AMDによるNutanixに対する出資 Nutanixはどんな企業なのか?なぜAMDが出資するのか? 

この記事で分かること

  • Nutanixとは:サーバーやストレージを統合管理するHCI(ハイパーコンバージド・インフラ)の先駆者です。複雑な企業インフラをソフトウェアで簡素化し、クラウドと自社拠点を一括運用できる環境を提供しています。
  • HCIとは:サーバー、ストレージ、ネットワークを1つの筐体に集約し、ソフトウェアで制御する仕組みです。複雑な専用機器が不要で、サーバーを追加するだけで容易に性能を拡張できる「シンプルさ」が最大の利点です。
  • なぜAMDが出資するのか:NVIDIAの独占を崩すため、自社チップを企業のデータセンターへ普及させる「土台」としてNutanixを選びました。同社の管理ソフトと連携し、AIインフラの導入を簡素化することで、企業市場でのシェア拡大を狙っています。

AMDによるNutanixに対する出資

 AMDがニュータニックス(Nutanix)に対して1.5億ドル(約230億円)規模の出資を行うことが報じられています。

 https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-02-25/TB1A6BKJH6V500

 この提携は、単なる資金援助ではなく、AIインフラ分野での覇権を狙う戦略的な動きとみられています。

Nutanixはどんな企業か

 ニュータニックス(Nutanix)は、企業データセンターの複雑なインフラをシンプルにするためのソフトウェアを提供している、クラウドインフラストラクチャのグローバルリーダーです。「GoogleやAmazonのような大規模な仕組みを、一般企業が自社のデータセンターで簡単に実現できるようにする」技術を持っている会社です。

1. HCI(ハイパーコンバージド・インフラ)のパイオニア

 従来、企業のITシステムは「サーバー」「ストレージ(データ保存)」「ネットワーク」を別々に購入し、複雑に配線して管理する必要がありました。

 Nutanixは、これらをソフトウェアの力で1つの箱(ノード)に統合する「HCI」という概念を世界で初めて広めました。これにより、レゴブロックを積み上げるように簡単にシステムを拡張できるようになりました。

2. 「インビジブル(見えない)」インフラ

 Nutanixの哲学は、IT担当者がインフラの管理(配線や複雑な設定)に時間を取られず、ビジネスやアプリの開発に専念できるようにすることです。同社は自社の製品を「Invisible Infrastructure(意識しなくてよいインフラ)」と呼んでいます。

3. ハイブリッド・マルチクラウドの橋渡し

 自社のデータセンター(オンプレミス)と、AWSやAzureといったパブリッククラウドを、あたかも1つのシステムであるかのように一括管理できるプラットフォームを提供しています。

  • AHV: Nutanix独自の仮想化ソフト(ハイパーバイザー)も提供しており、高額なVMwareなどのライセンス料を削減したい企業の有力な乗り換え先となっています。

4. なぜ今、注目されているのか

  • 脱VMwareの受け皿: 業界最大手のVMwareが買収(Broadcomによる)に伴いライセンス体系を大幅に変更したため、多くの企業が代替先としてNutanixを選んでいます。
  • AIへの注力: 今回のAMDとの提携のように、AIモデルを動かすための強力な計算基盤(GPUなど)を、企業が自社内で簡単に運用できるようにするためのソフトウェア開発を急いでいます。

 Nutanixは、企業のIT基盤を「シンプル」にし、「どこでも(クラウドでも自社でも)同じように」動かせるようにするソフトウェアのプロフェッショナル集団です。

Nutanixは、サーバーやストレージを統合管理するHCI(ハイパーコンバージド・インフラ)の先駆者です。複雑な企業インフラをソフトウェアで簡素化し、クラウドと自社拠点を一括運用できる環境を提供しています。

なぜAMDが出資するのか

 AMDがNutanixに出資(正確には総額2.5億ドル規模の提携)した最大の理由は、「NVIDIAの独占を崩し、自社のAIチップを企業が使いやすくするため」です。


1. NVIDIAへの対抗(「箱」と「中身」のセット販売)

 現在、AIインフラ市場はNVIDIAが圧倒的です。NVIDIAはチップだけでなく、それを動かすソフトウェアやネットワークまで垂直統合で提供しています。

  • AMDの課題: チップ(GPU)単体は高性能でも、企業がそれを導入する際の「管理ソフト(OSのようなもの)」が不足していました。
  • 解決策: Nutanixという「企業のデータセンターで最も普及している管理ソフト」と組むことで、「AMDのチップ+Nutanixのソフト」という強力なセット商品を作れます。

2. 「脱VMware」層の取り込み

 現在、業界最大手のVMwareが買収後の混乱(値上げ等)により、多くの企業が乗り換え先を探しています。

  • チャンス: 乗り換え先として最有力なのがNutanixです。
  • AMDの狙い: インフラを刷新しようとしている企業に対し、「Nutanixに変えるなら、ついでにチップもNVIDIAじゃなくAMDにしませんか?」と提案できる絶好のタイミングなのです。

3. AIの「推論(実行)」市場の獲得

 AIは「学習(作る)」から「推論(使う)」のフェーズに移っています。

  • 推論の現場: 学習は巨大なデータセンターで行われますが、推論は企業の自社サーバー(エッジやオンプレミス)で行われることが多いです。
  • 強みの融合: Nutanixは自社サーバー管理のプロです。AMDのEPYC(CPU)やInstinct(GPU)をNutanixの環境に最適化させることで、「企業内AI」の標準プラットフォームを握ろうとしています。

出資の内訳

今回の提携は単なる出資以上の意味を持っています。

  • 1.5億ドル: Nutanixへの直接的な株式出資(信頼の証)。
  • 1.0億ドル: 共同での技術開発・営業活動への投資。

 AMDには、Nutanixという「使い勝手の良い土台」を手に入れることで、自社のAIチップを世界中の企業のデータセンターへ一気に普及させたい、という狙いがあります。

AMDは、NVIDIAの独占を崩すため、自社チップを企業のデータセンターへ普及させる「土台」としてNutanixを選びました。同社の管理ソフトと連携し、AIインフラの導入を簡素化することで、企業市場でのシェア拡大を狙っています。

どのよえにハイパーコンバージド・インフラが可能になるのか

 ハイパーコンバージド・インフラ(HCI)は、これまでバラバラだった機器を「ソフトウェアの力」で1つの箱にまとめ上げることで可能になります。

1. ソフトウェア定義ストレージ(SDS)

 これがHCIの核となる技術です。本来は独立した大きな「ストレージ専用機」が必要でしたが、HCIでは各サーバーに内蔵されたディスクをソフトウェアでつなぎ合わせ、全体で1つの巨大な仮想ストレージとして扱えるようにします。

2. 仮想化によるリソースの統合

 「ハイパーバイザー」というソフトを使い、CPU、メモリ、ストレージを物理的な制限から切り離します。これにより、1台のサーバー上で複数の仮想マシンを自由に、効率よく動かせるようになります。

3. コントロールソフトによる一括管理

 Nutanixのような管理ソフトウェアが、ネットワークやストレージ、サーバーのすべてを「1つの画面」から操作できるようにします。


この「シンプルさ」が、AMDのチップを素早く企業の現場に導入したい今回の提携の鍵となっています。

HCIは、ソフトウェア定義ストレージ(SDS)技術により、各サーバーの内蔵ディスクを仮想的に統合することで実現します。専用ストレージが不要になり、標準的なサーバーを並べるだけでシンプルにシステムを構成・拡張できます。

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