この記事で分かること
・魚雷バットとは:芯の部分が太く、先端が細いバット。近年MLBで多くの選手が使用しています。
・なぜ、魚雷バットが使用されるのか:スイングスピード、ミート率、バットコントロールの向上が可能になるため。
・なぜ、バッティングに良い影響があるのか:慣性モーメントが小さいバットほどよりスイングスピードが上がり、操作性も向上することが理由とされています。
魚雷バットの使用者増加
年MLBで話題になっている特殊な形状の野球用バットである魚雷バットがニュースになっています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/329eb9629d72a68c346e3fd6f733b8a980d0bbdb
ヤンキースの分析部門が研究開発したと言われ、従来のバットよりも芯の部分が太く、先端が細い形状をしており、多くの選手が使用し始めています。
魚雷バットとは何か
魚雷バット(トルピードバット)とは、近年MLBで話題になっている特殊な形状の野球用バットのことです。
特徴
- グリップに近い部分(ラベル部分)が最も太く、先端に向かって細くなる形状
- 一般的なバットとは異なり、芯の部分が太く、先端が細い
- MLBの規則で定められた基準(最も太い部分の直径が2.61インチ以下、長さが42インチ以下)を満たしており、使用は合法
開発背景と目的
- ヤンキースの分析部門が研究開発したと言われている
- 芯で捉えやすく改良され、バットの木材の大部分をラベル付近に集めることで、より硬い部分でボールを打てるように設計されている
- スイング速度とパワーの向上が意図されている
利点
- 芯で捉えやすく、飛距離が出やすい
- スイングスピードが上がる
賛否
- 一部の選手が使用し、好成績を残していることから、注目を集めている
- 従来のバットとは形状が大きく異なるため、賛否両論がある
- 「使わないチームが悪い」と擁護する声もある。
その他
- MLBの規則上は問題ないとされています。
- ゴールドシュミット、ボルピ、チザムJr.など、複数のMLB選手が使用している

魚雷バット(トルピードバット)とは、近年MLBで話題になっている特殊な形状の野球用バットで、芯の部分が太く、先端が細いという特徴を持っています。
なぜ先端を細くする必要があるのか
魚雷バット(トルピードバット)の先端を細くする理由は、主に以下の点が挙げられます。
- スイングスピードの向上:
- バットの先端を細くすることで、バットの重量配分がグリップ側に集中します。これにより、スイング時の慣性モーメントが減少し、バットをより速く振りやすくなります。
- 結果として、ボールに与える力が大きくなり、飛距離の向上が期待できます。
- 芯で捉えやすくする:
- 先端を細くすることで、バットの芯(スイートスポット)が広がり、ボールを捉える確率が高まります。
- これにより、打球の質が向上し、安定した打撃が可能になります。
- バットコントロールの向上:
- 先端が細いことで、バットの操作性が向上し、より細かいバットコントロールが可能になります。
- これにより、コースや球種に対応しやすくなり、打撃の幅が広がります。

魚雷バットの先端を細くする設計は、スイングスピード、ミート率、バットコントロールの向上を目的としていると考えられます。
慣性モーメントとは何か
慣性モーメントとは、物体が回転運動を続けようとする性質(慣性)の度合いを表す物理量です。簡単に言えば、「回転しにくさ」や「回転の止まりにくさ」を表す指標です。
慣性モーメントの概念
- 回転運動における質量のようなもの:
- 直線運動における質量が、物体の運動の変化に対する抵抗を表すように、慣性モーメントは回転運動における同様の役割を果たします。
- 慣性モーメントが大きい物体ほど、回転速度を変化させるのに大きな力(トルク)が必要です。
- 質量分布と回転軸の関係:
- 慣性モーメントは、物体の質量だけでなく、質量が回転軸からどのように分布しているかによっても変化します。
- 同じ質量でも、回転軸から遠くに質量が分布しているほど、慣性モーメントは大きくなります。
日常生活における例
- フィギュアスケートの回転:
- スケート選手が回転する際に、腕を広げると回転速度が遅くなり、腕を体に引き寄せると速くなるのは、慣性モーメントの変化によるものです。
- 腕を広げることで質量が回転軸から遠くなり、慣性モーメントが増加するため、回転速度が遅くなります。
- コマの回転:
- 回転しているコマは、倒れにくく安定しています。これは、コマの回転による慣性モーメントが、回転軸を維持しようとする力として働くためです。
野球における慣性モーメント
- バットのスイング:
- 野球のバットのスイングにおいて、慣性モーメントはバットの振りやすさやスイングスピードに影響を与えます。
- 慣性モーメントが小さいバットほど、速く振ることができ、バットコントロールも容易になります。
- 魚雷バットとの関連性
- 魚雷バットは、グリップ付近に重量を集中させ、先端を細くすることにより、慣性モーメントを小さくしています。
- その結果、スイングスピードが向上し、ボールを捉えやすくなると考えられています。

慣性モーメントとは、物体が回転運動を続けようとする性質(慣性)の度合いを表す物理量で、慣性モーメントが小さいバットほどより速く振りやすくなるといえます。
先端が細いとなぜ、芯が広がるのか
雷バットのように先端が細くなることで芯(スイートスポット)が広がる理由は、主に以下の点が考えられます。
バットの「しなり」の変化
先端が細くなることで、バットのスイング時に発生する「しなり」の度合いと、そのしなりが起きる位置が変わります。
この変化により、ボールがバットに当たった際の衝撃がバット全体に分散されやすくなり、芯として機能する範囲が広がる可能性があります。
打球面の変化
先端を細くすることで、バットの打球面の形状が変化します。これにより、ボールがバットに当たる角度や力の伝わり方が変わり、芯で捉えたときのような打球結果が得られる範囲が広がる可能性があります。
重量配分の変化
先端を細くすることで、バットの重量配分がグリップ側に集中します。これにより、バットの芯となる部分にボールが当たった際に、バットがブレにくくなり、結果として芯を広く感じやすくなる可能性があります。

端を細くすることによって、バットの構造的な特性が変化し、結果的に芯が広がるように感じられると考えられますが、まだ研究段階のものです。
先端が細いとなぜ操作性が上がるのか
バットの先端が細くなることで操作性が向上する理由は、主に以下の点が挙げられます。
慣性モーメントの減少
バットの先端が細くなることで、バットの重量がグリップ側に集中し、慣性モーメントが減少します。慣性モーメントが減少すると、バットの回転運動が容易になり、スイング中のバットの向きや角度を細かく調整しやすくなります。
バットコントロールの向上
先端が細いことで、バットの振り抜きが軽快になり、バットの操作性が向上します。これにより、コースや球種に対応したバットコントロールが容易になり、狙った場所にバットを出しやすくなります。
スイングスピードの向上
慣性モーメントの減少は、スイングスピードの向上にもつながります。スイングスピードが向上することで、バットの操作性が向上し、より速いボールにも対応しやすくなります。

操作性の向上も慣性モーメントの減少で説明されます。先端を細くすることで、バットの重量バランスが変化し、慣性モーメントが減少することで、バットコントロールが容易になり、操作性が向上すると考えられます。
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