この記事で分かること
・エア・ウォーターどんな会社か日本の総合ガス・化学メーカーであり、産業ガスや医療・食品関連事業、半導体・電子材料向けの特殊材料など幅広い分野様々な分野での事業拡大を行っている。
・半導体向けの製品にはどんな製品があるか:特殊ガス、薬液などの化学品、高機能樹脂を中心に展開しています。
・特殊ガスはどのような工程で利用されるのか:成膜・エッチング・イオン注入・配線形成など、半導体製造の各プロセスで不可欠な役割を果たしています。
エア・ウォーター・パフォーマンスケミカルの新研究棟建設
エア・ウォーター株式会社のグループ企業であるエア・ウォーター・パフォーマンスケミカル株式会社は、神奈川県平塚市の湘南工場内に新研究棟「湘南イノベーションラボ」を建設したことがニュースになっています。

この新研究棟は、半導体や電池、機能材料の開発における中核拠点として位置付けられています。技術者を一箇所に集約することで、各社が持つ知見や技術のシナジーを最大化し、新製品の開発を加速することを目的としています。
エアウォーターはどんな会社なのか
エア・ウォーター株式会社は、日本の総合ガス・化学メーカーで、産業ガスや医療・食品関連事業など幅広い分野で事業を展開している企業です。本社は大阪市北区にあり、1940年に「北海道酸素株式会社」として設立され、その後、2000年に「エア・ウォーター株式会社」へと商号変更しました。
事業概要
エア・ウォーターは、以下のような多岐にわたる事業を展開しています。
- 産業ガス
- 製鉄・化学・電子部品製造向けの酸素、窒素、アルゴンなどの供給
- 半導体や液晶製造向けの特殊ガスの開発
- 化学
- 半導体・電子材料向けの特殊材料
- 高機能樹脂や電池関連材料の開発
- 医療
- 医療用酸素・窒素ガス供給
- 在宅医療機器(人工呼吸器など)の提供
- 病院向け医療機器・システム開発
- エネルギー
- LPガスの供給・販売
- 水素エネルギー事業の推進
- 食品
- 冷凍食品の開発・販売
- 食品加工・包装技術の提供
- 農業・環境・物流
- 農業資材・施設の提供
- 廃棄物処理・リサイクル事業
- 物流サービスの展開
特徴と強み
- 産業ガスを基盤に多角化
もともと産業ガス事業が主力でしたが、医療、食品、農業など多方面に事業を拡大し、収益の安定化を図っています。 - M&Aを積極的に活用
国内外の企業を積極的に買収・統合し、事業拡大を進めています。 - 半導体・EV関連分野の強化
特に近年では、半導体や電池関連の高機能材料の開発に注力しており、研究開発拠点の整備も進めています。

エア・ウォーター株式会社は、日本の総合ガス・化学メーカーであり、産業ガスや医療・食品関連事業、半導体・電子材料向けの特殊材料など幅広い分野様々な分野での事業拡大を行っています。
どんな半導体材料を開発しているのか
エア・ウォーターは、半導体分野でさまざまな材料を開発しており、特に特殊ガス・化学材料・高機能樹脂を中心に展開しています。主な製品と技術について詳しく紹介します。
1. 特殊ガス(エレクトロニクスガス)
半導体製造プロセスで使用される高純度ガスを供給しています。
- エッチングガス(Si、SiO₂、Si₃N₄の加工)
- CF₄(四フッ化炭素)
- C₄F₈(八フッ化シクロブタン)
- SF₆(六フッ化硫黄)など
- 成膜ガス(CVD・ALD用)
- SiH₄(シラン)
- NH₃(アンモニア)
- TEOS(四エトキシシラン)など
- 不純物制御用ガス
- 高純度アルゴン(Ar)
- 水素(H₂)
これらのガスは、微細化が進む半導体デバイスの高精度加工に不可欠なものです。
2. 半導体用薬液(高純度化学材料)
半導体洗浄やエッチングに使用される超高純度薬液を開発。
- 高純度アンモニア水(Siウエハー洗浄用)
- フッ酸系エッチング液(酸化膜・窒化膜除去)
- 有機溶媒系洗浄液(レジスト剥離用)
これらの化学薬品は、不純物レベルを極限まで低減することで、次世代デバイス向けの要求に対応しています。
3. 半導体封止・絶縁材料(高機能樹脂)
- ポリイミド用特殊酸二無水物
- 半導体パッケージに使用されるポリイミド樹脂の原料
- 高耐熱性・低誘電率特性を持つ
- 特殊熱硬化性樹脂
- 高耐熱性を求められる半導体デバイス封止材
- フォトレジスト用樹脂
- 次世代EUVリソグラフィ対応材料
4. 二次電池・半導体向け電解液添加剤
- Si系アノード用電解液添加剤(リチウムイオン電池向け)
- 充放電効率を向上
- 次世代パワー半導体向け材料
- SiC・GaNデバイスの高耐熱封止材

