この記事で分かること
- OPECとは:石油を輸出する主要国が加盟する国際組織で、原油の生産量や価格の調整を通じて、加盟国の利益を守ることを目的とした組織です。
- 増産の理由:需要の回復への期待や市場シェアの維持、原油価格が安定的に推移していることなどから増産に踏み切っています。
- ウクライナ戦争の影響:ロシアの供給量が一時的に減少したことでの原油価格の急騰、欧州への輸出が難しくなったことでの供給網の変更、中東への依存度増加などOPECの戦略、世界の需給バランス、価格形成に大きな影響を及ぼしました。
OPECプラスによる原油の増産
OPECプラスが、2025年6月の原油生産量を日量41万1,000バレル増加させることで合意したことがニュースになっています。
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2025/05/549768.php?utm_source=chatgpt.com
この決定は、2025年5月3日に開催されたオンライン会議でなされ、同年5月に実施された同規模の増産に続くものです。 これにより、2024年12月に合意された日量220万バレルの減産のうち、約44%が回復されることになります。
OPECとはどんな組織なのか
OPEC(オペック、石油輸出国機構)とは、石油を輸出する主要国が加盟する国際組織で、原油の生産量や価格の調整を通じて、加盟国の利益を守ることを目的としています。
正式名称は「Organization of the Petroleum Exporting Countries」です。
- 設立年:1960年
- 設立場所:イラク・バグダッド
- 本部:オーストリア・ウィーン
■ 主な加盟国(2025年現在)
- サウジアラビア(中心的存在)
- イラク
- イラン
- クウェート
- ベネズエラ
- アラブ首長国連邦
- ナイジェリア
- アンゴラ
- アルジェリア
など
■ 目的
加盟国の石油政策を調整・統一
- 安定した石油価格の維持
- 加盟国への公平で安定した収入の確保
- 消費国への安定供給の保証
■ OPECプラスとの違い
近年はロシアなど非OPEC産油国も交えた「OPECプラス(OPEC+)」として協調体制を築き、より広い範囲で生産調整を行っています。

OPECは石油を輸出する主要国が加盟する国際組織で、原油の生産量や価格の調整を通じて、加盟国の利益を守ることを目的とした組織です。
石油市場でのOPECの占める割合はどれくらいか
OPECの世界の石油市場におけるシェアは、世界の原油生産量の約30~35%(2024年時点)とされています。
ただし、確認埋蔵量についてはもっと大きな割合を占めており、世界の確認原油埋蔵量の約70~75%がOPEC加盟国にあります。
つまり、現在の生産量では3分の1程度ですが、将来的な供給力の面では非常に大きな影響力を持っています。
一方で、OPECプラス(OPECにロシアやカザフスタンなどの非加盟国を含めた枠組み)になると、世界の原油生産の約55%を占めると推定されています。
このため、OPECとOPECプラスの動向は国際原油市場に大きな影響を与える要因となっています。

OPED単独では、世界の原油生産の約30~35%、OPECプラスでは約55%を占めるといわれています。
今回の増産の理由は何か
今回OPECプラスが日量41万バレルの増産を決定した理由は、主に以下の要因によると報じられています:
需要回復への期待
世界経済が底打ちし、特にアジア(中国・インドなど)で石油需要が回復基調にあると見られているため、供給を増やして需要に応えようとしています。
市場シェアの維持
減産を続けると他の非OPEC産油国(アメリカ、ブラジルなど)が市場シェアを拡大するリスクがあるため、競争力を保つために増産に踏み切ったとされます。
価格が一定水準に安定
原油価格が減産前に比べて比較的高い水準で安定しており、供給を戻しても急落するリスクが小さいと判断された可能性があります。
内部合意と加盟国の財政圧力
一部の加盟国(ロシア、イラクなど)が財政赤字圧力から増産を求めており、OPECプラス内での妥協の結果として増産が決まった側面も指摘されています。
戦略的な価格抑制
一部では、増産によって過度な価格上昇を防ぎ、インフレ懸念を抑える意図もあると見る向きもあります。今後の会合(5月28日予定)でさらなる調整が話し合われる見込みです。

需要の回復への期待や市場シェアの維持、原油価格が安定的に推移していることなどから増産に踏み切っています。
ウクライナ戦争は石油市場にどのように影響したか
ウクライナ戦争(ロシアのウクライナ侵攻)は、石油市場やOPECの動向に以下のように、非常に大きな影響を与えました。
- ロシア産原油の供給制限
欧米諸国による制裁で、ロシア産原油の輸出に制限がかかりました。特にEUはロシア産原油の禁輸措置や価格上限制度(price cap)を導入。
→ ロシアの供給量が一時的に減少し、世界市場では供給不足懸念が強まり、原油価格が急騰しました。 - 供給網の再編成
ロシアは欧州への輸出が難しくなったため、中国、インドなどアジア諸国に割引価格で輸出先をシフト。
→ 市場の流れが変わり、輸送コストや貿易構造に影響。 - OPECプラス内の緊張
ロシアはOPECプラスの主要メンバーですが、戦争と制裁によって自国の生産量・輸出量が不安定化。他の加盟国(特にサウジアラビア)との調整が難しくなる場面が見られました。
→ OPECプラスの合意形成に影響。 - エネルギー安全保障の優先
欧州を中心に、ロシア依存からの脱却を急ぎ、中東やアフリカ諸国への石油調達依存が高まった。
→ OPEC加盟国に対する需要が一時的に増加。 - 原油価格のボラティリティ(変動性)上昇
供給不安、制裁、紛争拡大リスクが市場心理に影響し、原油価格が乱高下する状況が続いた。
このように、ウクライナ戦争はOPECの戦略、世界の

ウクライナ戦争はロシアの供給量が一時的に減少し、世界市場では供給不足懸念が強まり、原油価格が急騰、欧州への輸出が難しくなったことでの、供給網の変更、中東への依存度増加などOPECの戦略、世界の需給バランス、価格形成に多面的な影響を及ぼしました。
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