​JX金属のプライム市場への上場 JX金属はどんな強みを持つ会社なのか?スパッタリングとは何か?

この記事で分かること

・JX金属の強み:半導体製造に欠かせないスパッタリングターゲット材で世界シェア約60%を占めています。

・スパッタリングとは何か:スパッタリングとは、ターゲット(材料)にイオンを衝突させ、原子を飛び出させ、飛び出した原子が基板に付着させ、均一な薄膜を形成する技術です。

・スパッタリングターゲット材に求められるものは何か:半導体向けのターゲット材には、純度や優れた物性が必要です。

​JX金属のプライム市場への上場

 ​JX金属は、2025年3月19日に東京証券取引所プライム市場に上場しました。​初日の終値は1株874円で、公開価格の820円を約7%上回り、時価総額は約8100億円となりました。 ​

○JX金属、時価総額8100億円
 非鉄大手のJX金属〈5016〉が19日、東証プライム市場に上場した。終値は1株874円と、公開価格の820円を約7%上回った。終値を基にした時価総額は約8100億円と、今年度では昨年10月上場の東京地下鉄(東京メトロ)〈9023〉、同12月上場のキオクシアホールディングス〈285A〉に続く規模となった。 

 同社は、100年以上にわたり銅の鉱山開発などを手掛けてきた非鉄金属大手で、近年では半導体製造に欠かせないスパッタリングターゲット材で世界シェア約60%を占めるなど、半導体関連事業にも注力しています。

スパッタリングとは何か

 スパッタリング(Sputtering) とは、薄膜を作るための物理的蒸着(PVD: Physical Vapor Deposition)技術の一つです。主に半導体、ディスプレイ、ハードディスク、太陽電池などの製造に使われます。

スパッタリングの原理

  1. ターゲット(材料)にイオンを衝突
    • 真空中で不活性ガス(主にアルゴン)をプラズマ化し、そのイオンをターゲット(金属や酸化物など)に高速で衝突させます。
  2. ターゲット表面から原子が飛び出す
    • 衝突によってターゲットの表面原子が弾き飛ばされます(この現象を「スパッタ(Sputter)」と呼びます)。
  3. 基板上に薄膜を形成
    • 飛び出した原子が基板(ウェハーなど)に付着し、均一な薄膜を形成します。

スパッタリングの特徴

  • 高密度で均一な膜が形成できる
  • 合金や化合物の膜も作れる
  • 低温でプロセスが可能(熱に弱い基板にも適用可能)
  • 制御しやすく、半導体や光学デバイスの精密製造に向いている

スパッタリングの用途

  • 半導体製造(配線材料、絶縁膜、バリアメタルなど)
  • ディスプレイ(OLEDや液晶の電極材料)
  • 磁気記録媒体(ハードディスクの記録層)
  • 光学コーティング(反射防止膜、ミラーコーティング)

 JX金属は、このスパッタリングに使われるスパッタリングターゲット材(銅やモリブデンなどの金属ターゲット)を世界的に供給しており、特に半導体産業で重要な役割を果たしています。

スパッタリング(Sputtering) とは、薄膜を作るための物理的蒸着であり、ターゲット(材料)にイオンを衝突させ、原子を飛び出させ、飛び出した原子が基板(ウェハーなど)に付着し、均一な薄膜を形成します。

スパッタリング以外に薄膜形成を行う方法はあるのか

スパッタリング以外にも、薄膜を形成する方法はいくつかあります。代表的なものとスパッタリングとの違いを説明します。


1. 蒸着(Evaporation)

概要

  • 真空中でターゲット(金属や酸化物)を加熱し、蒸発した原子を基板に付着させて膜を形成する。
  • 加熱方法には「抵抗加熱蒸着」「電子ビーム蒸着(EB-PVD)」などがある。

