この記事で分かること
・どのような生物の復活させるのか:マンモスやリョコウバトなど
・どのように復活を目指すのか:絶滅種の特長を決定する遺伝子を特定し、近縁種のDNAを改変することで、絶滅種の特長を持つ個体を作ろうと考えています。
・なぜ、大型の資金調達が可能なのか:絶滅種の復活自体が耳目を集めやすい点や遺伝子編集技術が様々な分野に応用可能であることから、投資家が 「将来性のあるハイリスク・ハイリターンのプロジェクト」 として資金を提供している。
絶滅種の復活
絶滅種の復活を目指す米国のバイオテクノロジー企業であるコロッサル・バイオサイエンシズ(Colossal Biosciences)がニュースになっています。
同社は、2028年末までにゾウからマンモスの子を誕生させる計画を進めており、順調に進行中と報告されています。
どんな絶滅種の復活を目指しているのか
コロッサル・バイオサイエンシズは、以下の絶滅種の復活を目指しています。
マンモス(ケナガマンモス)
最も注目されているプロジェクトで、アジアゾウのDNAを改変してマンモスの特徴を持つ個体を誕生させることを目標としています。
目的:ツンドラの生態系回復、気候変動対策(マンモスが氷原を踏み固めることで永久凍土の融解を抑制)。
目標時期:2028年末までに誕生予定。
パッセンジャーピジョン(リョコウバト)
20世紀初頭に絶滅した北米のハトで、かつて数十億羽が生息していました。
目的:北米の森林生態系の回復。
タイリクオオカミ(タスマニアンタイガー)
1936年に絶滅したオーストラリアの有袋類の捕食者。
目的:オーストラリアの生態系のバランス回復(カンガルーや小型哺乳類の過剰繁殖を抑える役割)

マンモスやリョコウバト、タスマニアンタイガーの復活を目指しています。これらの種の復活は単なる遺伝学の挑戦ではなく、生態系の修復や気候変動対策の一環として進められています。
どうやって復活を目指しているのか
コロッサル・バイオサイエンシズは、以下のように遺伝子編集技術とクローン技術を組み合わせて絶滅種の復活を目指しています。
1. ゲノム解析と編集
- 絶滅種のDNAを、保存されている骨や毛髪、標本などから抽出。
- 現存する近縁種(例:マンモスの場合はアジアゾウ)のゲノムと比較し、絶滅種の特徴を決定する遺伝子を特定。
- CRISPR-Cas9 などの遺伝子編集技術を使い、近縁種のDNAを改変し、絶滅種の特徴を持つ個体を作る。
2. 細胞培養と人工繁殖
- 遺伝子編集した細胞を使い、幹細胞技術を活用して胚を作製。
- 近縁種の代理母(例:マンモスの場合はアジアゾウ)に移植し、妊娠・出産を試みる。
- または 人工子宮技術 を開発し、より効率的な繁殖方法を目指す。
3. 種の再導入と生態系回復
- 復活した動物を野生環境に適応させるため、保護区などで試験的に飼育。
- 野生で生存できるように慎重にリリースし、生態系への影響を観察・調整。
このアプローチにより、マンモスのような大型哺乳類だけでなく、小型動物や鳥類の復活も可能になると考えられています。

絶滅種の特長を決定する遺伝子を特定し、近縁種のDNAを改変することで、絶滅種の特長を持つ個体を作ることで復活をしようとしています。
マンモスに特徴的な遺伝子はどんなものか
マンモスの特徴を決定する重要な遺伝子には、以下のようなものがあります。
1. 低温耐性に関わる遺伝子
マンモスは寒冷な環境に適応していたため、特定の遺伝子が低温耐性に関与しています。
- TRPV3(温度感知受容体)
- 皮膚の温度感覚を調整し、寒冷環境でも活動しやすくする。
- アジアゾウのTRPV3とは異なり、マンモスのものは寒さに強いバージョンに変異。
- LEPR(レプチン受容体)
- 体脂肪の蓄積を調整し、寒さに耐えるための脂肪層を形成。
2. 体毛や皮膚の特徴を決める遺伝子
マンモスの長く密な体毛や厚い皮膚は、極寒のツンドラ環境に適応するための特徴です。
- KRT(ケラチン関連遺伝子群)
- 長く、密集した体毛の形成を制御。
- コロッサル・バイオサイエンシズは、この遺伝子をマウスで改変し、マンモス風の体毛を持つ「ケナガネズミ」を作製。
- MC1R(メラノコルチン1受容体)
- 毛色を決める遺伝子で、マンモスの毛が茶色〜金色だった可能性が示唆されている。
3. 酸素運搬能力を向上させる遺伝子
寒冷地では低温でも効率的に酸素を運搬できる血液が必要。
- HBB(ヘモグロビン関連遺伝子)
- 低温環境でも酸素を効果的に運搬できる特殊なヘモグロビンを生成。
- マンモスのヘモグロビンは、ゾウのものと比べて酸素を手放しやすく、寒さに適応していた。
4. 体のサイズや成長に関与する遺伝子
マンモスはアジアゾウよりも大きな体を持っていたため、骨や筋肉の成長を調整する遺伝子が関係している。
- IGF2(インスリン様成長因子)
- 体の成長を促進し、ゾウよりも大きな体格を持つことに貢献。
コロッサル・バイオサイエンシズは、これらの遺伝子をアジアゾウのDNAに組み込み、マンモスの特徴を持つ個体を作ることを目指しています。

低温耐性や長く密な体毛や厚い皮膚、より大きな体の要因となっている遺伝子を特定し、アジアゾウのDNAに組み込むことでマンモスの特徴を持つ個体を作ることを目指しています。
なぜ大型の資金調達が可能なのか
コロッサル・バイオサイエンシズが大型の資金調達を成功させている理由はいくつかあります。
1. 革新的な技術と市場性
- 遺伝子編集(CRISPR-Cas9) や 人工子宮技術 など、最先端のバイオテクノロジーを活用しており、投資家にとって魅力的。
- 絶滅種の復活 という話題性の高いテーマは、メディアや投資家の注目を集めやすい。
- 遺伝子技術は 農業、医療、製薬 など幅広い分野への応用が可能。
2. 影響力のある投資家・パートナーの存在
- VC(ベンチャーキャピタル)や政府系ファンドが支援
- Peter Thiel(PayPal共同創業者) など著名投資家が支援。
- 米国防総省(DARPA) との関連があり、生物工学技術の国家的な関心も。
- ハーバード大学、テキサス大学などの学術機関と提携 しており、科学的信頼性が高い。
3. 環境・経済的インパクト
- マンモスの復活は気候変動対策 に貢献する可能性がある(永久凍土の保存、二酸化炭素の固定など)。
- 生態系回復プロジェクト(リョコウバトやタスマニアンタイガーの復活)が持つ環境ビジネスの側面。
- 遺伝子技術の応用による 新規バイオ産業の創出(家畜改良、新種の動物開発など)。
4. 長期的な事業展開の可能性
- 短期的な収益ではなく、バイオテクノロジー分野全体の成長を見据えた投資 が行われている。
- 医療・製薬業界とのシナジー も期待される(例:遺伝子編集技術の医療応用)。

絶滅種の復活自体が耳目を集めやすい点や遺伝子編集技術が様々な分野に応用可能であることから、投資家が 「将来性のあるハイリスク・ハイリターンのプロジェクト」 として資金を提供していると考えられます。
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