日本シイエムケイ株式会社の新規事業投資 CMKとはどんな会社か?モジュール基板とは何か?

この記事で分かること

・CMKとはどんな会社:日本シイエムケイ株式会社(CMK)は、プリント配線板(PCB)の専業メーカーです。​特に自動車分野に強みを持っています。

・高多層基板とは:高多層基板とは、複数の導電層(銅箔など)と絶縁層が交互に積層されたプリント基板のことで、高性能・高信頼性が求められる電子機器で使われます。

・モジュール基板とは:必要な機能だけをパッケージ化して「部品のように使える基板」であり、機能がひとまとまりになっており、設計・製造段階でテストされているため、不具合が少なく、同じモジュールを多くの製品に利用できるという利点があります。

日本シイエムケイ株式会社の新規事業投資

 ​日本シイエムケイ株式会社(CMK)は、新規事業の育成に向けて約20億円の投資を行う方針を明らかにしています。

 https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00746040

 同社は主にプリント配線板の開発・製造・販売を行っており、車載用プリント配線板の分野に強みを持つ企業です。今後は、車載以外の分野での売上比率を現在の約20%から40~50%へ引き上げることを目指しています。

特に、高多層基板やモジュール基板へ力を入れるとされています。

日本CMKはどんな会社なのか

 日本シイエムケイ株式会社(CMK)は、東京都新宿区に本社を構えるプリント配線板(PCB)の専業メーカーです。​特に自動車分野に強みを持ち、高品質・高信頼性の製品を提供しています。​

 会社概要

  • 設立:​1961年(旧社名:中央銘版工業株式会社)
  • 社名変更:​1984年に現社名「日本シイエムケイ株式会社」に変更​
  • 上場:​1985年、東京証券取引所第2部に上場​
  • 従業員数:​連結で約4,900名​
  • 本社所在地:​東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー43F

主な事業内容

CMKは、プリント配線板の開発・製造・販売を行っており、特に以下の分野に注力しています。

  • 車載用プリント配線板:​自動車の駆動系・制御系に使用される高信頼性の基板を提供。​
  • 高多層・高密度・微細配線対応基板:​高度な技術を要する製品の開発・製造。​
  • 高速伝送・高周波対応基板:​通信機器や先進運転支援システム(ADAS)向け。​
  • 立体・折り曲げ可能な基板:​製品の小型化・軽量化に貢献。​

 これらの製品は、自動車、パソコン、スマートフォン、デジタルサイネージ、スマート家電など、さまざまな電子機器に使用されています。​


グローバル展開

 CMKは、アメリカ、中国、タイ、ドイツなど、世界各地に生産・営業拠点を持ち、グローバルな事業展開を行っています。​特にタイ工場の増設により、生産能力の強化を図っています。


技術と品質への取り組み

CMKは、「品質第一」を掲げ、以下の取り組みを行っています:​

  • 長期の製品供給・保証体制:​安定した財務基盤により、長期的な信頼関係を構築。​
  • 高品質・高信頼性のものづくり:​車載分野で培った技術を活かし、厳しい品質要求に対応。​
  • ニーズへの対応力:​技術・経験の蓄積に基づく解析能力と迅速な顧客対応。

日本シイエムケイ株式会社(CMK)は、プリント配線板(PCB)の専業メーカーです。​特に自動車分野に強みを持ち、高品質・高信頼性の製品を提供しています。​

高多層基板とは何か

 高多層基板とは、複数の導電層(銅箔など)と絶縁層が交互に積層されたプリント基板(PCB)のことです。

 特に、一般的に4層以上のものを「多層基板」、8層以上、10層、20層とさらに層数が多いものを「高多層基板」と呼びます。


特徴

  • 高密度実装が可能:回路を層ごとに分割することで、複雑な配線が可能になります。
  • ノイズ耐性が高い:電源層・GND層を設けることで、ノイズの影響を受けにくくなります。
  • 信号品質が安定する:信号の整合性(SI)や電源の整合性(PI)が保ちやすいです。
  • 小型化・軽量化に貢献:複雑な回路をコンパクトにまとめられるので、製品サイズを抑えられます。