スパッタリングとの違い
長所

  • 高純度の膜が形成しやすい(不純物が少ない)。
  • プロセスが比較的シンプルでコストが低い。

短所

  • ターゲットの材料によっては蒸発しにくいものがある(例:高融点金属)。
  • 成膜の均一性が低く、大面積の膜形成には不向き。

2. 化学気相成長(CVD: Chemical Vapor Deposition)

概要

  • ガス状の原料(前駆体)を化学反応させて基板表面に薄膜を形成する方法。
  • 代表的な手法に「熱CVD」「プラズマCVD(PECVD)」「原子層堆積(ALD)」がある。

スパッタリングとの違い
長所

  • 3D構造の基板にも均一に膜を形成できる(カバレッジが良い)。
  • スパッタリングより低い温度でも処理可能(PECVDなど)。

短所

  • 膜の純度が低くなることがある(副生成物が残る可能性)。
  • 化学反応に必要なガスの選定が重要で、プロセス開発が複雑。

3. 電解メッキ(Electroplating)

概要

  • 溶液中で金属イオンを電気化学的に還元し、基板表面に析出させることで膜を形成する。

スパッタリングとの違い
長所

  • 低コストで厚い膜を形成できる。
  • 大面積基板にも適用可能。

短所

  • 膜の均一性や精度がスパッタリングより劣る。
  • 高純度の膜を作るのが難しく、半導体微細加工には不向き。

4. 溶射(Thermal Spraying)

概要

  • 金属やセラミックの微粒子を高温で溶融し、高速で基板に吹き付けて膜を形成する。

スパッタリングとの違い
長所

  • 厚膜(数十μm以上)を短時間で形成できる。
  • 耐摩耗性や耐熱性のあるコーティングに向いている。

短所

  • 微細な薄膜には向かず、半導体用途ではほぼ使われない。
  • 表面の平滑性がスパッタリングより劣る。

スパッタリング以外にも薄膜を形成する方法はありますが、スパッタリングは特に均一性と精度に優れています。

半導体向けのターゲット材に使われるのはどんな金属か

 半導体向けのスパッタリングターゲット材には、用途に応じてさまざまな金属や合金が使われます。主な金属とその用途は以下の通りです。

1. 配線材料(導電膜)

半導体チップ内の電気信号を伝える配線に使用されます。

  • 銅(Cu):低抵抗で高い導電性を持ち、近年の主流材料。
  • アルミニウム(Al):従来の主流材料で、現在も一部で使用。
  • タンタル(Ta):銅の拡散を防ぐバリア層として使用。
  • チタン(Ti):バリア層や接着層(アドヒージョン層)として利用。
  • タングステン(W):高耐熱性を活かし、特定の配線用途に使用。

2. バリアメタル(拡散防止層)

銅などの金属がシリコン基板に拡散しないようにする層。

  • タンタル(Ta):バリア性が高く、銅配線に必須。
  • チタン(Ti):酸化しやすいが、一部のバリア層に使用。
  • ニッケル(Ni):特定用途のバリア層に使用。

3. ゲート電極材料(トランジスタの制御部分)

トランジスタのスイッチングに関わる重要な部分。

  • モリブデン(Mo):ディスプレイ用TFT(薄膜トランジスタ)などに使用。
  • タンタル(Ta):高誘電率(High-k)ゲート材料との相性が良い。

4. 反射防止膜・光学用途

半導体リソグラフィやディスプレイ向けに使用。

  • モリブデン-シリコン(MoSi):EUVリソグラフィのマスク材料。
  • シリコン(Si):光学部品向けに利用。

5. 磁気記録(MRAM・ハードディスクなど)

磁気特性を利用したメモリ(MRAM)やストレージに使われる。

  • コバルト(Co):磁気特性を持ち、磁性メモリや記録媒体に使用。
  • ニッケル(Ni):コバルトと合金化して磁気特性を調整。

半導体のスパッタリングでは、用途に応じてさまざまな金属や合金が使われますが、特に銅、タンタル、モリブデンなどは半導体業界で不可欠なターゲット材になっています。

ターゲット材にはどんな性質が求められるのか

 スパッタリングターゲット材には、高品質な薄膜を形成するために、以下のような重要な性質が求められます。

1. 高純度(High Purity)