エア・ウォーターは、半導体製造の微細化・高性能化に対応する材料開発を進めており、特にEUVリソグラフィ対応材料やSiCパワー半導体向け材料の分野で競争力を高めています。
特殊ガスは半導体製造のどの工程で使用されているのか
半導体製造プロセスにはいくつもの工程があり、特殊ガス(エレクトロニクスガス)は以下のようにそれぞれの工程で重要な役割を果たします。
1. 成膜(薄膜形成)
(プロセス:CVD・PVD・ALD)
ウェハー上に絶縁膜、導電膜、バリア膜などを形成する工程。
- CVD(化学気相成長):ガスを熱やプラズマで分解し、膜を形成
- PVD(物理気相成長):金属を蒸発・スパッタして膜を形成
- ALD(原子層堆積):原子レベルで膜を積層する高精度成膜
使用ガス例:
- SiH₄(シラン):Si膜形成(CVD用)
- TEOS(四エトキシシラン):SiO₂膜形成(絶縁膜)
- NH₃(アンモニア):SiN膜形成(窒化膜)
- WF₆(六フッ化タングステン):タングステン膜形成(配線用)
2. フォトリソグラフィ(露光・パターン形成)
(プロセス:レジスト塗布 → 露光 → 現像 → エッチング)
ウェハー上に微細な回路パターンを形成する工程。
使用ガス例:
- N₂(窒素):レジスト塗布時の環境制御
- ArF(フッ化アルゴン):EUVリソグラフィ用光源(エキシマレーザー)
3. エッチング(パターン加工)
(プロセス:ドライエッチング)
成膜された材料を選択的に削り、回路パターンを形成する工程。
使用ガス例:
- CF₄(四フッ化炭素)、C₄F₈(八フッ化シクロブタン):SiO₂、Si₃N₄のエッチング
- SF₆(六フッ化硫黄):Siの異方性エッチング
- Cl₂(塩素)、BCl₃(三塩化ホウ素):金属膜(Al、Cu)のエッチング
4. イオン注入(ドーピング)
(プロセス:イオンインプランテーション)
半導体の電気特性を調整するために、不純物イオンを注入する工程。
使用ガス例:
- PH₃(ホスフィン):n型ドーピング(P注入)
- BF₃(三フッ化ホウ素):p型ドーピング(B注入)
- AsH₃(ヒ化アルシン):n型ドーピング(As注入)
5. アニール(熱処理)
(プロセス:RTA(急速熱処理)、酸化・窒化)
イオン注入後の結晶回復や酸化膜形成を行う工程。
使用ガス例:
- O₂(酸素):SiO₂酸化膜形成
- N₂(窒素):雰囲気ガス(不活性)
- NH₃(アンモニア):SiN膜形成(窒化処理)
6. 配線(メタライゼーション)
(プロセス:配線成膜 → CMP(化学機械研磨))
回路をつなぐ金属配線を形成する工程。
使用ガス例:
- WF₆(六フッ化タングステン):タングステン配線形成
- Cu(銅)系ガス(Cuメチルシクロペンタジエニル):Cu配線形成
- Ar(アルゴン):スパッタ成膜用
7. パッシベーション(保護膜形成)
(プロセス:保護膜成膜)
チップの信頼性を向上させるため、最終的に保護膜を形成する工程。
使用ガス例:
- SiH₄(シラン)+O₂:SiO₂保護膜
- SiH₄+NH₃:SiN保護膜

特殊ガスは、成膜・エッチング・イオン注入・配線形成など、半導体製造の各プロセスで不可欠な役割を果たしています。
コメント