古河電工のDC向け水冷モジュール工場拡張 DC向け水冷モジュールとは何か?拡張の理由は?

この記事で分かること

  • DC向け水冷モジュールとは:高発熱のCPU/GPUなどを効率よく冷やすための装置です。水や特殊な液体を循環させ、従来の空冷より高い冷却効率と省エネを実現し、DCの高密度化を支えます。
  • 古河電工のDC向け水冷モジュールの特徴:コールドプレートなどの高性能な冷却技術を提供し、フィリピン工場では再生エネ100%で製造しています。
  • 拡張の理由:生成AI普及による高発熱CPU/GPUの増加で、水冷モジュールの需要が爆発的に拡大したためです。生産能力を倍増し、2030年度売上1,000億円の目標達成を目指します。

古河電工のDC向け水冷モジュール工場拡張

 古河電工(古河電気工業)は、フィリピンのラグナ州にあるデータセンター(DC)向け水冷モジュール工場の建設計画を拡張すると発表しました。

 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC080EC0Y5A201C2000000/

 この拡張は、高まるデータ処理ニーズと、それによって生じるデータセンターの発熱問題に対応する水冷方式の量産体制を確立し、グローバルな情報通信社会の進化に貢献することを狙いとしています。

データセンター向け水冷モジュールとは何か

 データセンター(DC)向け水冷モジュールとは、データセンター内のサーバーやIT機器、特にCPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理装置)などの高発熱部品を、水や特殊な液体(クーラント)を循環させて効率的に冷却するための装置やシステム全体を指します。

 近年、AI(人工知能)や高性能コンピューティングの普及により、サーバーの発熱量は増大し続けており、従来の空冷方式では対応が難しくなっているため、水冷方式の採用が急速に進んでいます。


水冷モジュールの主な仕組みと種類

 水冷モジュールが担う冷却プロセスは、熱を発生源の近くで液体に吸収させ、それを熱交換器を介して外部に運び出すことです。

1. ダイレクト・ツー・チップ(Direct-to-Chip: D2C)冷却

 これは現在最も普及しつつある水冷方式です。

  • 仕組み: CPUやGPUなどの発熱源に、コールドプレート(冷却板)と呼ばれる熱伝導性の高い金属製モジュールを直接取り付けます。
  • 熱の回収: 液体(クーラント)がこのコールドプレート内部の流路を循環し、発生した熱を直接吸収して運び去ります。
  • システム構成要素:
    • コールドプレート(冷却板): 発熱部品に直接密着し、熱を液体に伝える部分。
    • クーラント分配装置(CDU: Coolant Distribution Unit): 液体を循環させるポンプ、温度・流量を管理する機能、および外部の冷却設備(チラーなど)との間で熱交換を行う熱交換器を内蔵しています。
2. 液浸冷却(Immersion Cooling)
  • 仕組み: サーバー全体を、電気を通さない絶縁性の冷却オイル(誘電性液体)が満たされた専用タンクに沈めて冷却します。
  • 種類:
    • 一相式(Single-Phase): 液体は沸騰せず、ポンプで熱を吸収した液体を熱交換器に送ります。
    • 二相式(Two-Phase): 液体が発熱源の熱で沸騰・気化し、気体が凝縮器(コンデンサー)で冷やされて再び液体に戻るサイクルで熱を運びます。

水冷方式のメリット

 空冷方式と比較して、水冷モジュールには以下のような明確な利点があります。

メリット詳細
高い冷却効率液体は空気よりも熱を吸収・運搬する能力(比熱、熱伝導率)が高いため、特に高密度で大発熱のサーバーを効率よく冷却できます。
省エネルギーサーバー室全体を冷やす必要がなくなり、空調設備(エアコン)の電力消費を大幅に削減できます。
高密度化の実現冷却能力が高いため、ラックあたりのサーバー搭載密度を上げることが可能になります。
静音性大量のファンを回す必要が減るため、データセンターの騒音レベルが低減します。

高発熱のCPU/GPUなどを効率よく冷やすための装置です。水や特殊な液体を循環させ、従来の空冷より高い冷却効率省エネを実現し、DCの高密度化を支えます。

古河電工のデータセンター向け水冷モジュールの特徴は何か

 古河電工のデータセンター(DC)向け水冷モジュールは、長年培ってきた放熱・冷却技術を基盤とし、特にAI時代の高発熱化に対応できる点に特徴があります。具体的な特徴と重点を置いている点は以下の通りです。