  • 半導体製造では**99.99%(4N)〜99.9999%(6N)**以上の高純度が求められる。
  • 不純物が多いと、薄膜の電気特性や密着性が低下し、デバイスの性能が悪化。
  • 例:銅(Cu)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)などは特に高純度が必要。

2. 均一な組成(Composition Uniformity)

  • 薄膜の特性を安定させるために、ターゲット材の組成が均一でなければならない。
  • 特に合金ターゲット(例:MoSi、CoNiFe)は、元素の偏りがないことが重要。

3. 高密度・低気孔率(High Density & Low Porosity)

  • ターゲット材に気孔(ピンホール)があると、スパッタリング中にアーク放電が発生し、膜の品質が低下。
  • 熱間等方圧加圧(HIP)や焼結技術を使い、密度を高める。

4. 優れた機械特性(Mechanical Properties)

  • スパッタリング時の衝撃に耐えられる十分な硬度と**靭性(じんせい)**が必要。
  • 特に脆い材料(例:シリコン、酸化物)には、クラック(ひび割れ)対策が必要。

5. 良好な導電性(Electrical Conductivity)

  • 配線用ターゲット(Cu、Al、Wなど)は、高い導電性が求められる。
  • 低抵抗であるほど、半導体デバイスの電気信号の伝達効率が向上。

6. 熱安定性・耐酸化性(Thermal Stability & Oxidation Resistance)

  • プロセス温度が高いため、高温でも安定な材料が必要。
  • 例:タングステン(W)やモリブデン(Mo)は耐熱性が高く、高温環境でも安定。

7. 良好な密着性(Adhesion to Substrate)

  • 膜が基板にしっかりと密着する必要がある。
  • チタン(Ti)やクロム(Cr)は密着層(アドヒージョン層)として使用されることが多い。

これらの特性を満たすことで、高性能な半導体デバイスを安定して製造することができます。そのため、JX金属のような企業は、高純度化技術や製造プロセスの最適化に力を入れています。

半導体向けのターゲット材には、純度や優れた物性が必要になります。

jx金属は特にどの金属のシェアが高いのか、ライバルはいるのか

 JX金属は、スパッタリングターゲット材の分野で世界シェア約60%を占めています。 ​

 特に、半導体の微細配線形成に使用される銅(Cu)や銅合金チタン(Ti)、タンタル(Ta)などのターゲット材の製造に注力しています。 ​これらの材料は、半導体製造において重要な役割を果たしており、JX金属はこれらの分野で高い市場シェアを持っています。

 ​JX金属以外でスパッタリングターゲット材の市場シェアが高い企業として、以下の企業が挙げられます。​

  • マテリオン(Materion):​高純度金属や合金のターゲット材を提供しており、特に先進的な材料技術で知られています。 ​
  • プラクセア(Praxair、現在はリンデの一部):​ガス供給と材料加工技術を活かし、スパッタリングターゲット材の製造を行っています。 ​
  • 三井金属鉱業:​日本の大手非鉄金属メーカーで、スパッタリングターゲット材の製造にも注力しています。 ​
  • プランゼー(Plansee SE):​高融点金属の加工に強みを持ち、スパッタリングターゲット材を提供しています。
  • 日立金属:​特殊合金や金属材料の分野で実績があり、スパッタリングターゲット材も製造しています。 ​

 これらの企業は、スパッタリングターゲット材市場において重要な役割を果たしており、JX金属と共に市場を牽引しています。

JX金属は、特に、半導体の微細配線形成に使用される銅(Cu)や銅合金チタン(Ti)、タンタル(Ta)などのターゲット材の製造に注力しています。

マテリオンや三井金属鉱業などの企業がライバルとして挙げられます。

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