ミネベアミツミセブ工場拡張 ミネベアミツミとはどんな会社?どのような製品の生産を増やすのか?

この記事で分かること

・ミネベアミツミとは:精密部品メーカーであり、小径・ミニチュアサイズのボールベアリングでは世界首位のシェアを持っています。

・どんな製品の生産能力の向上を目指すのか:音声や光、温度など「連続した量」の信号を処理するための半導体である、アナログ半導体の後工程の生産能力強化が図られています。​

・半導体の後工程とは何か:後工程とは、半導体チップをパッケージングして製品化する工程のことです。前工程で作られたチップを使える形に仕上げる工程です。

ミネベアミツミセブ工場拡張

 電子部品大手のミネベアミツミが、フィリピンのセブ州ダナオ市にあるセブミツミ工場での事業拡張を開始したことがニュースになっています。

 https://www.nna.jp/news/2781409

 ミネベアミツミは今回の投資によって、セブ工場の生産能力向上を目指しています。

ミネベアミツミとはどんな会社か

 ミネベアミツミ株式会社は、長野県北佐久郡御代田町に本社を置く精密部品メーカーで、小径・ミニチュアサイズのボールベアリングでは世界首位のシェアを誇ります。

主な事業領域

  • プレシジョンテクノロジーズ: 精密機械加工品の製造・販売。
  • モーター・ライティング&センシング: 各種モーターや照明、センサー製品の提供。
  • セミコンダクタ&エレクトロニクス: 半導体や電子部品の開発・販売。​
  • アクセスソリューションズ: 鍵やセキュリティ関連製品の提供。 ​

沿革の一部

  • 1951年: 東京都板橋区で日本ミネチュアベアリング株式会社として設立。​
  • 1961年: 東京証券取引所市場第二部に上場。​
  • 2017年: ミツミ電機株式会社と経営統合し、ミネベアミツミ株式会社に商号変更。

2024年3月末時点で、連結従業員数は83,886人、連結子会社数は145社となっています。

ミネベアミツミ株式会社は、精密部品メーカーで、小径・ミニチュアサイズのボールベアリングでは世界首位のシェアを持っています。

ボールベアリングとは何か

 ボールベアリングとは、「回転をスムーズにするための機械部品」です。中に小さな「玉(ボール)」が入っていて、摩擦を減らして滑らかに回るようにサポートします。

簡単に言えば、何かがクルクル回るときに「軽く、なめらかに動く」ようにしてくれる部品です。


仕組み

ボールベアリングはこんな構造をしています

  • 内輪(内側のリング)
  • 外輪(外側のリング)
  • ボール(中間にある鋼の玉)
  • リテーナー(玉の位置を整える部品)

 ボールが内輪と外輪の間で転がることで、摩擦が「滑る」ではなく「転がる」に変わり、動きがスムーズになります。


どんなところに使われてるのか

とにかく「回転するところ」にはほぼ何でも使われてます。

  • パソコンの冷却ファン
  • 自転車のホイールやペダル
  • 洗濯機やエアコン
  • 工場の機械
  • 自動車や電車、航空機 など

 ミネベアミツミはこのボールベアリングの「超小型・高精度品」で世界的に有名です。たとえば、直径2mm以下の超ミニサイズのものをスマホや医療機器などに供給しています。

ボールベアリングの内部で、ボールが内輪と外輪の間で転がることで、摩擦が「滑る」ではなく「転がる」に変わり、動きがスムーズになります。

何かがクルクル回るときに「軽く、なめらかに動く」ようにしてくれる部品です。

セブ工場ではどんな製品を作っているのか

 ミネベアミツミのフィリピン・セブ工場(CEBU MITSUMI, INC.)では、以下のような製品が製造されています。​

主な製品群

  • アナログ半導体パッケージ:​スマートフォンやカメラ機器向けのアナログ半導体の後工程(パッケージング)を行っています。
  • カメラ用アクチュエータ:​手振れ補正(OIS)機能を持つカメラモジュール向けのアクチュエータを生産しています。​
  • コネクタや光デバイス製品:​通信機器や電子機器に使用されるコネクタや光デバイス製品も製造されています。​

これらの製品は、スマートフォン、カメラ機器、通信機器などの分野で広く使用されています。​

 また、セブ工場では、2025年に新棟の建設が開始され、アナログ半導体の後工程の生産能力強化が図られています。​

 さらに、環境への取り組みとして、工場敷地内に大規模な太陽光発電システムが設置され、再生可能エネルギーの活用が進められています。​

 これらの取り組みにより、ミネベアミツミはセブ工場を高機能・高効率な生産拠点として位置づけ、グローバルな需要に対応しています。

セブ工場では、アナログ半導体の後工程やカメラのアクチュエータなどが製造されており、今回の投資ではアナログ半導体の後工程の生産能力強化が図られています。​

アナログ半導体とは何か

 アナログ半導体とは、「連続的な信号(アナログ信号)」を処理するための半導体デバイスです。簡単に言うと、電圧や電流など“なめらかに変化する信号”を扱うための電子部品です。


デジタルとアナログの違い

  • デジタル半導体:0と1のように「オン・オフ」で信号を処理(例:CPU、メモリなど)
  • アナログ半導体:音声や光、温度など「連続した量」の信号を処理(例:マイク信号、温度センサー出力)

アナログ半導体の例

種類機能使われる場所
オペアンプ(OPアンプ)微小な電圧を増幅音響機器、センサー
電源IC(レギュレータ)電圧を安定化スマートフォン、家電
センサーIC温度・光・圧力を電気信号に変換IoT機器、自動車
アクチュエータ制御ICモーターなどを駆動制御カメラのピント調整など

なぜ重要?

 現代のあらゆるデジタル機器も、現実世界からの入力(音・光・動き)を“アナログ”で受け取り、それをデジタル処理する前段階が必要です。その橋渡し役がアナログ半導体です。

アナログ半導体はデジタル信号のような「オンとオフ」で信号を処理するのではなく、音声や光、温度など「連続した量」の信号を処理するための半導体のことです。

半導体の後工程とは何か

 半導体の「後工程(こうこうてい、back-end process)」とは、半導体チップをパッケージングして製品化する工程のことです。

 前工程(ウエハー上で回路を作る)に対して、後工程はそのチップを使える形に仕上げる工程です。


後工程の主なステップ

  1. ダイシング(切断)
    ウエハー上に多数作られたICチップ(ダイ)を1つずつ切り分けます。
  2. ダイボンディング(接着)
    切り出したチップを、パッケージのベース部分に接着します。
  3. ワイヤーボンディング / フリップチップ
    チップとパッケージを、金線や銅線などで電気的につなげます(最近は微細なバンプを使う「フリップチップ」も主流)。
  4. モールディング
    チップとワイヤー部分を樹脂などで覆い、外部からのダメージから保護します。
  5. 切断・整形(シンギュレーション)
    多数のパッケージを1つずつに切り離します。
  6. テスト(検査)
    正しく動作するか、耐久性などを検査します。

なぜ後工程が重要?

  • 小型・軽量・高耐久のパッケージ設計はスマホや自動車向けで必須。
  • パッケージ設計次第で放熱性や信号の速度も変わる。
  • 製品のコストや歩留まり(良品率)にも大きく影響します。

後工程とは、半導体チップをパッケージングして製品化する工程のことです。前工程で作られたチップを使える形に仕上げる工程です。

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