ダイキンのインドへの開発新拠点 どのような開発を行うのか?インドを選ぶ理由は何か?

この記事で分かること

  • 予想される開発内容:高温地域向けの省エネ性・環境影響を低減した空調機(家庭用・業務用)や冷凍・冷蔵設備の研究開発やAIやIoTも活用の強化を行うと予想されます。
  • インドが重要な理由:中間層増加による空調市場の巨大な成長性に加え、アジア・中東・アフリカへ輸出するためのグローバルな戦略拠点として最適だからです。現地の厳しい気候に対応する製品開発も必須です。

ダイキンのインドへの開発新拠点

 ダイキンがインドに開発新拠点を設け、約174億円を投資するという報道がなされています。

 https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00764243

 インドはダイキンの戦略経営計画「FUSION25」で「一大拠点化」を目指しており、その一環と思われます。

どのような開発を行うのか

 直近で報道された「開発新拠点」の具体的な開発内容は現時点の公開情報では詳細が確認できませんが、ダイキンがインドで進めている既存の大型開発拠点の活動や戦略から、以下の開発が強化されると推測されます。

既存の大型開発拠点の活動

 ダイキンは、西部ニムラナに国内最大級のR&Dセンター(約83億円投資)を設け、以下の開発を強化しています。

  1. 空調機全般の研究開発強化:
    • 家庭用エアコン業務用エアコン、および大型業務用エアコンの研究開発。
  2. コールドチェーン(低温物流)関連:
    • 食品や医療品などの輸送・保管に必要な冷凍・冷蔵設備の研究開発。

戦略的な開発テーマ

 インドはダイキンの戦略経営計画「FUSION25」で「一大拠点化」の重点テーマとなっており、インドを生産・開発のハブとして、以下の地域・課題に対応する製品開発に注力しています。

  • 高温地域特化型製品: 外気温が高く、気候条件が近いアジア周辺国、中東、アフリカなどへ輸出するため、厳しい環境下で高い性能を発揮する製品の開発。
  • 環境負荷低減・省エネ: カーボンニュートラルへの取り組みとして、省エネ性が高く環境影響を低減した空調機の開発・普及。
  • デジタル技術の活用: ハイデラバードにあるR&Dセンターでは、AIおよびIoT関連技術の研究開発が進められています。

ダイキンは、インドおよび高温地域向けの省エネ性・環境影響を低減した空調機(家庭用・業務用)や冷凍・冷蔵設備の研究開発を強化します。AIやIoTも活用し、インドをアジア・中東・アフリカへの輸出拠点として一大開発拠点化を推進します。

なぜインドを選んだのか

 ダイキンがインドを開発新拠点として選ぶ主な理由は、以下の通りです。

  1. 巨大かつ急成長する市場としての魅力
    • 中間所得層の増加により、これまでエアコンを購入しなかった層がターゲットになり、空調市場の成長余地が極めて大きいと見込まれています。
    • 猛烈な熱波の記録など、気候条件からエアコンの需要が急速に拡大しており、今後も継続的な成長が予測されています。
    • ダイキンは、インド市場で売上高シェアNo.1の地位をさらに強固にすることを目指しています。
  2. グローバルな輸出拠点としての戦略的価値
    • ダイキンは、インドを単なる国内市場だけでなく、空調機器のグローバルな輸出拠点と位置づけています。
    • インドで生産・開発された製品は、気候条件が近いアジア周辺国、中東、アフリカなど、100カ国以上への供給が計画されています。
  3. 高温・厳しい環境への対応技術開発の必要性
    • インドの地域ごとの高温多湿から低温までの多様な気候や、電力事情が不安定であるという厳しいインフラ環境に対応するため、現地でニーズに合った製品を開発する必要があります。
    • これにより、省エネ性能が高く、高電圧や停電にも耐えられる製品の開発を強化しています。
  4. 技術者や研究開発能力の優位性
    • インドは、優秀な人材研究開発能力の点で優位性があり、製品の品質向上に貢献できると評価されています。

 ダイキンは、これらの理由からインドを戦略経営計画「FUSION25」の「一大拠点化」の重点テーマに掲げ、生産と開発の両面で大規模な投資を進めています。 

インドは、中間層増加による空調市場の巨大な成長性に加え、アジア・中東・アフリカへ輸出するためのグローバルな戦略拠点として最適だからです。現地の厳しい気候に対応する製品開発も必須です。

ダイキン以外の空調市場の有力メーカーはどこか

 ダイキン工業は空調市場で世界トップクラスの有力メーカーですが、他にも多くの強力なメーカーが存在します。国内外で有力な空調市場のメーカーは、主に以下の通りです。

1. 日本の有力メーカー(ダイキンの主な競合)

 日本国内のメーカーは、特に業務用・家庭用ともに高い技術力とシェアを持っています。

メーカー名特徴
三菱電機 (Mitsubishi Electric)業界2位のシェアを持つ有力企業。「ムーブアイ」などのセンサー技術や、高い省エネ性に定評があり、ダイキンに次ぐ強豪。
日立 (HITACHI)「白くまくん」などが有名。特に業務用では「省エネの達人」シリーズなど、省エネ性能に強みを持つ。
パナソニック (Panasonic)家庭用エアコン「エオリア」などが有名。独自技術の「ナノイーX」など空気質改善機能に強み。
三菱重工 (Mitsubishi Heavy Industries)高い技術力を持ち、比較的初期費用を抑えたモデルも展開。
富士通ゼネラル (Fujitsu General)「ノクリア」シリーズが有名。海外市場でも高いプレゼンスを持つ。
東芝 (TOSHIBA)「大清快」シリーズなどが有名。プラズマ空清など空気清浄機能に強み。

2. 世界の主要な競合メーカー(中国・米国・韓国など)

 世界市場全体で見ると、中国や米国の巨大企業が大きなシェアを占めています。

メーカー名所在国特徴
美的集団 (Midea Group)中国世界市場ではダイキンと並ぶ、または上回る最大級のシェアを持つ企業。主にルームエアコンに強み。
珠海格力電器 (Gree Electric Appliances)中国中国を代表する空調メーカーの一つで、ルームエアコンを中心に高いシェアを持つ。
キャリア (Carrier Global Corp.)米国空調機器のパイオニア的存在で、大型業務用空調やチラー(熱源機器)に強いグローバル企業。
トレインテクノロジー (Trane Technologies)米国商業施設向けの空調システムやサービスに特化した大手企業。
ハイアール (Haier Smart Home)中国家電全般を扱う巨大企業グループで、空調機器も世界的に展開。
LGエレクトロニクス (LG Electronics)韓国家庭用、特に住宅用エアコンやVRFシステムなどで世界的に存在感を示す。

 特にインド市場では、現地企業のボルタス(Voltas、タタグループ傘下)ブルー・スター(Blue Star)なども有力な競合企業として知られています。

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