この記事で分かること
・金属アレルギーはどうやって起こるのか:金属が汗や皮脂で溶けだし、金属とタンパク質が結合した異物に対して、免疫系が過剰に反応することでアレルギー反応が起きます。
・なぜ、新製品は金属アレルギーが起きにくいのか:ニオブチンは酸化膜が非常に安定しているため、金属イオンの溶出がほとんどなく、アレルギーを起こしにくい性質を持っています。
・酸化膜が安定化はどうやってきまるのか:金属の種類、酸化膜の厚さ、酸化物の化学的性質などによって決まります。
金属アレルギーに配慮した製品
シチズン時計株式会社は、2025年3月12日に金属アレルギーに配慮した新しい表面硬化技術「デュラテクトアンバーイエロー」を発表しました。
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この技術は、ニッケルを使用せず、ニオブチタン合金を用いることで、肌に優しい耐メタルアレルギー性能を持つ落ち着いた金色を実現しています。
金属アレルギーとは何か
金属アレルギーとは、金属が皮膚に触れることで免疫系が過剰に反応し、かぶれや炎症などのアレルギー症状を引き起こす状態のことです。
仕組み
- 金属が汗や皮脂で溶け出す
- 金属製のアクセサリーや時計、眼鏡などが汗や皮脂に触れると、微量の金属イオンが溶け出します。
- 金属イオンが体内のタンパク質と結合
- 溶け出した金属イオンが体内のタンパク質と結びつくことで、新たな異物(アレルゲン)と認識されます。
- 免疫系が過剰に反応
- 体がアレルゲンを攻撃しようとし、かゆみや赤み、水ぶくれ、炎症などのアレルギー反応を引き起こします。
主な症状
- 皮膚のかゆみ、赤み、腫れ
- かぶれ(水ぶくれ、ただれ)
- 長期間の接触による色素沈着
原因となる金属
- ニッケル(アクセサリーやメガネのフレームに多い)
- コバルト(歯科治療の材料に含まれることがある)
- クロム(革製品のなめし加工に使用される)
一方で、チタンや純金、純銀、ステンレス(316L) などは比較的アレルギーを起こしにくいとされています。
予防方法
- 金属アレルギー対応のアクセサリーや時計を選ぶ
- 金属が直接肌に触れないようにコーティングや保護剤を使用する
- 汗をかいたらすぐに拭き取る

金属アレルギーとは、金属が汗や皮脂で溶けだし、金属とタンパク質が結合した異物に対して、免疫系が過剰に反応し、かぶれや炎症などのアレルギー症状を引き起こす状態のことです。
なぜ、アクセサリーにニッケルが使われるのか
ニッケルは、その特性からさまざまな製品に使用されています。特に時計やアクセサリーなどの金属製品に使われる理由は以下のとおりです。
ニッケルが使われる理由
- 耐食性が高い
- ニッケルは酸化しにくく、錆びにくい性質を持つため、金属製品の耐久性を向上させる。
- 特に合金として使用すると、耐摩耗性や耐食性が大幅に向上する。
- 強度を高める
- ニッケルを加えることで金属の硬度が増し、傷つきにくくなる。
- 例えば、ステンレス鋼(SUS304, SUS316L) にはニッケルが含まれており、強度と耐食性を兼ね備えている。
- 加工性が良い
- 金属の延性(引き延ばしやすさ)を向上させ、複雑なデザインや精密な加工がしやすくなる。
- アクセサリーや時計の細かいパーツにも適している。
- 美しい光沢を持つ
- ニッケルめっきは銀白色の光沢を持ち、装飾性が高い。
- 金めっきの下地としても使われることが多い。