1. 高性能な冷却技術の提供(コールドプレート・液浸対応)

 古河電工は、従来からデータセンター向けにヒートパイプやベーパーチャンバー(均熱板)といった高性能な熱拡散技術を用いた空冷ソリューションを提供してきました。

 水冷モジュールにおいては、主に以下の方式に対応しています。

  • コールドプレート(Cold Plate): CPUやGPUなどの発熱部品に直接液体を循環させる流路を設けたプレートを密着させ、熱を効率的に回収するダイレクト・ツー・チップ(D2C)冷却の核となる部品です。
  • ボイラープレート(Boiler Plate): サーバー全体を液体に浸液浸冷却(Immersion Cooling)向けの熱交換・放熱部品についても技術開発を進めており、顧客の多様なニーズに対応できるソリューションラインナップを構築しています。

2. 環境への配慮とサステナビリティ

 水冷モジュールの製造・運用において、環境負荷の低減を強く意識しています。

  • 再生可能エネルギーの活用: フィリピンの主力生産拠点(FTL)および新設する水冷モジュール工場で使用する電力は、全て再生可能エネルギー由来とする計画です。
  • 温室効果ガス排出量ゼロ: これにより、新設工場ではスコープ1・2の温室効果ガス排出量がゼロとなる予定です。これは、グリーンなデータセンターインフラの構築に貢献する大きな特徴です。

3. 強靭なグローバル生産・開発体制

 拡大する需要に安定的に供給し、事業継続性を確保するための体制強化も特徴です。

  • 日比2拠点体制: 開発拠点である日本の平塚工場(設計開発・新モデル対応)と、主力生産拠点であるフィリピン工場(FTL)の多拠点生産体制を整備しています。
  • BCP(事業継続計画)の強化: 複数の拠点で製造能力を持つことで、災害やサプライチェーンのリスクに強い安定供給を実現します。

 これらの特徴により、古河電工は「高性能」「環境配慮」を両立させた水冷ソリューションを提供し、生成AIの普及を支えるデータセンターの進化に貢献することを目指しています。

古河電工のDC向け水冷モジュールは、コールドプレートなどの高性能な冷却技術を提供し、フィリピン工場では再生エネ100%で製造しています。需要増に対応するため、日比2拠点で生産体制を強化しています。

工場拡張の理由は何か

 古河電工がフィリピンでデータセンター(DC)向け水冷モジュール工場を拡張する主な理由は、以下に示すように、生成AI(人工知能)市場の急速な普及と成長に伴う需要の爆発的な増加に対応するためです。


1. 生成AIによる高発熱部品の需要増

  • AIの普及: ChatGPTなどの生成AIの利用が世界的に拡大しています。
  • サーバーの高発熱化: AI処理に必須の高性能CPUやGPUは、従来の部品よりも遥かに高い熱(高発熱)を発生させます。
  • 水冷の必要性: 従来の空冷方式では高発熱に対応しきれず、より効率的な水冷モジュールの採用がデータセンター業界で急速に進んでいます。この市場ニーズに応えるため、生産能力の強化が急務となっています。

2. 受注増加と事業目標達成

  • 生産能力の倍増: 当初計画(2024年7月発表)に比べ、フィリピンの生産拠点(FTL)における水冷モジュールの生産能力を2倍以上に引き上げます。
  • 売上目標の達成: この生産体制の強化により、2030年度に水冷モジュールの売上で1,000億円を達成するという事業目標を目指しています。

3. 強靭なグローバル生産体制の構築

  • BCP(事業継続計画)の強化: 主力生産拠点であるフィリピン工場の拡張に加え、開発拠点である日本の平塚工場でも関連設備を増強します。
  • 多拠点生産: 日本とフィリピンの2拠点で製造能力を持つことで、災害やサプライチェーンのリスクに強い安定供給体制を確立し、顧客への責任を果たします。

 生成AI時代の高発熱化という技術的課題と、それによって生まれた水冷モジュール市場の急拡大に対応し、事業目標を達成するために拡張を行うということです。

生成AI普及による高発熱CPU/GPUの増加で、水冷モジュールの需要が爆発的に拡大したためです。生産能力を倍増し、2030年度売上1,000億円の目標達成を目指します。

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