用途

 高多層基板は、以下のような高性能・高信頼性が求められる電子機器で使われます。

  • 自動車の制御ユニット(ECU)
  • 5G通信機器
  • 医療機器
  • サーバーや高性能PC
  • 航空・宇宙機器

 非常に簡単に表すと、限られたスペースにたくさんの配線や機能を詰め込めるようにしたのが高多層基板です。

高多層基板とは、複数の導電層(銅箔など)と絶縁層が交互に積層されたプリント基板のことで、端的に言うと、限られたスペースにたくさんの配線や機能を詰め込めるようにした基盤のことです。

モジュール基板とは何か

 モジュール基板とは、特定の機能を持つ電子部品群(チップ、受動部品など)を1つのプリント基板に組み込んだ「機能単位の回路基板」のことです。

 簡単に言うと、ある機能に特化した「小さな電子回路の完成形」がモジュールになっていて、それを他の製品に組み込んで使えるようにしたものです。


特徴

  • 小型・軽量:機能を1枚にまとめてコンパクトに設計可能。
  • 開発の効率化:完成したモジュールを組み込むだけで複雑な機能を実現できる。
  • 信頼性が高い:設計・製造段階でテストされているため、不具合が少ない。
  • 量産に強い:同じモジュールを多くの製品に流用できる。

例(用途別)

モジュール種類主な用途例
無線通信モジュール(Wi-Fi/Bluetoothなど)IoT家電、スマート機器
カメラモジュールスマホ、監視カメラ
電源モジュール産業機器、車載システム
センサーモジュール(加速度・温度など)ウェアラブル、ドローン
車載制御モジュール自動車のADASや電動パワステ

車載向けモジュール基板(CMKが注力)

 CMKのようなプリント基板メーカーでは、自動車の安全機能や電動化対応のための高信頼性モジュール基板を開発していて、たとえば「自動ブレーキ制御モジュール」や「バッテリー制御用の電源モジュール」などが挙げられます。


必要な機能だけをパッケージ化して「部品のように使える基板」がモジュール基板のイメージです。機能がひとまとまりになっており、設計・製造段階でテストされているため、不具合が少なく、同じモジュールを多くの製品に利用できるという利点があります。

なぜ、モジュール基板の需要が増加しているのか

 モジュール基板の需要が増加している背景には、電子機器の高度化・多機能化・小型化に対するニーズの高まりがあります。以下のような業界・用途で特に顕著です:


1. 車載分野(自動車の電子化・電動化)

  • 電動車(EV・HEV)の普及:バッテリーマネジメントシステム(BMS)やインバータ制御モジュールなど、高信頼性なモジュール基板が求められています。
  • ADAS(先進運転支援)や自動運転:センサーモジュールや制御用モジュールが急増中。
  • 車載Ethernet対応の通信モジュールなども需要増。

→ 車載用途では高信頼性・耐熱性・長寿命が求められるため、技術力のある基板メーカー(例:CMKなど)にとって大きな市場です。


2. IoT・スマート家電

  • IoTデバイスの爆発的増加により、**通信モジュール(Wi-Fi/Bluetooth/LPWAなど)**の需要が拡大。
  • センサー機能を搭載したセンシングモジュール(温度・照度・加速度など)もスマート家電、見守り機器、ウェアラブルに多用。

3. 5G/スマートフォン/モバイル機器

  • 高速通信・多機能対応により、RFモジュール(高周波対応)やアンテナ一体型モジュールが増加。
  • 薄型化に対応するために、小型・高密度実装が可能なモジュール基板が必要とされている。

4. 産業機器・医療機器

  • 工場の自動化(FA)や医療の精密化に伴い、高機能制御モジュール検知・処理モジュールのニーズが拡大。
  • モジュール化により、設計・製造の効率化と信頼性向上を両立。

需要増のキーワード

  • 短納期対応」:すぐに使える完成品モジュールは開発時間を大幅短縮。
  • コスト効率」:部品点数削減・配線簡略化により、量産でのコストメリット。
  • 多機能の小型化」:限られたスペースに高性能を詰め込む。

モジュール基板は「必要な機能を1パッケージにまとめた即戦力パーツ」であり、開発時間の短縮やコスト効率の良さが電子機器の高度化・多機能化・小型化のニーズの高まりと合わさることで需要が増加しています。

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