優れた耐食性、光沢性、強度や加工性の良さからニッケルが金属製品に使用されています。
ニオブチタンとは何か
ニオブチタン(Nb-Ti, Niobium-Titanium) は、ニオブ(Nb) と チタン(Ti) を主成分とする合金です。優れた耐食性や生体適合性を持ち、特に金属アレルギーを起こしにくい特性があります。
特徴
- 金属アレルギーに優しい
- ニオブとチタンはどちらもアレルギーを起こしにくい金属であり、皮膚に優しい。
- ニッケルを含まないため、ニッケルアレルギーの人にも安心。
- 優れた耐食性
- 酸や汗による腐食に強く、長期間使用しても劣化しにくい。
- 高い硬度と強度
- デュラテクトなどの表面処理と組み合わせることで、さらに傷つきにくくなる。
- 軽量性
- チタンを含むため、同じ強度のステンレスと比べても軽い。
用途
- 医療機器(インプラント、人工関節など)
- 時計・アクセサリー(シチズンの金属アレルギー対応モデルなど)
- 超伝導磁石(MRI、粒子加速器などで使用)

ニオブチタン合金を活用することで、金属アレルギーのリスクを減らすことが可能です。
なぜ、ニオブチンでは金属アレルギーが起きにくいのか
ニオブチタン(Nb-Ti)が金属アレルギーを起こしにくい理由の一つは、汗や皮脂による金属イオンの溶出が極めて少ない ことにあります。
安定した酸化被膜を形成する
- ニオブ(Nb)とチタン(Ti)は、空気中や汗に触れるとすぐに表面に酸化膜(TiO₂、Nb₂O₅)を形成 する。
- この酸化膜が強固で化学的に安定しているため、金属イオンが溶け出しにくい。
- これにより、汗や皮脂による金属アレルギー反応が起こりにくくなる。
生体適合性が高い
- ニオブもチタンも、医療用インプラント(人工関節、歯科用インプラント) に使われるほど、生体適合性が高い。
- 体内に長期間入れても金属アレルギーや拒絶反応を起こしにくいことが証明されている。

ニオブチタン合金は、酸化膜が非常に安定しているため、金属イオンの溶出がほとんどなく、アレルギーを起こしにくい性質を持っています。
酸化膜が安定かどうかは何で決まるのか
酸化膜が安定するかどうかは、金属の化学的特性や環境条件によって決まります。主に次の要因が影響します。
1. 金属の反応性と酸化傾向
- 各金属は酸化(酸素と結びつく)しやすさが異なります。酸化膜が安定するかどうかは、その金属の酸化傾向に関係しています。
- 例えば、チタンは酸化しやすいですが、酸化膜(TiO₂)が非常に安定しており、表面に非常に強い保護膜を形成します。これは腐食やアレルギーを引き起こしにくい理由の一つです。
2. 酸化膜の厚さ
- 金属が酸化すると、その表面に酸化物が形成されます。この酸化膜の厚さや構造が安定性を決定します。
- 安定した酸化膜は薄くても強固で、金属内部に酸素や水分が侵入しにくいように保護します。チタンやニオブの酸化膜は薄くても非常に強力で、これが長期間効果を維持できる理由です。
3. 酸化膜の化学組成
- 酸化膜が安定しているかどうかは、酸化膜自体の化学的性質にも関係します。例えば、酸化チタン(TiO₂)は非常に安定した化合物で、外部環境(酸や塩分)にも強いです。
- 一方、鉄やニッケルなどは酸化膜が弱く、容易に破壊されることがあり、これが錆や腐食の原因になります。
4. 表面処理と環境条件
- 酸化膜を厚くするための表面処理(例えば、アノダイズ処理や酸化処理)を施すことで、膜の安定性を高めることができます。
- また、環境条件(湿度、温度、pHなど)も酸化膜の安定性に影響します。例えば、湿度が高いと酸化膜が破損しやすくなることがありますが、チタンやニオブの酸化膜は環境変化に強いとされています。

酸化膜が安定するかどうかは、金属の種類、酸化膜の厚さ、酸化物の化学的性質、そして周囲の環境に強く依存します。
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