均一で、酸化物の割合も高く、そのままでは製品に使えません


2. 残渣からアルミを取り出す代表的な方法

(1) 再溶解(リサイクル)

  • スラグを再度高温で溶かす。
  • 軽い酸化物は浮かび、重い金属分が下に沈む。
  • 金属分を取り出してインゴット(地金)に再鋳造する。

→ この地金は、二次合金(リサイクル合金)として、例えば自動車部品(エンジンブロックなど)に使われます。(純度が高くないので、食品用や電子部品用にはあまり使えない。)


(2) 機械選別

  • 砕いて比重差・磁性差などで分ける方法。
  • 機械で比較的簡単な金属回収ができるが、効率はそれほど高くない。

(3) 化学処理

  • アルミニウムを選択的に溶解する薬品を使う方法。
  • 高コストなので、一般産業ではあまり使われない。

3. 残渣から作れるアルミ製品の例

回収した二次アルミ以下のような製品に利用できます。

製品例特徴
ダイカスト製品(自動車部品、家電部品など)少し不純物があっても問題ない。
建材用アルミ(ドア枠、フェンスなど)強度重視、純度はそこまで要求されない。
低価格なアルミ鋳物デザイン優先の家具パーツ、オブジェなど。

純アルミ板を残渣から作ることは、従来は難しいことでした。

精製残渣から直接アルミ製品を作るのは難しいですが、金属分を回収→再溶解→リサイクル地金化すれば、二次合金となります。純度がそれほど求められない分野では使用されてきました。

ダイカストとはなにか

 ダイカスト(Die Casting)とは、金型に溶かした金属(主にアルミ合金など)を高圧で一気に流し込んで、精密な形の部品を作る方法です。また、そのできた製品のことも「ダイカスト」と呼びます。

特徴

  • 精密な形状ができる
    → 細かいデザインや寸法精度が必要な部品が作れる。
  • 表面がきれい
    → 仕上げ加工(研磨など)が少なくて済む。
  • 大量生産に向いている
    → 同じ型で何万個もすぐ作れるので、コストが安い。
  • 材料は主にアルミ、亜鉛、マグネシウム合金
    → 軽くて強い部品が作れる。

ダイカストの流れ

  1. 金属を溶かす(アルミなら660℃以上)。
  2. 高圧ポンプで溶けた金属を金型に押し込む。
  3. 金型の中で金属が急冷(すぐに固まる)。
  4. 固まったら金型を開いて、製品を取り出す。

【ダイカスト製品の例】

  • 自動車部品(エンジンのカバー、ミッションケース)
  • 家電(冷蔵庫の取っ手、エアコンの骨組み)
  • 電子機器部品(スマホフレーム、PC部品)
  • 建材(ドアノブ、窓枠)

【なぜダイカストにリサイクルアルミが使われるのか】

  ダイカストは「多少不純物があっても問題ない」からです。リサイクルアルミは純度が少し低くなりやすいですが、強度と成形性が優先されるダイカストには問題なく使用できるためです。

ダイカスト(Die Casting)とは、金型に溶かした金属(主にアルミ合金など)を高圧で一気に流し込んで、精密な形の部品を作る方法もしくはその製品のことです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました