この記事で分かること
- ストレッチャブル基板とは:曲げたり伸ばしたりできる伸縮性を持った回路基板です。ゴムのような柔らかい素材で作られており、身体の動きに追従するため、体に貼り付けるタイプのウェアラブル機器や、曲面・凹凸がある場所への応用が期待されています。
- 伸縮性がある理由:伸縮性のあるウレタンなどの柔らかい素材を基材にしているためです。また、配線には蛇腹状のパターンを描いた導電性インクを使用することで、基板が伸びても断線しないように工夫されています。
- ウレタンが伸縮する理由:ゴムのように柔らかく伸びる部分と、伸びた後に元の形に戻る硬い部分という2種類の分子が組み合わさっているため、伸縮性があります。
村田製作所のストレッチャブル基板
村田製作所は人体に密着するストレッチャブル基板の開発を行っています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF13C7J0T11C24A2000000/
これは、曲げたり伸ばしたりできる柔軟な電子基板で、体に貼り付けるタイプのウェアラブル機器への応用が期待されています。
ストレッチャブル基板とは何か
ストレッチャブル基板は、曲げたり伸ばしたりできる伸縮性を持った回路基板です。従来の硬い基板と異なり、ウレタンなどの柔らかい素材で作られており、体に貼り付けるウェアラブル機器や、曲面・凹凸がある場所への応用を想定して開発されました。
特徴とメリット
ストレッチャブル基板は、以下の特徴を持っています。
- 伸縮性と追従性: 身体の動きや物体の形状変化に合わせて伸び縮みするため、常に密着状態を保つことができます。これにより、センサーの剥がれを防ぎ、精度の高い生体情報(心拍や脳波など)の取得が可能です。
- 高い信頼性: 伸縮しても断線しにくく、高湿度環境でも絶縁性を維持できるよう設計されています。
- 薄くて柔らかい: 薄く柔軟なため、装着時の不快感や肌への負担が軽減されます。
用途と今後の展望
主に医療・ヘルスケア分野での活用が期待されており、心電図や筋電図などの生体情報を継続的にモニタリングする医療機器への応用が進められています。また、スマートテキスタイルや産業用ロボットなど、さまざまな分野での活用も検討されています。

ストレッチャブル基板とは、曲げたり伸ばしたりできる伸縮性を持った回路基板です。ゴムのような柔らかい素材で作られており、身体の動きに追従するため、体に貼り付けるタイプのウェアラブル機器や、曲面・凹凸がある場所への応用が期待されています。
なぜ伸縮性があるのか
ストレッチャブル基板に伸縮性があるのは、主に以下の2つの理由によります。
1. 柔らかく伸びる基材
ストレッチャブル基板の土台となる基材に、ウレタンやシリコーンなどの伸縮性のある素材が使われています。これらの素材は、ゴムのように柔らかく、引っ張ると元の形に戻る性質を持っています。これにより、基板全体が柔軟に伸び縮みできます。
2. 伸縮に耐える配線構造
電気を通す配線には、導電性インクが使われます。このインクは、銀やカーボンなどの導電性粒子と、伸縮性のある樹脂を混ぜて作られています。この特殊なインクで蛇腹状や渦巻状など、伸縮しても断線しにくいパターンを描くことで、基板が伸びても電気が流れ続けるように設計されています。
この2つの要素を組み合わせることで、曲げたり伸ばしたりしても性能が保たれるストレッチャブル基板が実現されます。

ストレッチャブル基板は、伸縮性のあるウレタンなどの柔らかい素材を基材にしているからです。また、配線には蛇腹状のパターンを描いた導電性インクを使用することで、基板が伸びても断線しないように工夫されています。
ウレタンはなぜ伸縮性があるのか
ウレタン(ポリウレタン)は、その分子構造に起因する特殊な性質によって伸縮性を持っています。
分子構造の秘密
ウレタンは、ソフトセグメント(Soft Segment)とハードセグメント(Hard Segment)という2種類の分子が組み合わさってできています。
- ソフトセグメント: ゴムのように柔らかく、伸びやすい性質を持つ部分です。この部分が、ウレタンの伸縮性の元になっています。
- ハードセグメント: 結晶構造を持つ硬い部分です。この部分が、伸びた後に元の形に戻ろうとする力を生み出します。
このソフトセグメントとハードセグメントが規則的に結合し、互いに絡み合うことで、ゴムのような伸縮性と、元の形に戻ろうとする弾力性を両立させているのです。

ウレタンは、ゴムのように柔らかく伸びる部分(ソフトセグメント)と、伸びた後に元の形に戻る硬い部分(ハードセグメント)という2種類の分子が組み合わさっているため、伸縮性があります。
導電性インクとは何か
導電性インクとは、電気を通す性質を持った特殊なインクです。乾燥すると電気を流す回路やパターンを形成するため、電子回路の印刷などに使われます。
導電性インクの仕組みと成分
導電性インクは、主に以下の2つの成分から構成されています。
- 導電性フィラー: 電気を通す役割を担う主成分です。銀、銅、カーボンなどの微細な粒子(ナノ粒子など)が使われます。特に銀は導電性が高いため、高性能なインクによく用いられます。
- バインダー(ビヒクル): インクを基材に定着させたり、インクの粘度を調整したりする役割を持つ樹脂です。ストレッチャブル基板用では、伸縮性のあるポリウレタンなどが使われます。
この2つの成分が混ざり合い、印刷後に乾燥・硬化することで、導電性フィラー同士が接触して電気的な回路が完成します。
主な用途
導電性インクは、従来の金属配線とは異なり、柔軟な素材にも回路を形成できるため、さまざまな分野で活用されています。
- プリンテッド・エレクトロニクス: 紙やフィルム、布などの柔軟な基材に電子回路を印刷する技術です。
- ウェアラブル機器: 身体に貼り付けるセンサーやスマートテキスタイルなど、伸縮性や柔軟性が求められる製品に使用されます。
- タッチパネル: 透明な導電性インクを印刷することで、タッチセンサーを形成します。
- RFIDタグ: 小型で柔軟なRFIDタグのアンテナ部分の製造に利用されます。
導電性インクは、はんだ付けなどの熱を伴う工程が不要なため、製造コストの削減や、薄型・軽量化にも貢献しています。

導電性インクとは、電気を通す性質を持ったインクです。銀やカーボンなどの導電性粒子を混ぜて作られており、紙やフィルムなどに印刷するだけで電子回路を形成できます。ウェアラブル機器やタッチパネルなどに利用されます。
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