この記事で分かること
・風力発電事業の生態系への懸念:バードストライクや森林伐採、騒音、振動、低周波などが検討されています。
・他の再生可能エネルギーでの懸念:太陽光発電では、森林伐採や土地改変などが、水力発電では。大規模なダムの建設は、河川の生態系を大きく変化させる懸念があります。
風力発電事業の生態系への懸念
Daigasガスアンドパワーソリューションが北海道苫小牧市などで計画していた風力発電事業において、当初計画していた風車10基のうち5基の計画を撤回することを発表しています。
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/624392
当初、苫小牧市と厚真町の太平洋沿岸地域に計10基の風車を設置する計画でしたが、生態系への影響に懸念があることから計画の撤回に結びつきました、
風力発電とは何か
風力発電は、風の力で風車(風力タービン)を回転させ、その回転運動を電気エネルギーに変換する発電方法です。再生可能エネルギーの一つとして、地球温暖化対策やエネルギー安全保障の観点から世界中で導入が進んでいます。
風力発電の仕組み
- 風車の回転:
- 風の力で風車のブレード(羽根)が回転します。
- ブレードの形状は、風のエネルギーを効率的に回転運動に変換できるように設計されています。
- 発電機の作動:
- 風車の回転運動は、増速機(ギアボックス)を介して発電機に伝えられます。
- 発電機は、回転運動を電気エネルギーに変換します。
- 電力の送電:
- 発電された電力は、変圧器で電圧を高められ、送電線を通じて需要地へ送られます。
風力発電のメリット
- 再生可能エネルギー:
- 風は自然現象であり、枯渇する心配がありません。
- 地球温暖化対策:
- 発電時に二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化対策に貢献します。
- エネルギー安全保障:
- 国産のエネルギー源として、エネルギー自給率の向上に貢献します。
- 騒音問題について:
- 風力発電施設は騒音問題を抱えていますが、近年では技術の進歩によって騒音は小さくなってきています。
風力発電のデメリット
- 発電量の変動:
- 風の強さや向きによって発電量が変動するため、安定した電力供給が難しい場合があります。
- 設置場所の制約:
- 風況の良い場所に設置する必要があるため、設置場所が限られます。
- 環境への影響:
- 鳥類や生態系への影響が懸念される場合があります。
- 景観を損なうという意見もあります。
- 初期費用とメンテナンス費用:
- 風力発電施設の建設には、初期費用が大きくかかります。
- また、風車は屋外に設置されるため、メンテナンス費用も必要となります。
風力発電の現状と将来
- 近年、技術の進歩やコストの低下により、風力発電の導入量は世界中で増加しています。
- 洋上風力発電は、陸上よりも風況が安定しており、より効率的な発電が期待されています。
- 日本でも、洋上風力発電の導入が促進されており、今後の成長が期待されています。

風力発電は、風の力で風車(風力タービン)を回転させ、その回転運動を電気エネルギーに変換する発電方法で、再生可能エネルギーの主力電源の一つとして、今後のエネルギー政策において重要な役割を担うと考えられます。
どのような形で生態系に影響があるのか
環境省の資料や自然保護団体の報告書などでも、風力発電事業が自然環境に与える影響について、詳細な調査や対策の必要性が指摘されています。風力発電事業における生態系への懸念は、主に以下の点が挙げられます。
鳥類への影響(バードストライク)
風車の回転するブレード(羽根)に鳥が衝突し、死傷する事故(バードストライク)が懸念されています。特に、渡り鳥や希少な鳥類への影響が問題視されています。
生態系の攪乱
風力発電施設の建設や運営に伴う騒音、振動、光などが、周辺の野生動物の生息環境を攪乱する可能性があります。
また、森林伐採や道路建設などによる生息地の分断も、生態系への悪影響が懸念されています。
景観への影響
大型の風車が広範囲に設置されることで、自然景観が損なわれるという意見もあります。
騒音・低周波音の影響
風力発電施設から発生する騒音や低周波音が、近隣住民の健康に影響を与える可能性も指摘されています。
今回のDaigasガスアンドパワーソリューションの計画撤回においても、これらの点が考慮されたと考えられます。
特に、計画予定地を含む苫東地域は、過去にも開発計画が持ち上がっては、生態系保護の観点から撤回や凍結されてきた経緯があるため、より慎重な判断が求められたと考えられます。

鳥類によるバードストライクや森林伐採、騒音、振動、低周波などが近隣住民や野生動物に影響する可能性が懸念されます。
そのほかの再生可能エネルギーの生態系への懸念には何があるのか
再生可能エネルギーの拡大は、地球温暖化対策に貢献する一方で、生態系への懸念を引き起こす可能性も持ち合わせています。主な例としては、以下のようなものが挙げられます。
太陽光発電
大規模な太陽光発電施設(メガソーラー)の建設による森林伐採や土地改変は、動植物の生息地を破壊し、生物多様性を損なう可能性があります。傾斜地での設置は、土砂災害のリスクを高めることも懸念されています。
太陽光パネルの反射光が、鳥類の飛行を妨げたり、水生生物に悪影響を与えたりする可能性も指摘されています。
バイオマス発電
バイオマス燃料の原料となる木材や農作物の生産拡大は、森林破壊や農地拡大を招き、生態系を変化させる可能性があります。
特定の作物に偏ったバイオマス燃料の生産は、土壌劣化や病害虫の発生を招くことも懸念されています。
地熱発電
地熱発電所の建設は、地盤沈下や温泉への影響を引き起こす可能性があります。また、掘削時に有害な物質が地下水に混入するリスクも指摘されています。
国立公園などの自然保護上重要な地域に地熱資源が豊富な場合、開発による景観や生態系への影響が懸念されます。
水力発電
大規模なダムの建設は、河川の生態系を大きく変化させ、魚類の遡上や水生生物の生息に影響を与える可能性があります。
ダム湖に沈んだ植物が分解される際にメタンガスが発生し、地球温暖化を促進する可能性も指摘されています。
これらの懸念は、再生可能エネルギーの導入にあたって、環境影響評価を徹底し、適切な立地選定や環境保全対策を講じることの重要性を示しています。

太陽光、バイオマス、水力、地熱などの再生可能エネルギーにも懸念があります。
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